断腸亭料理日記2023

桜鍋・森下・みの家

4383号

7月30日(日)夜

さて、真夏なので、桜鍋。

森下の[みの家]。

真夏に、鍋というと奇異に思われるかもしれぬが、
以前は、軍鶏鍋だったり、桜鍋は夏のものであった。

暑い時期に、元気を付けるために
食べるもの、で、あった。

冷房のない頃であったので汗をかきながら
食べるものであったのであろう。

ちなみに、甘酒も本来は夏飲むものであった。
これもやっぱり栄養を付けるため。

[みの家]ももちろん、今は、エアコンが効いているので
汗だくで食べる、ということはないのだが。

17時頃を目指して、内儀(かみ)さんと出る。

森下までは、大江戸線で、蔵前、両国と、三つ目。

森下から深川。
降りると、街のそこここに、お祭りの案内が
貼ってある。
深川神社(神明宮)のお祭。
深川祭といえば富岡八幡と思われがちだが、ここは別
なのである。

歴史的には、こちらの方が古い。
その昔、江戸の街が作られ、人口が増え一杯に
なった。それで、当時は湿地であった隅田川の東側も
江戸の街にしようということになった。
幕府によって本所、深川の埋め立てが始められ、
深川で最初に街になったのが、このあたり。
ちなみに、深川というのは、最初の町名主の姓。
その後、埋め立てが南に進んでいった。

ともあれ。
森下の角々に朝顔の鉢が置かれている。
朝顔市というと入谷が有名だが、あまり知られていない
と思うが、森下も古くから市が立っていた。
これも深川神社。

17時頃、

到着。

予約はなし。二人ではできない。
入って、下足札をもらって上がる。

前回は、二階であったが、今日は一階の
入れ込み。
二列の長いステンレスのお膳の列。

廊下側は一度廊下に出て、またいで座らなければ
ならない。まあ、あまり行儀はよくないが、
この店のシステムなのである。

座って、鍋二人前とビール。

馬刺しだったり、その他の肴もいろいろあるが、
最近は、あまり頼まないことにしている。
結構高く付くし、頼むのであれば、鍋のお替りを
もらう方がよろしい。

鍋もきた。

ザク=野菜など、は、ねぎ、白滝、麩。

鍋は、肉と脂、割り下に、味噌。

味噌はおそらく江戸甘味噌がベースだと思うが、
さらに甘くしていると思われる。

味噌を溶いて、ザクも入れる。

馬肉というのは、すぐに硬くなってしまう。
色が変わったら、即座に食べなければいけない。

肉は、ねぎよりも、早く煮える。
ぼやぼやしてると、ねぎだけ残ってしまう。
上下を入れ替えるべきか。

座敷に飾られた、大きなお酉様の熊手。

段々煮えてきた?。

まだ、もう少し。

こんな感じかな。

玉子をくぐらせて、食べる。

あまり、今までこれ、どんな味か書いてこなかった
ような気がするが、そういえば、どんな味か。

馬というのは、どうであろうか、牛にやっぱり近いか。
で、この味噌で煮込んだのは、今はあまり見なくなった
缶詰の大和煮。
あんな感じではなかろうか。
ちょっと調べると、明治屋の牛の大和煮は大正4年(1915年)
発売とのことで、ここのような桜鍋が東京で流行った頃と
近いのではなかろうか。

冷酒を追加。

この鍋のお愉しみは、やっぱり最後のご飯。
お新香ももらって、追加で肉も一皿。
残ったつゆと玉子だけ、ご飯にかけてもまあ、
よいのだが、やっぱり寂しい。
それで、ご飯用に、肉追加、で、ある。

煮て、ご飯へ。もちろん玉子も。
(内儀さんは玉子をこのために追加。)

これが、うまい、のである。

もしかしたら、ここでは、これが一番?!。

ともあれ。

うまかった、うまかった。

ご馳走様でした。
ここで、勘定。
10,530円也。

明治屋の牛大和煮、まだ売っているよう。
探してみようかしら。

 

桜なべみの家

江東区森下2丁目19番9号
03-3631-8298

 

 

 

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