断腸亭料理日記2005
5月19日(木)夜
5月に入って、鰹の季節になり、ずっと、食べたいと、思っていた。
これ、池波正太郎レシピでもある。
先生の、子供の頃からの好物で、
下町のこの季節の、普通のお惣菜であった。
昨年は、田原町の赤札堂にあったのを、買って食べていた。
鰹というと、今、一般的には刺身、なのであろう。
また、刺身でも充分に安い。
火を通して、なまり、として売られているのは、
大方、切り落とし部分や、刺身の売れ残り、である
ことが多いのであろう。
従って、必ず、ある、というものでもないのか、
なかなか、スーパーで目にすることがなかったのである。
そこで、刺身用のものを使って、作ることにする。
作るのは、生鰹節の酢の物、甘酢かけ、である。
なまりの他に、きゅうりと、わかめを入れることにする。
きゅうりは、スライスして、塩もみ。
しばらく、置く。
わかめは、塩蔵もの。
いわゆる、水ですぐ戻るもの(ふえるわかめ)は、
使わないことにしている。食感も味も、まったく違う。
筆者、ここ何年か、わかめを、あまりうまいものではない、と
思っていたのである。これは、ふえる・・・のおかげ(?)である。
路麺に通うようになり、柳町の白河そば
であったか、わかめが必ずのるのだが、ここのものは、うまい。
過去に、徳島で、うまい、わかめを食べたことがあった。
徳島は、もちろん、鳴門のわかめ、が有名である。
こうした、うまいわかめは、有名な産地ならでは、のもの
かと思っていたのである。
しかし、必ずしも、有名なものでなくとも、買ってみると
塩蔵物であれば、ふえる・・・よりは充分にうまい、
と、いうことに、気が付いたのである。
わかめは、水で塩抜き。
(たいして時間はかからない、
面倒がらず、塩蔵ものを使うべきである。)
刺身用の、サクは、腹の部分で、脂もちょっと、ある。
長いので、半分に切って、茹でる。
(蒸す場合もあるようである。)
5〜6分。
すぐに、冷水に入れておく。
きゅうりは、再度水洗いし、ペーパータオルで水分を取る。
食感がなくなるので、絞らない。ふく、程度にとどめる。
わかめは、水からあげ、一口程度に切る。
これも、ペーパータオルで水分を取る。
なまりも水からあげ、一口大に手で裂く。
う、ちょっと、生、部分がある。
しかし、もともと、刺身用。問題はなかろう、、が、、、
うまいかどうか、で、ある。
やはり、茹でても、脂は、ありそうである。
ちょっと、甘めに、合わせ酢を作る。
盛り付け、酢を掛け回す。
思うのであるが、鰹というもの、刺身よりも、
こちらの方が、うまいのではなかろうか。
鰹という魚、戻り鰹は脂が乗って、また、別の味があるが、
この季節の鰹は、脂という意味では、なんということはない。
なんであろうか。
昔からの、単なる、希少価値。
走りを喜ぶ日本人の習性、であろうか。
生の鰹は、光物とはまた違った、独特の生臭さと、
まぐろなどとも、違う血の味がある。
それと比べれば、若干レアの今日のような、生鰹節、を
甘酢で食べる。
生臭さも取れ、レアであればパサパサ感もなく、とてもうまい。
筆者は、この時期の鰹、こちらの食べ方に一票である。
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