断腸亭料理日記2004

神楽坂・うなぎ・たつみや

10月29日(金)昼食

ここ、書くかどうか、迷ったのであるが、
ありのまま、を、書いてみようと思う。

前にも浅草・色川の回に書いたが、
MSNの著名人の愛した鰻というページ
に、池波先生の愛した、野田岩・日本橋高島屋特別食堂
に、並んで、ジョンレノンとオノ・ヨーコの愛した店、というので、
こちら、神楽坂・たつみや、が載っていた。

オフィスにも比較的近い。

昼、うなぎが食いたくなった。

この時期、本当は、うなぎがうまくなる時期でもある。
冬を前にして、うなぎは丸々と太り、脂ものってうまくなる。

昔、平賀源内先生が、うなぎの売れなくなる夏、
うなぎの販促策に、「夏こそ体力作りに、土用の丑の日は、うなぎ。」
ということを考えついたのは、あまりにも有名である。

テクテク歩いて、毘沙門様の脇を抜けて、本多横丁。

もちろん、前から知っていたが、入ってみるのは、初めてである。

それこそ、今年の土用の頃には、列もできていたような記憶もある。
仕舞(しも)た屋風の佇まい、よい雰囲気の暖簾。
神楽坂、本多横丁という、名前。
江戸気分を盛り上げる、道具立ても、よい、のであろう。

中は、小上がりの座敷と、テーブル席。

それぞれが、よく考えると、どこにでもある、
普通のうなぎ屋さん、なのである。

真中の、¥1600のうな重にする。

肝吸いと、お新香。
うな重。

どうということはない。

近所の、うなぎ屋さん。
それ以上でも、それ以下でもない。

ここを、尾花、野田岩はもちろん、色川、初小川、などと、
比べるのは、土台、違う。

アラーキーは、別にして、
ジョンレノンが、蒲焼の味がわかったか、ということを
考えれば、自ずと、答えは出ている。
池波先生と、ジョンレノンである。
どちらが、うなぎの味が、わかる、か、である。
比べるまでもない。

アラーキーは、ひょっとして、近所・神楽坂に
住んでいるのではないだろうか。

ここの、お店の方、お客さんが来てくれるのは
よいことだと思っておられるだろうが、
味について、「がっかりした」、「店員の、女の子の、愛想がない」、、
などなど、と、評されるのは、ちょっと、違う、
と、考えて、おられるのではないだろうか。

まあ、ジョンレノンといえば、インパクトは、ある。
企画としては、おもしろいのかも知れない。

しかし、わざわざ、遠くから、来る、味では、ない。
近所の、うなぎ屋さん、で、ある。

そもそも、取り上げるのが、間違っているのか、
取り上げ方が違っているのか、、、。

(少なくとも、「絶品」は、違うであろう、、、。)(MSN)

ちょっと、話はずれるが
こうした、ポータルサイトの企画ページ、なにか、違う、ものが多い。

少し前に「yahoo」が日本の全国ラーメン店のランキング、なるものを
企画していた。乱暴である。

各地区から、ノミネート、と称して、東京であれば、5、6店を
候補に上げ、その中で投票しろ、というもの。
見かけた方もおられるだろう。

こんなもので、全国のランキングをつけられたら、たまらないであろう。
東京に、何千軒(何万軒?)とある、ラーメン店のうち
なんの根拠もなく(ネタ元は「ラーメン日本」全国のタウン誌が選んだと、いう。)、
「ノミネート」した、数店。
ノミネートされなかった、数多くの店は、どうなるのか?

雑誌などの、歴史のある印刷媒体では、
ここまで、詰めの甘い企画は、ありえない。
もちろん、編集長など、チェックする年嵩(としかさ)の方がいる。

企画は、企画会社の若いライターやプランナーなどに丸投げ。
MSNや、Yahooの若い(?)、担当者は「俺たちは、知らん」。
そんなところであろうか。チェック機能がない。
歴史のない、ネット媒体の弱点であろう。

影響力があるだけに、MSNや、Yahoo、コンテンツの質にも
自らに大きな責任があることに、気が付くべきである。


ともあれ、神楽坂・たつみやさん、まずい店でも、不快な店でもない。

近くに来られて、うなぎが食いたくなったら、
一度、話の種に行かれてみてもよいかと、思われる。


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