断腸亭料理日記2024

麻布十番・そば・更科堀井本店

4571号

5月29日(水)第一食

一日分、計算を間違えていた。

昨日雨。それもひどい。
それで、自転車操業になってしまった。

ともあれ。
今日思い付いたのは、麻布十番のそば[更科堀井]。

自転車操業だと、絶対に外せない。
今日食べたものを、今日書かなければいけない。

当然、読者の方々はお分かりならぬが、
食べても、書けない、あるいは、書かないことも
まま、あるのである。

[更科堀井]ならば外さないだろう、と。

昼営業は15時までなので、14時前に出る。

よい天気。暑い。

大江戸線でぐるっとまわって、麻布十番、
先頭で降りる。

大江戸線の麻布十番駅もそこそこ深い。

あがってくると、やっぱり日差しがまぶしい。
背後の崖側になかなか立派な石鳥居がある。
十番稲荷というよう。
なぜか、石の大きな蛙。
石段に紫陽花が植えられている。
あじさい祭、らしい。
写真を撮っている外国人観光客もいる。

信号が変わるのを待って、通りを渡る。

鳥居坂下まで歩いて、十番の通りへ。
右に曲がって、[更科堀井]。

自動ドアが開いて、入ると、いらっしゃいませ〜、
と、旦那であろうか、帳場に座っている
男性の声。

一人、というと、真ん中の大きなテーブルの
カウンター席へ。
テーブルの真ん中に大きな、植物が飾られている。
あれ?、これも紫陽花か。

さて、やっぱりビールだ。
ここは、生もあるがちょい高いので、中瓶。
中瓶はご丁寧に、キリンラガー、スーパードライ、
黒ラベルと3社揃えている。
以前は、3社の主要ブランドを揃えているのが、
あたり前であった。こういう気の使い方を飲食店は
していたのである。今となっては珍しいかも
しれないが、こういうところがこの店のよさ、かも
しれない。
ここのお客は外国人も多いが、高齢の男性一人、
というのも意外に多い。
なんでもかんでも、今風にしないでほしい。
そばやくらい。
そばとそばやは、東京の大切な食文化であったの
だから。

キリンラガーをたのむ。

ともあれ。
つまみは、前回も食べた、三点盛と、
かき揚げをもらおうか。

前回、このかき揚げを無理に(?)“ぬき”にして
もらったが、そのまま食べよう、と。

ビールがきた。

お通しは、揚げたそば。
前回もこれだったので、ここは、これが
定番、なのか。

三点盛。

左が、ヤングコーンの天ぷら。
揚げたて。
中が、上にのっているのはクコの実か。
色は緑なのだが、味はやはり胡麻豆腐のよう。
緑はなんであろう、結局わからなかったが。
右は、具沢山の卯の花。

どれもなかなかのもの。

そして、かき揚げ。

天つゆにおろし。
三つ葉と芝海老。
細かく揚げるのが、ここの特徴。
サクサクだが、つゆに入れるので、最初だけ。

さて、そばはなんにしよう。
最近、とろろばかり食べているが、ここのも
食べてみようか。

旦那(?)自ら運んできた。
冷やしとろろ、という名前。

お、ここもつゆととろろが別のタイプ。

どうもこちらの方が多い。
味を付けているのは、藪系のみ、ということか。

つゆをとろろに入れ、うずらの玉子もよく混ぜる。
安全をみて、つゆは少し残す。

箸にわさびを取って、一箸分取って、手繰る。

そばは太い、ここでいう田舎、のよう。
ゴワッとした、かなりの腰。

ここのそばは、ノーマルなものと、さらしな、
田舎、に、季節の変わりそば。

ともあれ。
このくらい太くて、しっかりしているのもまた、
うまいもんである。

とろろなので、これ、ということであろう。

なかなか考えられている。

手繰り終わり、そば湯で割って飲み干す。

帳場の旦那(?)。
勘定をして、出る。

旦那が店にいたから、なのか、わからぬが
前回と多少雰囲気が、違っていたような。

やっぱり、麻布十番[更科堀井]本店、
おもしろい。

 

更科堀井

 

 

 

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