断腸亭料理日記2023
4430号
9月29日(金)第一食
さて。
昨日、ちょっと尻切れとんぼのように
なってしまった、慶良間、竹富。
八重山・沖縄の神様のことをちょっと調べて
書いたりしたのだが、ある程度、伝わったで
あろうか。
もちろん、専門に研究されている先生方も多く
いらっしゃり、私の書いたことなど、入門編にも
ならぬことであろう。(また、不正確な内容も
あったかもしれぬ。)
私の場合、どこでもそうなのだが旅行に行くと、
表面だけぼんやり眺めてくる、というのが、
どうしてもできないのである。
特に、学生時代に勉強した民俗、民族系の
事柄についてはより知りたくなる。
渡嘉敷も竹富も歩いていると、これなに?
というものに出くわしてしまう。
(同様に北海道のアイヌを除き)倭国内であれば、
日本人としての常識もありまた、私自身の勉強した知識で、
初めて行ったところでも理解するにはそう時間は
かからない。
沖縄というところは、歴史、民族、民俗、宗教という
意味では内地とはまったく別の世界で、別の体系で
できている。知らないこと、わからないことだらけ、
理解を越えた世界。それがおもしろくもあるし、
多少でも理解したいと考えてしまう。
そして、調べ、伝えたい、と。
ともあれ。通常版に戻らねば。
帰ってきてから食べたもの。
もちろん、たくさんあるのだが、
書いておきたいもの。
表題[ぽん多本家]。
毎度お馴染み。
8月にも行っていた。
まだまだ、暑いので、揚げ物が食べたくなり
[ぽん多本家]。
もちろん、ここはとんかつや、ではなく、
洋食や、なのであるが、今日は豚のカツレツ、
とんかつが食べたくて出かけた。
沖縄から戻ってきて、やはり思うのは、
とんかつというのは、東京の食い物である、
ということ。
日本全国、沖縄の人だって、とんかつ、というのを
知らない人、食べたことなない人はおそらく
少なかろう。
しかし、とんかつを看板にする専門店というと
おそらく、全国的にも東京ほどの数はないのでは
ないのでは、なかろうか。
まあ、ちゃんと調べたことはないので、
断定的なことはいえないが。
いつも書いているが、おそらく、とんかつは明治の
終わり頃、東京で生まれた。
正確に言えば、洋食やの豚のカツレツが、
独立し、とんかつだけを扱う店ができた。
いつ、東京のどこで、というのは、定かではなく
同時多発的にできた。上野もその有力な候補ではある。
生まれる背景としては、日清、日露の戦争の
軍隊で、豚のカツレツは人気メニューであった
という記録がある。
これで味を覚えた人々が、くにに帰り、
広まった、というのが有力であると私は
考えている。
当時の東京の新聞記事を調べたことがあるが、
いわゆる流行の料理であったことが、わかる。
まあ、東京だけでなく、日本全国で広まっても
よかったはずではある。
が、東京で特に流行った。
この理由はよくわからない。
当時、おそらく東京の洋食やの数は、全国でも
多かった。人が多いので。
これも一つの背景ではあろう。
だが、人の数、洋食やの数だけなら、京阪神でも
とんかつは流行ってよかったはず。
なぜか。
ん!、もしかすると、牛肉に嗜好が強かった
上方はとんかつではなく、牛カツ、であった
のでは?!。
そんな感じ?。
ともあれ、鮨、天ぷら、うなぎ蒲焼となど並んで、
とんかつは、東京に特徴的な食い物といって
よいだろう。
今日は夕方ではなく昼。13時20頃到着。
入ると、お二階へ、と。上るとウイークデーの
この時刻だからか、お客は一人。
ビールに、カツレツを頼む。
ビールがきた。
お通しは、最近ここで多いポテサラ。
おそらく、レンコンが入っている。
やっぱり喉が渇いていて、ぐびぐび呑んでしまう。
カツレツもきた。
もうビールも呑み終り近いので、
一緒にご飯と味噌汁も。
切り口もよい色。
いつも通り、塩で。
しっとり。ロースだが脂身はほぼ取ってある。
肉厚。
信頼して食べられる、うまい豚カツレツ。
もちろん、豚のカツレツは、ここだけではないが、
東京の味、と、いってよいだろう。
味噌汁もお新香もきちんと、うまい。
こいうところも、この店の信頼できるところ。
食べ終わり、階下の帳場でお勘定。
毎度ありがとうございます〜。
今日もおいしかったです。
ご馳走様でした。
台東区上野3-23-3
03-3831-2351
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