断腸亭料理日記2005
9月29日(木)昼
さて、ここも、課題であった。
日本橋は、なぜか来る機会がなく、また、
ここは、土日休みである。
さて、町名は日本橋本町。
ご存知の通り、このあたり、大正12年の関東大震災まで、
魚河岸のあったところ。
江戸の頃
魚河岸の歴史と地図(築地のマグロ仲卸店・鈴与さんのページ。)
そばよしは、場所としては、昭和通り沿い。
江戸橋北詰の交差点から、数軒、北へいった左側。
一本目の路地の手前である。
この路地、按針通り、と、いうらしい。
按針通りの、“按針”とは、三浦按針のことである。
三浦按針は、江戸初期、家康に仕えたイギリス人。
近くに、現在、碑も建っているが、やはりこの付近に屋敷があり、
町名としても、按針町として、残っていたようである。
店の前には白いのぼりが立っている。
看板には、鰹節問屋直営、化学調味料を一切使用しないつゆ、と、
生そば茹で立て、であることが、うたわれている。
魚河岸跡のこの場所と、鰹節問屋直営とは、無関係ではなかろう。
また、浅草千束・ねぎどん、北上野・山田製麺所本店、などなど、
製麺所直営は、さほど珍しくはないが、鰹節問屋とは、
ちょっと珍しいのではなかろうか。
AM11時頃。昼時には少し早い。
店に入る。狭いが、明るく、きれいである。
さて、なににしよう。券売機の前で、しばし考える。
このところ、筆者、路麺では、冷しのかけ、になっていた。
ここも、冷しのかけ、ができるようなので、
かき揚げに、辛味大根のおろし、を入れてもらう。
茹で上がる、時間、少し、待つ。
お客は、引きも切らさない。
かき揚げと、海苔、おろし。かき揚げの下には、削り節。
最近、路麺を見分ける、鼻、というのか、目、と、いうのか、
そんなものが、ついてきたような、気がするのである。
見て、一口食えば、わかる。オーラを発している。
本物の、オーラ、である。
なるほど、これは噂、通り。
そばは細めで、しゃっきり。
かき揚げは、ぶ厚いが、丁寧に、パリっと揚がり、
玉ねぎに、にんじん、桜えびも、入っている。
自慢のつゆも、何をかいわんや。
うまい、うまい。
江戸前の穴子一本を使った、穴子天も人気のようである。
むろんのこと、つゆは、そば湯で割って、飲み干す。
さすが、で、ある。
これだから、路麺というもの、なんとも、すばらしい。
そして、一路麺ファンとして、改めて、少し、不思議に思ってしまった。
なぜ、ここまで、うまい物を出しているのか。
それぞれ、個性は違う。
しかし、共通するのは、出す、そば一杯一杯への、真摯な姿勢なのかと思う。
なぜ、東京にあって、今時、この値段で、ここまで、真面目に作っているのか。
愚問かも知れない。
あたりまえなこと、と、それぞれのお店からは、声が返ってきそうである。
先に、オーラと書いたのは、このことである。
うまい、路麺に共通するオーラは、この真摯さ、なのである
ともあれ、そばよし、また一軒、筆者の大好き路麺リストに加わった。
すばらしい。
TEL 03-3241-0884
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町1丁目1−7
地図
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