断腸亭料理日記2024

三筋・天ぷら・みやこし

4610号

7月27日(土)夜

さて。

土曜日。

今日は、内儀(かみ)さんが[みやこし]の
予約をしていた。

ご存知、ご近所三筋の天ぷらや。

もう長く、お世話になっている。

天ぷらといえばここ。
特に新しい店を開拓する必要も感じていない。

ある意味、天ぷらという料理は出来上がっている
のではないか、と。
江戸前、というのか、東京の天ぷらは。

新しいことをしているところもあるようだが、
どうしても無理をしている、というのか、
あまり必要のないことをしているように感じる。
技術的に高くとも。

本来、江戸前の魚を揚げて食べる料理であったわけだが、
刺身でもなく、酢〆などでもなく、焼いたものでもなく、
煮たものでもない。
魚介類を天ぷらでしか生み出せない味に仕立て上げている。
これで必要十分であろう。

もちろん、この範囲で技術の向上ということは
あるのであろうが。

ただやはり、心配なのは、にぎり鮨でも同じことが言えるが、
伝統的な江戸前天ぷらの種である魚が獲れなくなっている
こと。
車海老だったり養殖技術が確立しているものはまだしも。

東京湾産は既に今は昔の話だが、全国に範囲を広げても
穴子、きす、などなど、どうしても天ぷらに欠かせない
魚が獲れなくなっている。
日本うなぎも然りだが、東京の食文化を支えてきた大切な
主人公を持続可能にすることが急務であろう。
日本人はあまりにこのことに無関心すぎるのではなかろうか。
魚は目の前の海にいつまでもいるわけではない。
和食は世界遺産であろう。

ともあれ。
そんなわけで[みやこし]。

17時半から。
内儀さんとぶらぶら歩いて出掛ける。

三筋湯の先。

暖簾を分けて入る。

ご主人と女将さんにご挨拶をして、カウンター奥へ。

注文はいつもの“特”の定食だが、値上げされた
とか。9,000円也。

ビールは、サッポロ黒ラベル中瓶。

お通し。

とろろ、オクラにいか下足入り。
細切りのきざみ海苔がお洒落。
夏らしく、爽やかに、うまい。

形通り、海老から。
最初は塩で。

サクサクの衣で海老はふんわり。

次は、天つゆで。

そして、頭。

これも、もちろん塩。
香ばしく、カリッカリ。

次は、いか。

めずらしく、身が厚くサクッとした食感の、あおりいか。
ここは基本、いかはすみいか。
もちろん、江戸前からの伝統だが、さすがに
産卵期のこの時期は、出回らないか。

次は、きす。

これも、サックサクの衣で、うまい。

そして、これ。

小鮎。レモンを絞って、さわやか。
骨までサクサク。

穴子。

例によって、ご主人は金属製の揚げ箸でサクッと切る。
これが気持ちよい。

半部は塩。塩でも、うまい。
もう半分はつゆで。

ふんわり、ホカホカ。

野菜天。

椎茸、蓮根。蓮根はもう新もの、のよう。土浦とのこと。
この後、アスパラ、小玉ねぎが出たが、撮り忘れ。

小玉ねぎ天が好きなのである。
基本、玉ねぎというのは、天ぷらにするとあまくうまいが、
厚めに切るが、ばらばらになって、揚げにくい。
それでまるまる一つが揚げられる小玉ねぎなのであろう。
ただ、自分では使えない。大量にできてしまうので。

そして、最後。

かき揚げだが、いつも天丼にしてもらう。

赤だしは蜆。

きゅうりがぬか漬けだが、ちょっと古漬けぎみで、うまい。

かき揚げは、小柱と芝海老。
やはり、この二つが江戸前のかき揚げの王道であろう。
もっともうまい。

以上。

ご馳走様でした。
いつも通り、うまかった。

 

みやこし

台東区三筋2-5-10 宮腰ビル1F
03-3864-7374

 

 

 

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