断腸亭料理日記2022

すき焼き・浅草・今半別館 その1

4167号

9月5日(月)夜

さて、今日は浅草[今半別館]。

少し前に内儀(かみ)さんが予約をしていた。

前回は、5月にすき焼きではなく、しゃぶしゃぶを
食べにきていた。

17時半から。

雷門前までタクシー。
降りて仲見世の右側の裏通りを北上する。

雷門はウイークデーのこの時刻だが、そこそこの人出。

17時半ちょうどに到着。
右側の玄関から入って、名乗る。

案内され、部屋へ。

お、珍しい。一階、で、ある。
ここのところ、ずっと二階であった。
今半別館の座敷は予約のみだが、部屋は選べない。

一階の一番手前。

初音(はつね)の間。

さかのぼると、以前にもここにはあたっていた。

初音とは、初音の鼓のこと。むろん歌舞伎、人形浄瑠璃の
義経千本桜」に出てくるもの。

音羽屋尾上菊五郎家と澤瀉(おもだか)屋市川猿之助家の
十八番といってよろしかろう。
長いが見せ場も数多く、華やか。今でも人気の芝居。
なん度も観ているが私も好きな芝居の一つである。
是非通しで観てほしい。

この芝居に出てくるキーアイテムが初音の鼓。

部屋全体に鼓のモチーフが散りばめられている。
芝居の初音の鼓は狐とセットなのだが、狐はむろん
部屋の意匠には出てこない。狐が部屋にいるのは、
さすがに気味がわるかろう。

廊下側の欄間。

隣室との境の欄間。

掛け軸。

この絵は、なんであろうか。
平安あたりの装束の女の子と男の子。
安寿と厨子王であろうか。
掛け軸は月毎などで掛けかえるので必ずしも
鼓ではない。
署名落款があるが私には判別不能である。

壁側下の戸棚の戸。左右あって右。

彩色された彫刻。扇に梅と小さく竹。華やか。

左。

同じく、菊か。
梅と竹であれば、松でもよさそうだが、
春秋の対ということになるのか。

廊下側の障子。

下側には彩色された波に鼓の絵。
地は金であろうか。鼓には菊、桜の花が
描かれており、これも華やか。

上の障子は葦簀。
前にこの部屋きた時には、10月で、ちゃんと鼓モチーフの
障子が入っていたので、これは夏だけの趣向。
庭が透けて見えるのも涼し気。
夏にここにきたことはなかったのかもしれない。
まあ、確かに真夏にすき焼きでもない。

隣の部屋と間の襖。

これも波に鼓。
波と鼓というのは、決まりものの組み合わせなのか。
鼓の音を波に例えることがあるよう。
生憎まったくわからないのは、悲しい。

さて。
黒塗りの椅子とテーブルの席。
掛けて、注文。

すき焼きのコースは7,000円から15,000円まであるが、
いつも通り下から二つ目の10,000円の言問(こととい)。

肉は近江牛A4〜A5クラスの肩ロース170g。

このへんがちょうどよい。
この上は、サーロインリブロース。

先付け。

これ、小さなものだが凝っている。
全体にちょっと甘酢の出汁。
スモーク香を付けた炙りほたて、味を含んだなす、
こまかく叩いたおくらととろろ、一番上が貝ひも。

前菜。

割り箸も触れておこう。
見たことのあるタイプ。木目がきれいに通り、
先端部分にかけて、丸く削ってあり、手元側が
斜めに切ってあるもの。

皿の上は、右から半熟玉子。季節的に月に見立てているか。
隣が、下の四角く切ってあるのが柿。のっているのが
胡桃味の白酢とのこと。

真ん中が穴子の白焼きの鮨。

松葉に刺さっている二つは銀杏、なのだが、
餅銀杏と説明された。
食感がもちもちした銀杏。
特別な種類の銀杏があるのかと思うと、
そうではなく、もち米と一緒に炊くとできるらしい。
初めての出会いである。

左が、むかごのうに焼きとのこと。
むかごを餅のように、なのか、餅となのか固めて
うにを塗って焼いたもの。

どれもなかなか手が込んでいるよう。

 

つづく

 


今半別館

03-3841-2690
台東区浅草2-2-5

 

 

※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。

 

 

 

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 | 2017 8月 | 2017 9月 |

2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |

2018 5月 | 2018 6月| 2018 7月| 2018 8月| 2018 9月| 2018 10月| 2018 11月| 2018 12月|

2019 1月| 2019 2月| 2019 3月 | 2019 4月| 2019 5月 | 2019 6月 | 2019 7月| 2019 8月

2019 9月 | 2019 10月 | 2019 11月 | 2019 12月 | 2020 1月 | 2020 2月 | 2020 3月 |

2020 4月 | 2020 5月 | 2020 6月 | 2020 7月 | 2020 8月 | 2020 9月 | 2020 10月 | 2020 11月 |

2020 12月 | 2021 1月 | 2021 2月 | 2021 3月 | 2021 4月 | 2021 5月 | 2021 6月 | 2021 7月

2021 8月 | 2021 9月 | 2021 10月 | 2021 11月 | 2021 12月 | 2022 1月 | 2022 2月 | 2022 3月 |

2022 4月 | 2022 5月 | 2022 6月 | 2022 7月 | 2022 8月 | 2022 9月 |

BACK | NEXT

(C)DANCHOUTEI 2022