断腸亭料理日記2005
10月12日(水)夜
さて、今日はおろし、で、ある。
おろし、とは、大根おろし、のことである。
少し前からどうも、大根おろしが食べたかったのである。
大根おろしが食べたい、などというと、「我輩は猫である」の
苦沙弥(くしゃみ)先生?、胃弱ですか?と聞かれそうである。
(こんな日記を書きながら、胃は確かに、強くはない、、。)
おろし、といえば、普通は、しらすおろし、などが
家庭では一般的であろう。
居酒屋でも、なめこ、いくら、めんたいこ、など入れる。
また、秋刀魚をはじめ、焼き魚には欠かせない。
そば。冷たくても、温かくても、入れる。
天ぷらの天つゆに入れる。
あるいは、ちょっとずれるが、甘酢で和えて、酢の物
なんぞにもする。
さらに、みぞれ鍋などといって、水菜などと、鍋にするのもある。
筆者の爺さんは、辛味餅(からみもち)などといって、
焼いた餅におろしをかけたもの(もちろん、しょうゆも)が大好物であった。
おろし、の最もうまい食い方はなんであろうか。
結論は、天ぷら、ではないか、と思い至ったのである。
いや、理論的にたどり着いたというようなものではなく、
おろしが食べたい→ねぎどんの、おろしそば+桜えび天、
で、あったのである。これはうまい。
この、うまいところだけを、抽出すると、
「おろし天ぷら(たぬき)そば、ぬき」
(おろし天ぷら(たぬき)そばの、そばぬき)、である。
そば屋で、そんなものを、注文する者は、いなかろう。
甘辛のつゆと、天ぷら、この場合は、天かす、でもよい。
これを、おろしで和えたもの。
天ぷら屋で、「天ぷらいりません、天つゆに、天かすとおろしだけください
つまみにします。」などといえば、叩き出されよう。
思うさま、これを食べてみたい、と、思い至ったのである。
会社帰り、スーパーで、一応、ねぎどんの、桜えび天を再現しようと、
桜えびを探すが、桜えびは、一袋、いくらも入っておらず、
¥300もする。由比町産としてあるが、これはいかにも、高い。
そこで、鮮魚売り場で、安くなっていた、いか刺し。
これを購入。
帰宅。
今日は、天ぷらが主ではない。天かす。
妻が帰宅していたので、おろしは、妻に。
天ぷら油を鍋に張り、準備。
いかは、小さく切っておく。
ねぎどん、に倣い、玉ねぎ微塵切りを入れよう。
ボールに氷をいれ、冷水を用意。
油に点火。
冷凍庫から、小麦粉。卵が切れていた。今日は、たまごなし。
小麦粉を冷水に入れ、荒く合わせ、
いかと、玉ねぎ微塵切りを入れる。
少し、ゆるめを目指し、かき揚げとして、油に投入。
かき揚げ2個ほどと、天かすを作る。
おろしは、もちろん、しこたま。
玉ねぎ微塵切りは、ねぎどん、で、実績があるが、
やはり、うまい。
玉ねぎが柔らかくてもうまいが、カリッと揚がっても、また、香ばしくうまい。
さて、玉ねぎ微塵切り入りの天かす、に、天つゆ(桃屋のつゆ)に
おろし、である。
やはり、かなり、うまい。
ご飯にかけても、もちろん、うまかろう。
油っこいものと、甘辛、それをおろしが緩和し、
また、逆に言うと、おろしの辛味を油っこい甘辛が緩和する。
おろしの食べ方としては、
筆者は、黄金の組み合わせではなかろうか、と、思うのである。
むろんのこと、B級であるが、とてつもなくうまい。
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