断腸亭料理日記2024

日本橋高島屋特別食堂・うなぎ・五代目野田岩

4527号

3月14日(水)第一食

さて。

なにを食べよう。

まあ、お察しの通り、この日記のために食べている
という側面も否定できないのでなかなかつらいことも
あるわけである。

先日、雨だったので、どうせ徒歩なら遠くへ行こうか
と、銀座の[泰明庵]へ行った。
それで気が付いた。
まあ、あたり前なのだが、なにも今さら自転車に固執
しなくてもよい。
銀座線は、日本橋、銀座に一本。

池波先生も書かれているが、浅草に住んでいると
日本橋、銀座というのはやっぱり別格の街、
なので、ある。
上野浅草なら、スウェットでも行けるが、銀座日本橋は
そういうわけにいかない。

今日は、うなぎが食いたくなった。
選択肢は色々あるが、日本橋高島屋特別食堂に入っている
野田岩]。

ここならば、文句はあるまい。

池波レシピ、でもある。

また、味、サービスともに、ある意味東京一の
うなぎやの一軒といってよいだろう。

[野田岩]も麻布の本店と、その近所にある別館
その他いくつかあるが、どこでも同じかと思うと
そうでもない、のである。
[野田岩]の麻布本店は味もサービスもおそらく
東京一の一軒といってよいと思うが、それぞれ、
値段もメニュー構成も違っているし、サービスは
確実に違う。優劣がある。

と、いうわけで銀座線で日本橋まで出て、日本橋高島屋、
エレベーターで特別食堂まであがる。

ロビーがあり、受付。
ここで名前をいって、待つのだが、最初に20〜30分程度
お待ちになります、といわれる。

今日は、14時すぎ。
実際には、そこまでかからないのだが、長めに言って
おくことになっているのであろう。
早く呼ばれる分には、怒る人はいるまい。

ここのサービスは、少し前から帝国ホテルになっている
ようである。
流石の客あしらい。

やはり15分ほどで呼ばれ、中へ。

呼べれるまでにメニューを見ながらああでもない、
こうでもないと考える。

テーブルにつくと、お茶がすぐに運ばれる。
で、迷わずオーダー。

ビールと野田岩の寿という二段重、9,680円也にする。
ここの[野田岩]では最高のものになるか。
ノーマルなうな丼から白焼き丼他、かなりの種類が
あるのだが、せっかくここまでたのだから、これに
してみよう。

うな重に白焼き、う巻き、うなぎ燻製などが付くもの。

ビールは、一番搾りの中瓶。

ウエイター氏が、やはり最初の一杯は注いでくれる。
私が記憶にあるのは、帝国ホテル、銀座資生堂パーラー、
赤坂四川飯店の四軒であろう。どこも、最初の一杯は
注いでくれて、この、グラスの口ぴったりにとめて、
泡とビールのバランスが絶妙。
どこも訓練されている、ということであろう。

呑んで待つと、きた。

二段重とお椀、奥左が野田岩お得意の箸休めのおろし。
白いのはしょうゆの小皿。しょうゆさし、塩、山椒。

一段目、開けると。

お椀はもちろん、肝吸い。

一段めは、白焼き、ガラス小鉢の黒いのはキャビア、
右がうなぎの燻製と大根を薄く短冊に切ったもの、
おろし。その奥がう巻き。

二段目のうな重。

これは、野田岩のノーマルなうな重。

一度、二段目は戻して、一段目をつまむ。
キャビアは、このくらいの量では、まあほぼ味は分からぬ。
白焼きは流石のうまさ。むろん本わさび。

そして、うなぎの燻製。
ヨーロッパでよく食べられているのか。
私は、初めてではなかろうか。
かなり薄く切られている。スモークは浅い。
半生といった感じ。
意外に、うまいもんである。
もちろん、名にし負う野田岩、半端なものをここで
出すわけもなかろう。

つまみながら、ビールを呑み終り、うな重。
山椒を振って。

うな重はやっぱり、手に持ち掻っ込むのが
よろしかろう。
辛すぎもせず、甘すぎることもない、絶妙な
たれ加減の蒲焼。
そして、堅めに炊かれたれが染みた飯。

そして、やはり野田岩の蒲焼の真骨頂は焼き、
なのであろう。やはり一流のもの。

かなり腹一杯。

一段目の白焼き、燻製、う巻きなどが前菜で、
うな重がご飯と主菜になるのだろう。
ここまで一連の組み合わせは初めてであるし、
これ以上のものは、なかなかなかろう。
よく考えられたものである。

大満足。

ご馳走様でした。

丁重にお会計、11,132円也。

 

日本橋高島屋特別食堂

野田岩

 

 

 

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