断腸亭料理日記2004
10月21日(木)夕食
今日は、ちょい、仕事に、嫌気がさす。
妻に、連絡をとり、飯を食うことにする。
8時、広小路と春日通りの交叉点で待ち合わせ。
どこにしようか。
特に考えていなかったが、一心?
池之端藪は、もう終わりの時間である。
韓国鍋でも、ないか。
ラーメン屋二三太楼、、、大喜、、、?
春日通りを天神下方面に歩く。
右側。、、お、天庄。
湯島天神前の老舗天ぷら屋の広小路店である。
天庄は拙亭の近所、三筋の天ぷら屋、みやこし
の主人が修行をしたところ。
こちらには、来たことがなかった。
入ってみよう。
天庄は1912年、大正元年創業。
この年は、当然ながら、明治が終わった年。乃木将軍が殉死。
中国では、ラストエンペラー宣統帝・愛新覚羅溥儀が退位して清朝の滅亡。
また、あの、タイタニックが沈没した年でもあるようである。
今の天庄本店は天神前であるが、創業は広小路店のある
この場所であるという。
当時、と言えば、このあたり、
花街として最も賑わった頃ではなかろうか。
店の間口(まぐち)は三、四間(けん)であろうか。
さほどに大きくはない。
そういえば、この天神下界隈、どこも間口はさほど、
大きくはない。間口が小さく、奥に深い。
花街という、場所柄なのであろうか。
小料理屋といった趣きの、のれんをくぐり、店に入る。
左手にカウンター、右手にテーブル席。
カウンターに、2、3人。テーブルに、4人ほどの一組。
さほどに、混んではいない。
手前カウンターに座る。
天丼¥1550から、定食が¥2800、¥3500、
その上に、¥4200の特定食。一番上が¥6800の梅定食。
(湯島の梅なのであろう。)
¥3500の定食にする。
ビールをもらう。
カウンターの上部、ちょうど、目線の位置の黒い板に、
かわいい鮎が群れをなして泳いでいる姿が、彫り込まれている。
さりげないが、こうした場所の老舗らしい。
サイマキ海老。
いか(モンゴウ)。
きす。
穴子。
薄衣である。
とくに、きす、穴子の揚げ具合が、よかった。
ひじょうに、ほっこりと、揚げられている。
うまい。
天つゆは、いわゆる、味の濃い江戸前ではなく、薄め。
(みやこし、よりも薄い、かも知れない。)
野菜天。蓮根、しし唐。
芝えびかき揚。
げんこつ大、ボール状に揚げられている。
しじみ赤だし。ご飯。
ちょっと、予想を裏切る、よい意味の、軽さで、
うまかった。
店も、老舗然とした敷居の高さ、などもなく、
ほどよく落ち着いており、よい。
肩に力が入らず、技はしっかり。
名人の揚げる有名店、銀座の老舗などなど、天ぷら屋もいろいろある。
場所もよい。筆者には、ひょっとすると、こんな店が、
東京で最もよい天ぷら屋なのかも知れない。
住所 東京都文京区湯島2−26−9
電話 03-3831-6571
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