断腸亭料理日記2024
4591号
7月1日(月)第一食
さて。
お気付きの通り、自転車操業。
まあ、こんなこともあろう。
で、今日は、とんかつ[蓬莱屋]
へ行ってみることにした。
先日も書いたが、行ったが、食べたが、書けないのが
あると、こういうことになる、のである。
ともあれ、ここなら外さないだろう、と。
実は[ぽん多本家]とも思ったのだが、月曜は
休み。
それで、ということもあったりして。
だが、とんかつが食べたかったのはほんとのこと。
[蓬莱屋]は久々。
ここ、ウイークデーは今、昼のみ。
それも、14時まで。
今日は、雨模様。
降ったりやんだり。
幸い、昼になってやみ間ができたので、自転車で
出掛けられた。
13時すぎ、到着。
カウンターへ。
ビール、中瓶と、ひれかつの定食。
ビールがきた。
あ、いつもあった、ひたし豆のお通しが
出てこない。やめたようである。
ちょっと残念。
さて。この店、創業は大正期で、松坂屋裏で
屋台だったという。前にも書いたように、この時期、
洋食やの人気メニューであった豚のカツレツが、
独立して、とんかつや、という業態ができ始めた頃。
まさに、草分けといってよい。
ここの常連著名人といえば、とにかく、小津安二郎。
この人を置いて、他にはあるまい。
この人の作品はおそらく全部観ている。
黒沢明だったり、溝口健二などなど、私が生まれる前の
日本映画はやはり、今では考えられぬほど、名監督と
名映画を生み出している。TV以前ということもあろう。
また、生まれる前だからこそ、かもしれぬが、観て
おきたかった。
今日は、ちょっとだけ、小津安二郎について書いてみる。
言わずと知れた、昭和の日本映画の巨匠。
「東京物語」「晩春」「麦秋」などなど、代表作は
数え切れない。
戦前から戦後に渡って作品を残している。
亡くなったのは、昭和38年(1963年)。
ちょうど私の生まれた年。
長回し。淡々と、抑えた演技で、全編特に大きな
ドラマが起きない。まあ、一面退屈、とも思えるものが
多いかもしれぬ。
で、私が、小津作品で最も好きなのは「浮草」。
小津作品の中では、最もドラマが起きるストーリー。
だから、好きなのかもしれぬ。
昭和34年(1959年)の大映作品。
中村鴈次郎(二代目)、京マチ子、若尾文子、川口浩、
杉村春子など。
小津作品ではお馴染みの笠智衆も出演ている。
川口浩はご存知川口探検隊の川口浩。もちろん、
若い頃。
中村鴈次郎は旅回りの一座の座長。この人も小津作品に
いくつか出ていると思うが、よい味を出している。
昔の関西弁で渋いが豪放磊落な演技が好きである。
また、若尾文子。当時26歳か。この頃の日本の映画女優と
いうのは、今のアイドル以上の可愛さ、美しさであった。
是非観ていただきたい。
また、三井弘次。あまり知られていないが、今でいう
名バイプレーヤー。やはり渋い、ガラッパチでちょっと
コミカルな演技が好きであった。
戦後作品だが、舞台設定がおそらく戦前で、これもよい
雰囲気を出している。
と、いうことで、きた。ひれかつ。
この一本まるまる。二度揚げの元祖らしい。
断面。
ピンクということはないが、しっとり。
キャベツにだけ、ソースを掛ける。
例によってかつは、塩、なのだが、カウンターには
出されていないので、もらう。
ヒレなので、柔らかいのだが、肉のうまみが濃厚。
普段とんかつは、ロース以外食べないが、ヒレの
うまさはここで知った。
塩だけで食べると肉のうまみがよくわかるし、
肉に下味として掛かっている、胡椒の風味まで
わかる。
これがまた、うまい。
また、衣もここはかなりしっかりしている。
剥がれてしまうこともほぼない。
これは、技、で、あろう。
ビールは呑み終り、ご飯とともに食べる。
ご飯の炊き加減の堅めでよい。
また味噌汁は、なぜか小さな器だが、濃厚。
?
台東区上野3−28−5
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