断腸亭料理日記2023
4435号
引き続き、浅草・弁天山[美家古寿司]。
つまみに、鰹と味の染みた蝦蛄。
にぎりにかえ、すみいか、鯛、平目昆布〆。
光物、小肌、まで。
まだまだ、光物、で、ある。
私は、とにかく光物に目がない。
あるものは、全部食べてしまう。
次は、鯵。
ちょっとおもしろい切り方である。
いつもこうであったか。
半身の身の間に包丁を入れて開いて酢飯を
はさんでいる、のか。
ここは、鯵も〆る。
軽く、ではあるが。
最初は酢洗い程度かと思っていたが、
若親方に聞くと、〆ている、と。
江戸前、特に古い江戸前を看板にしている、
例えば[美家古寿司]の流れを引くところでも
鯵を〆てにぎるところは少なかったのでは
なかろうか。
獲れてすぐの処理が進歩し、冷蔵設備が発達した今、
当然だが、状態のよい鰺はいくらでも
手に入る。もちろん、それもうまい。
ただ、〆たものは別物、として考えるべき
であろう。別のものとしてうまい、のである。
光物は続く。
次は、さより。
味はむしろ白身に近いが、さよりも光物。
これも〆てあり、鯵と同じように開いて
にぎってあるか。
気持ち水分が抜けてプリっとした食感が
うまい。
光物はここまで。
ここで、内儀(かみ)さんのリクエスト。
ここで海老ははずせない、と。
ゆでたさいまき海老。
若親方は内儀さんの好物を覚えていて、
おぼろをたっぷりはさんでくれた。
ゆでた海老ではあるが、ただゆでただけ、
ではない。甘酢に漬けてある。
これが江戸前流。
おぼろは、酢〆や酢漬けの種に使うのが
一応のルール。
次は、平貝。ガラスケースで見つけた。
貝の中では大好物。
このサクサクとした食感がよろしい。
次も、貝。
聞くと、ガラスケースには置いていなかったが、
煮はまが仕込み終わった、というので、
もらった。
煮はまといっているが、実際は煮ているのではなく、
漬け込み、と聞いたことがある。
甘だれも塗られちょっと蒲焼のよう。
次は、まぐろ二つ。
赤身。
ヅケ。
やっぱり、どちらも厚く切っている。
そして、どちらも濃厚。
熟成されたうまさ、というのであろうか。
漬けていない赤身が熟成された、というのは
妙ではあるが、そんな印象を与える。
うまいまぐろ、で、ある。
そろそろ、終盤。
内儀さんの玉子。
やっぱり若親方が、たっぷりのおぼろを
掛けてくれた。
なぜかわからぬが、とにかく内儀さんは
おぼろが大好物で、ある。
おぼろというのは、白身魚や海老などの身を
ほぐして甘く味を付けたもの。
手間もかかるし、東京の鮨やでも用意のある
ところは限られようが、江戸前鮨店特有のもの。
おぼろというのは、本来、和食の食材として
全国にあったものであろうが、東京の鮨やに
特徴的にあるのはなぜであろうか。
子供の頃あったでんぶのようなものなのだが
ここもそうだが、東京の江戸前鮨やのものは、
そこまでほぐしておらず、また、ほどのよい甘さ。
乙なものである。
最後は、海苔巻。
さび入りのかんぴょう巻。
わさびを入れるといってもほんの少し。
若い頃、呑む人だったら、こういうのがありますよ、
と、さび入りのかんぴょう巻を教えてもらった。
以来気に入って、ずっとかんぴょう巻には、
入れてもらうことにしている。
これも乙なもの、で、ある。
ここまで。
いつもながら、うまかった。
勘定は、ビールも入れて二人で
22,000円程度。
ご馳走様でした。
台東区浅草2-1-16
03-3844-0034
※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。
断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|
2004 リスト6
|2004
リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10
|
2004
リスト11 | 2004 リスト12
|2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005
リスト15
2005
リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20
|
2005
リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006
6月
2006 7月 |
2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006
12月
2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |
2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月
2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月
2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |
2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |
2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |
2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |
2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |
2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |
2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |
2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |
2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月
2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |
2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |
2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |
2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |
2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017
1月 |
2017 2月 |
2017 3月
| 2017 4月 | 2017
5月 | 2017 6月 | 2017
7月 | 2017 8月 | 2017
9月 |
2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |
2018 5月 |
2018 6月|
2018 7月|
2018 8月|
2018 9月|
2018 10月|
2018 11月|
2018 12月|
2019 9月 | 2019 10月
| 2019 11月 | 2019 12月
| 2020 1月 | 2020 2月 |
2020 3月 |
2020 4月 | 2020 5月
| 2020 6月 | 2020 7月
| 2020 8月 | 2020 9月
| 2020 10月 | 2020 11月
| 2020 12月 | 2021 1月
| 2021 2月 | 2021 3月
| 2021 4月 | 2021 5月
| 2021 6月 | 2021 7月
2021 8月 | 2021 9月 |
2021 10月 | 2021 11月 |
2021 12月 | 2022 1月 |
2022 2月 | 2022 3月 |
2022 4月 | 2022 5月 |
2022 6月 | 2022 7月 |
2022 8月 | 2022 9月 |
2022 10月 |
2022 11月 | 2022 12月 |
2023 1月 | 2023 2月
| 2023 3月 | 2023 4月 |
2023 5月 |
(C)DANCHOUTEI 2023