断腸亭料理日記2023
4464号
12月7日(木)第一食
長崎ちゃんぽんが食べたくなった。
調べても近所ではあまり見当たらない。
以前は、有楽町の交通会館の地下にあって
よく行っていたのだが、数年前に閉店してしまった。
どこへ行けばよろしかろう。
出てきたのは、銀座[吉宗(よっそう)]。
私も知っている、茶碗蒸しが有名な老舗長崎料理店。
ちゃんぽんではなく皿うどんならば、あるよう。
正直のところちゃんぽんと皿うどんの違いも
よくわかっていない私だが、行ってみようか。
[吉宗]は知ってはいたが、行ったことがあったろうか。
一度行ったような気もするが、よく覚えていない。
[吉宗]は銀座8丁目のクラブ街にに大きな店が
あったはずだが、令和3年(2021年)に銀座ナインに
移転していた。
さて、銀座ナイン。
皆様もご存知であろう。
銀座と新橋の間の高速下の商業街、モール。
主に飲食店が入っている。
ここの住所は中央区銀座8丁目7番地先、と書いてある。
この最後の「地先」、というのはなんであろうか。
それには、ここが以前なんであったのか、
から紐解いていかなければいけない。
ご存知の方はおられようか。
そう、川、または堀。
外濠から浜御殿(浜離宮)までで、
汐留川といっていた。
現代の地図
明治以降徐々に埋め立てられ、60年前、最初の
東京オリンピック前の昭和38年(1963年)までに
高速もでき、現在の姿になっている。
江戸の地図(銀座側)
境目なので、切絵図も二枚に渡る。
江戸の地図(芝側)
新橋というのは、今の中央通りがこの汐留川に
掛かっていた橋の名前。別名芝口橋。
この中央通りが東海道になるわけだが、ここから先が
芝になり、渡ったところの町名も芝口で、芝口橋。
汐留川の河口には将軍家の別邸浜御殿がある。
明治の地図。(明治30年(1987年)「東京一目新図」)
これは、明治。
伊達仙台藩と脇坂竜野藩の広大な藩邸跡が陸蒸気の
新橋ステーションになっているが、新橋も汐留川も
江戸のままちゃんとある。浜御殿は浜離宮になっている。
そして述べたように東京オリンピックまでに汐留川は
埋められて、上に高速ができ、その下が商業施設になった。
川の跡で、実はここ、住所がない、のである。
「地先」というのはそういう意味のよう。
本来、川は住所の外なので、中央区でも港区でもどちらでも
よい、もしくは川の中央で半々に分かれるような
気がするが、中央区銀座8丁目地先と、中央区になっている。
どういうことなのか?。
日経新聞に「銀座にナゾの番外地 秘めた歴史に迫る」
(2011年10/21)という記事を見つけた。
この銀座ナイン(と同インズ)の疑問を調査しているのである。
どういうことかというと、川を埋めたてた時にやはり
区議会で議論されたらしいのだが、結論には至らなかったという。
住んでいる人はいないので、区に入る住民税は発生しない。
固定資産税や事業税は都の管轄らしい。
警察、消防の管轄は事業者と話し合って決めていると。
つまり、一応、所属が決まっていなくとも問題はない、
というのである。
中央区でも港区でもほんとうはないのだが、銀座8丁目地先は、
自らそう名乗っているだけ、のよう。
銀座ナインという名前は、銀座9丁目にしてほしいという
事業者の願い、という。
まさかの真実。勝手に名乗っていただけ。
こんなことがあるのだ。おもしろい。
ただ、こうなるとまたまた疑問が出てくる。
こうして川や濠、堀を埋めたてた場所は数多くある
はずだが他はどうであろうか。
ポイントは埋め立てて高速になり、かつ下が商業施設に
なっているところ?。例えばこの汐留川に交わっている
三十間堀は埋め立ててそのまま町になっており、当然、
地番も振られている。また、一本東の楓川は川底を高速
が走る形。高速(道路)になると地番が振られない
ということか。汐留川は高速に例外的に商業施設が
できた、ということか。
いや待て、汐留川はたまたま区境で所属を決めるのに
もめたので、そのままになった。もしかすると、
そういうことか。これ、また他も調べてみよう。
ともあれ、銀座[吉宗]であった。
銀座線で13時半到着。
ここの皿うどんは二種類あって、太麺と揚げた細麺。
太麺は数量限定でもう売り切れ。
細麺の皿うどんと、名物茶碗蒸しのセット、
1640円也、にしてみる。
きた。
皿うどんの量も多そう。
そして、大きな器の茶碗蒸し。
この器のデザインもよい。
有田焼だそうな。
開けると、
渦巻の蒲鉾が二つ見えるが、大きいだけに具沢山。
椎茸、鶏肉、銀杏などなど。
皿うどん。
こちらは、見た通り、いわゆる、あんかけ細麺の
かた焼きそば。味は、まあ、特にかわったところは
ない、かもしれぬ。
そして、茶碗蒸しに入っているものもそうだが、
長崎の特徴であろうか、蒲鉾の赤い部分が
大きいよう。
これだけ食べると、さすがに腹一杯。
ご馳走様でした。
中央区銀座8丁目7番地先 銀座ナイン2号館 地下1階
03-6274-6002
※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。
断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|
2004 リスト6
|2004
リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10
|
2004
リスト11 | 2004 リスト12
|2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005
リスト15
2005
リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20
|
2005
リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006
6月
2006 7月 |
2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006
12月
2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |
2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月
2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月
2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |
2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |
2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |
2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |
2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |
2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |
2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |
2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |
2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月
2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |
2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |
2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |
2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |
2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017
1月 |
2017 2月 |
2017 3月
| 2017 4月 | 2017
5月 | 2017 6月 | 2017
7月 | 2017 8月 | 2017
9月 |
2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |
2018 5月 |
2018 6月|
2018 7月|
2018 8月|
2018 9月|
2018 10月|
2018 11月|
2018 12月|
2019 9月 | 2019 10月
| 2019 11月 | 2019 12月
| 2020 1月 | 2020 2月 |
2020 3月 |
2020 4月 | 2020 5月
| 2020 6月 | 2020 7月
| 2020 8月 | 2020 9月
| 2020 10月 | 2020 11月
| 2020 12月 | 2021 1月
| 2021 2月 | 2021 3月
| 2021 4月 | 2021 5月
| 2021 6月 | 2021 7月
2021 8月 | 2021 9月 |
2021 10月 | 2021 11月 |
2021 12月 | 2022 1月 |
2022 2月 | 2022 3月 |
2022 4月 | 2022 5月 |
2022 6月 | 2022 7月 |
2022 8月 | 2022 9月 |
2022 10月 |
2022 11月 | 2022 12月 |
2023 1月 | 2023 2月
| 2023 3月 | 2023 4月 |
2023 5月 | 2023 6月 |
2023 7月 | 2023 8月 |
2023 9月 | 2023 10月 |
2023 11月 | 2023 12月 |
(C)DANCHOUTEI 2023