断腸亭料理日記2004
5月19日(水)夜
東京は肌寒い雨である。台風も来ている。
四国松山へ日帰り出張。
松山は雨は落ちていなかった。
羽田から京急、都営浅草線でそのまま浅草まで帰る。
今日は、久しぶりに、ヨシカミへ行こうと思う。
浅草六区。
浅草軽演劇華やかなりし頃の中心地。
明治大正、昭和の30年代くらいまでであろうか
東京の舞台演芸のメッカであった。
古くは、田谷力三などの浅草オペラ。
榎本健一(エノケン)、古川ロッパから渥美清、萩本欽一、
ビートたけしまでの浅草喜劇。
今でも、寄席、大衆演劇、映画館、ストリップ小屋などなど
往年の賑やかさは失われたが、まだまだ、健在。
ヨシカミはその六区の一角にある。
浅草は早仕舞いの店が多いが、ヨシカミは22:00まで。
また、浅草は洋食屋も多いが、筆者には、一番よい。
看板の「うますぎて申し訳ないス!」のキャッチコピーは
あまりにも有名。
店の中は、さほどに広くはないが、席数は意外に多い。
カウンターとテーブル。
カウンターの中が調理場。
カウンターに座ると、コック達の仕事振りがよくわかる。
また、コックの数が妙に多い。それぞれ、役割が決まっている。
また、それぞれが、きびきびと動いているのもよくわかり、
気持ちがいい。
ビール。
浅草は、スーパードライに決まっている。
(アサヒビールの本社は、吾妻橋である。)
かき餅(のようなもの?)がお通しで出る。
ポークカツレツ。
本当であれば、いつもは、これと、チキンライスなのだが
このところ、胃腸も疲れ気味のため
カツレツだけ。
メインの料理と普通はライスであるが、
これを、味付きのご飯にする。池波先生流である。
何かとてつもない贅沢をしたような気になる。
これが、いい。
コックたちの働きぶりを見ながら
鬼平を読みながら、待つ。
ほどなく、ポークカツレツが運ばれる。
ポークカツレツと、とんかつとは別のものである。
歴史は洋食である、カツレツの方が先である。
カツレツが、大正、昭和、和食となり、とんかつになった。
とんかつの発祥は、上野という。
ヨシカミのポークカツレツは、
感覚としては、とんかつよりは小ぶりな印象の豚ロース。
デミグラスソースが添えられ、ポテトサラダと、
キャベツが添えられる。
衣がけっこうしっかりしており、
軽い感じに揚げてある。
デミグラスソースと、軽さが
洋食のカツレツかな。
うまかった。
歩こうかとも思ったが、
今日は疲た、雨でもあり、タクシーで帰宅。
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