断腸亭料理日記2024
4496号
1月30日(火)夕
若干、日付が前後しているが、まだ1月。
今年、まだ行けていなかった[ぽん多本家]。
夕方、開店を目指して出掛ける。
ここに行くのなら、自転車はやめようか。
バスで御徒町まで。
ソフト帽を被り、サドルシューズ、
割にちゃんとした格好。
今日は、天気もよく比較的暖かかったが、
かわらず乾燥している。
夕は16時半開店で少し前だが、きてみると2〜3人、
扉の前で既に待っている。
あー。
ちょっと、一周り。
ユニクロで、一つ買い物。
まだ、セーター。
戻ると、既に人はなく、重い扉を押して入る。
入って、一人というと、お二階へ、と、厨房のご主人。
満席ということもなく、あいているよう。
ウイークデーならこんなものであろう。
下のカウンターもすべて空席。
早い時刻だからか、二階から入れるのか。
二階は三組ほど。
一組は、白人の観光客らしい若い男女。
中ほどのテーブルへ。
ビール。
エビスは、なかったでしたっけ?。
中瓶はキリン。
エビスは[蓬莱屋]だったか。
注文は、カツレツで、ご飯味噌汁付き。
ここはクラシックラガーであった。
お通しは、ポトサラ。
最近、これ、多いよう。
アップ。
いつも通り、蓮根が入っている。
今日は変化もある。
今までは、掛かっていなかった、黒胡椒。
ポテサラに胡椒を入れるのはなくもないと思うが、
酒の肴に出しているので、それとわかる程度掛けて
いるのは、正解であろう。
1/3ほどビールを呑み終った頃、カツレツが
ご飯味噌汁とともに、きた。
いつもの通り、白い揚げあがり。
アップ。
塩を皿の脇に取る。
キャベツにはソースを掛け、和える。
カツレツの一切れ、塩を付けて、食べる。
うまい。
もうなん年もここだけでなく、とんかつやでは
塩で食べている。
行くとんかつやは、この界隈なので、そこそこ
以上のところといってよいだろう。
そういうところでは、塩の方が、豚肉のうまさ、
衣の味、揚げ具合がよくわかる。
ソースを掛けるのがもったいない、と。
ふと思ったのだが、そこそこ以上でない、とんかつや、
町の定食や、自分で揚げたとんかつを塩で食べたら
どうなのであろうか。
意外に、食べられるのではなかろうか。
では、なぜ、とんかつにはソースをかけるようになったか。
考えてみると、これ、不思議であろう。
まあ、とんかつに限らず、揚げ物全般に掛ける。
こんな習慣は日本くらいのものだろう。
ソース自体は明治の頃、イギリスのウスターソース
というものが入ってきて、それが日本でとんかつソースや
お好み焼きソースなどに独自に進化発達した。
地方にも地ソースがたくさん生まれた。
明治、大正の頃からソースを掛けること自体が洋食の
ように感じられハイカラで人気の食べ物であった。
例えば、池波先生が「食卓の情景」で書かれているが、
先生が子供の頃、昭和一桁、お好み焼きの前身、関西では
一銭洋食、東京ではどんどん焼きなどと呼ばれる、ソースを
掛けた小麦粉の焼き物が、屋台などで売られていた。
正太郎少年はこれが大好きであったよう。
あるいは浅草が発祥ともいうソース焼きそばも、中華麺を
ソースで味付けしたものだが、同じようなことであろう。
こんなことで、日本人はなんでもかんでもソースをかける
ようになった考えてよろしかろう。
揚げ物の場合、具はともかく、パン粉と小麦粉を油で揚げた衣に
ソースは確かによく合うのである。とんどん焼き、お好み焼き、
たこ焼きなどなど小麦粉を水溶いて油で焼いたものにも
ソースはよく合う。
不思議な食習慣ではあるが。
閑話休題。
お新香もうまい。
きゅうりと大根はぬか漬けか。
古漬けまでいかぬが、割によく漬かっているもの。
飯によく合う。
味噌汁は、赤だしに近い。
実(み)はなめこ。
いつも通り、うまかった。
ご馳走様でした。
台東区上野3-23-3
03-3831-2351
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