断腸亭料理日記2005

三筋・天ぷら・みやこし・小柱かき揚げ

◎3月20日をもって、断腸亭料理日記再開、メルマガ配信1周年になりました。

読者の皆様のおかげをもちまして、曲がりなりにも1年、書いて
これたと思っております。本当にご愛読ありがとうございます。
今後とも、ご指導、ご鞭撻、間違いのご指摘、
などなど、メール、コメントいただければ、うれしく思います。
新たな一年、よろしくお願い申し上げます。
(本日配信分から、断腸亭料理日記2005、といたします。)

******************************

3月19日(土)夜
貝柱のかき揚げ、である。

・・・そこで、佐嶋与力は、はじめて和やかな表情となり、

「ま、久しぶりだ。一緒に蕎麦でもやろう。ここの天ぷらはうまいぞ」

酒がきた。貝柱のかき揚げを浮かせた蕎麦もきた。

「むかしはむかし、今は今だ。お前もむかしの仲間どもから密偵よばわり

 されているが、いぬはいぬでも、只のいぬではない。

 何万江戸市民のためにはたらく忠犬なのだぞ。・・・」。

池波正太郎著 鬼平犯科帳2 密偵 文春文庫 から

例によって、スカパー時代劇専門チャンネルで、鬼平をみていた。
佐嶋与力と、密偵・弥市の、麹町四丁目の蕎麦屋[瓢箪屋]での
シーンである。(吉右衛門版の佐嶋は高橋悦史氏(故人)。)
佐嶋の密偵である弥市。いぬ、になったことを、後悔している(と、みた)
弥市に、佐嶋与力が、諭す。


「貝柱のかき揚げを浮かせた蕎麦」、である。
この貝柱は、いうまでもなく、小柱。青柳の貝柱である。
つまり、小柱のかき揚げ。

小柱のかき揚げのそば、が、メニューにあるそば屋、筆者の行きつけの
ところでは、思い浮かばない。
(小柱をそのままのせた、あられそば、であれば、池之端藪にある。)

「貝柱のかき揚げを浮かせた蕎麦」、ありそうで、なかなかない。

もちろん、路麺などには、あるわけない。
神田和泉町「二葉」には、あさりのかき揚げ、で、あれば、ある。↓追記参照。)

小柱のかき揚げ、なんとも、魅力的な響きではないか。
そして、なんとも、粋ではないか。

かき揚げは、芝海老もよいが、小柱、というところが、
よい、ではないか。

前から、天ぷらやへ行って、小柱のかき揚げだけを、いやというほど、
食べられたら、幸せであろう、などと、夢想していた。

もちろん、お金を払うのであるから、当然、頼めば、
いくらでも食べられるのであるが、意外としないもの、である。
寿司やでも、天ぷらやでも、勇気がないのか、
同じネタを連続して頼む、なんという、わがままな頼み方は、
筆者は、一度として、やったことはない。

と、すると、そろそろ、季節でもあるし、
自作、してもよいが、今日は、妻も、天丼が食いたいといい、
久しぶりに、みやこし、にする。

最後のかき揚げが、小柱であることを確認し、
¥3000のコースにする。

小柱もよかったのであるが、今日は、これも時期のもの、
白魚、が、あった。これは、うまかった。
小さい、点々のような、黒い目玉が見えるほどの、薄衣で揚げたもの。
淡白で、香ばしい。春の味であろう。

前にも書いているが、ここ、みやこしは、
ネタ、腕のわりに、リーズナブルである。

ともあれ、いつになったら、いやというほど、
小柱のかき揚げ、を、食う、という夢が、実現するのであろうか。


みやこしHP


2005/03/30追記
神田和泉町の路麺・二葉には、貝柱のかき揚げ、はあるよう。
ただし、以前、筆者の行った、夕方にはなくなっていた。
早く行けば、あるのかな、、、。

2005/04/28追記
二葉の「貝柱のかき揚げ」を検証。昨日食べに行った。
確かに、あるにはあるのだが、小柱ではなく、小さいホタテ、であった。
残念!。

『募集』
「断腸亭に食わせたい店」、随時、大募集。
あなたのお勧め、ご紹介いただければ、うれしく思います。
その他、ご感想、ファンメール(?)も是非!!


断腸亭料理日記トップ | 2004日記リスト1 | 2004日記リスト2 | 2004日記リスト3 | 2004日記リスト4 |

2004日記リスト5 | 2004 日記リスト6 | 2004 日記リスト7 | 2004 日記リスト8 |2004 日記リスト9 |

2004 日記リスト10 | 2004 日記リスト11 | 2004 日記リスト12 |

BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2005