断腸亭料理日記2005

秋刀魚鮨

10月1日(土)午後

何であったか忘れたが、テレビで本場和歌山、
那智勝浦の秋刀魚鮨をやっていた。
地元の方が、作っているところである。

前回は、5月

半身を大葉と一緒に、巻いたのであった。

テレビを見ていると、一本を開いたままで巻いている。
そうであった。半身にせずに、そのまま巻くのが、本式であった。

紀伊勝浦駅のさんま鮨の駅弁、である。

実際には、このあたりの秋刀魚の旬は、12月あたりであるという。

秋刀魚は北海道から、三陸、銚子、と下がり、冬になって
やっと、紀伊半島にやってくる。
この頃には、脂が落ちて、鮨にするには
ちょうどよくなっているというのである。
かの地では、秋刀魚鮨は、正月料理でもあるという。

さて、まだまだ、東京は秋刀魚の季節である。
スーパーでも、魚屋でも、町の定食屋でもよく見かける。
少々、飽きてきているのも、正直なところである。

旬であるが、秋刀魚は、生のものよりは、
わざわざ、干物を使う。
鮨にする場合、和歌山の秋刀魚のように、
脂が少ない方がよい。

本当に、鮮度のよいものを、ほとんど生で食べるのであれば、
脂があってもよいのであろうが、これはこれで
難しい。

松波のところでも書いたが、
光物は、プロでもとても難しいという。
脂の乗り具合、鮮度との兼ね合い。
脂が多いことは、生臭さと、裏腹の関係である。
とても、素人のできる芸当ではない。

本来の酢〆の魚は、鯖でもなんでも、塩をして一昼夜。
これで、水分を抜く、のが、セオリーである。

そこで、いつも、干物の秋刀魚を使うのである。
干物は、ちょうど、少し水分が抜けた状態である。

今日は、三枚にはおろさず、頭を落として、中骨を取るだけ。
小骨を取ろうと思ったが、腹側の骨などを、取ろうとすると、
身がぼろぼろに、なりそうなので、やめる。
骨ごと食べても、よろしかろう。
(三枚おろしであれば、腹骨は包丁で取ってしまえるのである。)

1時間ほど水に漬け、塩抜きをする。

同時進行で、堅めモードで、飯を炊く。

ペーパータオルで、よく水分を拭き取って、しばらく、乾かす。

飯が炊けたので、酢飯を作る。
今日は、扇風機の前で、やってみた。
どうも、しゃっきり、あがらない。
風が強かったのか、すぐに冷めてしまったせいだろうか、、。

酢飯は、筆者、何回やっても上手くならない。
どうしても、水分が充分に飛ばないのである。
やはり、プラスチックのボールではだめだろうか。
木製の飯台が必要か。

魚は、ちょっと、濃い目の甘酢に漬ける。
これも1時間。

テレビでは、皮を引いていなかった。
そこでそのまま。

巻き簾に魚を広げ、酢飯を広げる。
(時間が経って、酢飯は、少しよくなっている。)

おっと、ラップを忘れた。
巻き簾の上に、ラップを敷き直し、巻く。


ラップを取って、切る。

一回ごとに、包丁に酢飯がくっつくので、たわしでよく落とす。
酢飯がついたまま切ると、その酢飯にまた、酢飯がくっついて、
グズグズになってしまうのである。

プロは、包丁に酢飯など、付かない。
筆者の包丁は、決して、切れは悪くはない。
先日の松波では、妻の、にぎりは、切って出されていたが、
これは、勢いよく、ポーンと左手で包丁の背を押して
一気に切っていた。

そう思って、なるたけ、一気に切ってみるが、
それでもだめであった。

できた。

味見。

まあまあ、であるが、やはり、脂が多い。
背側はまだよいが、特に、腹側は随分脂があり生臭い。

北海道産と、書いてあったが、冷凍ものではなく、
今年のものであったのであろうか。
新しいのも、よしあし、で、ある。

また、三枚にし、腹側は切って落とす。
前回の方がよかった、かも知れない。
紀州の秋刀魚鮨のやり方は、紀州の秋刀魚でなければ、
いけないものかも知れない。

やはり、難しいものである。


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