断腸亭料理日記2004

大根と油揚げの鍋

1月31日(月)夜
池波正太郎レシピである。
何回か書いているが、鶏と大根の鍋。

98年

昨年

これの変形版である。

梅安と萱野の亀右衛門の場面。

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 「ま一つ、こんなものでもよければ、いっしょに箸を入れながら、

 話し合いましょう」

 畳に部厚い桜材の板を置き、その上の焜炉(こんろ)に

 土鍋が懸かっている。

 ぶつ切りにした大根と油揚げの細切り。それに鶏の皮と脂身を、

 これも細切りにし、薄目の出汁をたっぷり張った鍋で煮ながら食べる。

池波正太郎著 「仕掛人・藤枝梅安 梅安針供養〜あかつきの闇」講談社文庫から

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このところ、「梅安」を読み返している。
「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」と
池波先生の人気、3シリーズ。

この中でも、「梅安」は最も暗く、壮絶。
そのせいか、何度か読み返しているのだが、やはり、その頻度は、
他の2シリーズよりは、少なかった。

それにしても、この作品には、鶏と大根の鍋がよく出てくる。

簡単であるので、ウイークデーに作ろうと
週末から考えていた。

鶏皮、と油揚げ。

例によって、鶏皮は、スーパーなどには売っていない。
仕方がないので、手羽元を買って帰る。

帰宅。

炭を熾(おこ)す。
同時に、土鍋に水を張り、手羽元を入れ、火にかける。

大根は、時間がかかるので、今日は、千六本にする。

ちなみに、同じ梅安には、あさり剥き身と、大根の千六本の
湯豆腐、というのも出てくる。
あさり剥き身は、安くないので、なかなか、試せない。

鉄瓶もお燗用に、かける。

熾きた炭は、火鉢に移す。

土鍋は今日は、しょうゆと酒で少し味を付けておく。

大根と、きざんだ油揚げを入れ、一度沸騰させて、火鉢へ移す。

鉄瓶で、燗をつける。(菊正宗)

毎度書いているが、この場面、長火鉢がほしくなるところである。
火鉢で鍋をやると、同時に燗をつける、ということができない。
長火鉢は、これが可能なのである。
酒呑みには、これ以上ない家具ではなかろうか。
立たなくとも、燗がつけられる。
(しかし、陶器の火鉢以上に、長火鉢まで買ってしまっては
とても、平成の世に生きている者ではなくなってしまうか・・・。)

千六本であるため、すぐに、煮える。

ちょっと、しょうゆをたらして、食べる。

大根の味としては、大きく切った方が、やはりうまいが、
油揚げとともに、バクバク喰うと、よい。

油揚げも、こうすると、いくらでも食べられてしまう。
酒もすすむ。

うまかった。

やはり、こんなものがうまい。



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