断腸亭料理日記2005
10月7日(金)夜
初めて、つくばエクスプレスに乗って、柏から帰ってきた。
(往きは、常磐線で行った。)
なにか、不思議な列車である。
一度、試しに、秋葉原から、筆者の最寄の新御徒町まで
一駅だけ乗ったことがあるが、少し長く乗ると、やはり、印象が違う。
北千住から先は、駅間はそこそこ広いのであろうが、すべてが高架であり、
(地下もあったか、、?)当然踏み切りもなく、
ほとんど、直線のように感じるほど、とても乗り心地がよい。
スピードも出ているのであろう、ちょっと、新幹線のような感じがする。
何が不思議なのかというと、そんな乗り心地に対して、
客層、と、いってよいのであろうか。
乗っている人々である。
夕方、柏の葉キャンパス駅から乗ったのだが、
座れない。
けっこう、混んでいるのである。
ガラガラ、なのかと思ったが、どうしてどうして、けっこう
繁盛しているではないか。
つくば、から乗ってきた、サラリーマン(?)ばかりかと、
思っていたら、そうでもない。
学生?、高校生?、もちろん、そんな感じの人もいるが、
そればかりではない。筑波山にでも観光にいったのであろうか、
お土産の紙袋を持った、年配の方などなど、
種々雑多、これといって掴み所のない。
無線LANの繋がる、ハイテク車内ということで、有名だが、
PCを開けている人など、まったくいない。
つくばから帰りのビジネスマンは、乗り心地のよさに、金曜日の
お疲れモードで、大きな口を開けて、寝ている。
(筆者も、座って寝たかった。)
途中の接続も、東武野田線、と、武蔵野線くらいで、
乗り降りもさほどに多くはない。
やはり、掴み所がない路線である。
浅草で降り、なにか食べることにしよう。
浅草駅は、国際通り、ROX前になる。
駅は古川緑波、田谷力三、池波先生等々、浅草に縁のある方々の
イラストの大きなタイルなどが張られ、なかなか、よい感じである。
なにか、洋食の気分であった。ヨシカミ、とも、思ったが、
あまりに何回も書いているので、芸がなかろう、
ちょっと、新機軸。
前に、浅草でビーフシチューと、いうテーマをいただいて、
ぱいちを、書いた。
もう1軒、宿題の、フジキッチン、である。
ここも、老舗。浅草では知らない人はない。
筆者ももちろん知っていたが、入ったことはなかった。
理由の一つは、夜が早いこと。(LO 20:15)
また、ビーフシチューがあまりにも有名であること。
(筆者、ビーフシチューが、大好物である、と、いうわけではない。)
もう一つは、雷門の直近、仲見世裏、と、いう場所。
どうもあのへんは、観光客相手の店が多く、
ちょっと、引いてしまい、足があまり向かないのである。
余談である。
浅草で、観光客が来るところには行きたくない、のは
正直のところ、人情である。
ただ、地元風を吹かせたいわけではない。
はっきりいって、浅草という場所と、ただ古いだけで、
まずくて(もしくは、飛び切りうまいわけでもなく)、
気分の悪い店。
また、老舗でなくとも、あの界隈、場所だけで
商売している店も、少ないとはいえない。
そんなところは、わざわざ、浅草へ来て下さった方々にも
もちろん、お勧めはできない。
また、歩きずらい。新宿や渋谷の雑踏とも違う歩きずらさ。
(これは仕方がないかも知れない。不案内な方々が歩いていれば
歩くテンポが違うのは当然である。
歩いている人は、観光客の方が多いという、東京の中では、この界隈と
原宿竹下通り(?)というような、かなり特殊な地域なのであろう。)
そうすると、どうしても、比較的、観光客の少ない、六区、観音裏、
千束あたり、の方が、落ち着けるというのもまた、人情である。
しかし、浅草全体のことを考えると、それでも、人が来てくれるのは
よいこと、と、思わねばいけない、こと、なのかも知れない。
さて、フジキッチン、で、ある。
戦後すぐの開店で、60年近く経っているという。
ヨシカミも、同じ頃。
(もっとも、これは、東京の洋食屋のなかでは、さして古くはない。
銀座・煉瓦亭(明治28年)、やら、日本橋・たいめいけん(昭和6年)、やら、
人形町・芳味亭(昭和8年)、同じく、小春軒(明治45年)、
吾妻橋・吾妻(大正2年)、根岸・香味屋(大正14年)などなど、
上には上がゴロゴロある。)
六区から、雨がぽつぽつ、くるなか、早足で、向かう。
年代物の看板。
ちっちゃな、昔の喫茶店のような佇まい。
お若い方には、とても古臭い、もしくは、暗い、
そしてそれがまた、入りずらいと、感じるられるかも知れない。
中も、カウンターと、古く低い、皮のシート。
これも、古い喫茶店のイメージであろう。
年配の女性二人が、店内。
ビール。
「アサヒと、キリンどちらにします?」
「キリンで」
ビーフシチュー¥2500。
運ばれる。
まずは、でかい。大きな塊がゴンゴンと、二つ。
和牛のバラ肉であるという。
柔らかい。フォークで切れる。
我ながら、思うのであるが、ビーフシチューを看板にしている店で
柔らかくないわけがない。
よって、これは、誉め言葉にはならない。
デミグラスソース、である。
濃い。
そして、バランスが取れている、といえばよかろうか。
筆者の好きなデミグラスソースは、根岸・香味屋。
近いかも知れない。
若干、苦味が強いようにも思う。
ともあれ、やはり、ご飯に合いそうで、ある。
付け合せは、にんじんと、いんげん、ペンネ、
ちょっと独特な、マッシュポテト。
これが、うまい。
かなり、でかいために、食べでが、ある。
これだけでも、本当に、腹一杯になる。
なるほど、うまかった。
店を出ると、雨はあがっていた。
歩こうかとも思ったが、せっかくであるから、つくばエクスプレスに
もう一駅乗って帰ってみた。
やはり、浅草からの帰宅は、地下深く潜るよりも、歩きか、タクシー、
または自転車の方が、気分である。
TEL 03-3841-6531
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