断腸亭料理日記2024
4525号
3月12日(火)第一食
さて、雨、で、ある。
薄ら寒い。
書いている通り、基本自転車で移動しているので
雨だと食うところの選択肢が減る。
徒歩か、バスか。
稲荷町の吉野家へでも行こうかと15時前、傘を差して
徒歩で出る。
ん!?。歩きながら考えた。
そうか。
地下鉄に乗って、どこかへ食べに行けばいいんだ。
基本、第一食は、買い物だったり、なにかついで
でもなければ、地下鉄に乗ってとまで、
考えたことがなかった。
食べることだけを目的に遠出をしてもなんら、
問題はないわけである。
銀座?、日本橋?。
そうだ!。
最近、なにかのTVで視た銀座の[泰明庵]という
そばや。
あそこに行ってみようか。
知る人ぞ知る人気店のようだが、私は知らなかった。
銀座線を銀座で降りる。
泰明小学校のあたりだと、銀座線の改札から、地下を
通って数寄屋橋、さらに銀座ファイブを抜ければ、
近くまで濡れずに行ける。
地図。
出たところは、帝国ホテル手前のガード下。
みゆき通りとコリドー通りのT字路。
この南東のみゆき通りと交詢社通りをつなぐ裏通りのよう。
このあたりの裏通りは歩いた記憶もないかもしれぬ。
おお、あった、あった。
小さくて、古びて、なかなか味わいのある店である。
「そば軽食[泰明庵]」という看板。
軽食、というのはなんであろうか。
ただのそばや、ではないのか。
15時頃、硝子格子を開けて入る。
狭い店は大にぎわい。
一人、というと、女将さんが、お二階へ、と。
目の前の梯子段をあがる。
二階もあるのか。
二階は、半部ほど埋まっている。
階上のお姐さんがお食事ですか、と、聞く。
いや、ちょっと呑みたいです、と応える。
こういうこたえよいのか?。
予約と書かれたテーブルに掛ける。
ただ、予約は19時から、と。
まさか、そんなには、いない。
壁いっぱいに、様々な酒の肴。
なるほど、人気の訳はこういうことね。
酒を頼もう。
特に店定番の決まった銘柄があるわけではないよう。
お燗はなんですか、と聞くと、出羽桜、とのこと。
じゃ、ぬる燗で、というと。
お燗機なので、ぬる燗はできない、と正直なこたえ。
はいはい、と応えて、お燗機の熱燗を出すところも
あろうというもの。
じゃ、冷(ひや)でいいです。
それから、まぐろ中とろ。
酒と刺身がきた。
なかなか、よい色の中とろ。
うまいもんである。
呑みながら、つまんで。
そばは、なんにしようか。
天ぷらも様々あるので、もりと、旬の桜海老かき揚げ
で行こうか。
もりがきた。
つゆはよいが、ちょいと水っぽい?のは気のせいか。
桜海老かき揚げもきた。
天つゆはいりますか、と聞かれたのでもらった。
かなりパリパリの揚げあがり。
ちょっとおもしろいそばや、で、ある。
食べ終わり、呑み終り、下で勘定。
ご馳走様でした。
これを書こうと、ちょいと調べていると朝日新聞の
こんな記事を見つけた。
なんでも、ここの創業は昭和30年(1955年)。
[天國]で修行をした初代がここで料亭相手の高級魚やを
開いたのが最初らしい。当時の、このあたりは、
「普通の住宅と花柳界の料亭や置屋が混在する」街で
あったという。普通の住宅があったのは驚きだが、
なるほど、今もこのあたりまで、クラブがあるのは
その名残だったのか。
料亭や芸者町が下火になり、店は仕出し中心になり、
さらに食堂から、うどん、そばも出すようになったという。
それで、女将は「そば、うどんは専門じゃないんです」
だから「そば軽食」と今でも名乗っている、と。
なるほど、それでよくわかった。
かき揚げは、そばやのものではない。
[天國]にルーツがあったのか。
名物は、冬の、根まで入った芹そば、芹のカレーそば
であったらしい。またきしめんもうまいよう。
惜しいことをした。
ともかくも、おもしろい。
そして、さすがに銀座らしく、ちゃんともしている。
中央区銀座6-3-14
03-3571-0840
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