断腸亭料理日記2022
4211号
11月15日(火)第一食
今日もラーメン。
天神下[大喜]、で、ある。
もうお馴染みであろうが、今月、1日にきて、
煮干ラーメンを食べていた。
やはりひと月に一二回はきたい。
むろん、うまい、のだが、ここは、しばらくこないうちに
変わってしまうことがある。あまりにもバランスの取れた
味なので、どう変わったのかもわからなくなってしまう。
が、今日はちょっと目当てがあった。
なにかというと、納豆。
ここにはラーメンやには珍しい納豆ラーメンというのが
定番である。
納豆というのは、私は東京の人間なのでむろん子供の頃から
食べており、好物といってよいのだが、最近あまり
食べる機会がない。
基本、ここに書いている通り、私は家で白い飯を炊いて
おかずを食べるノーマルな家庭の食生活をしていない。
夜は毎日呑む。飯は食べずにおかずは、酒の肴である。
納豆は通常3パックで売られており、ご飯を食べないと
納豆を食べる機会が少なくなる。納豆だけでは
酒の肴になりにくいではないか。
白い飯とともに食べるのが、納豆は最もうまいのは
言うまでもない。
ここで、余談。
納豆というのは考えてみるとユニークな食い物、
で、ある。藁に付いた納豆菌でゆでた大豆を発酵させた
食べ物。世界的には、近いものがネパールなど「中国
雲南省からタイをはじめとする東南アジアにかけた
地域に」(ウィキ)あるよう。どんなものなのか興味があるが。
ただ味噌、しょうゆなど日本の食の起源になっている
大豆発酵食品の多いメインの中国には同じような糸を引く
納豆はないようである。
納豆のこと、ちょっと考えてみたい。
西日本ではあまり食べられていない、などともいう。
実際に消費量を調べると、東高西低は明らかである。
これは県庁所在地別の納豆の購入状況。
No.1は福島市、次が水戸市、以下、盛岡市、山形市、
長野市、宇都宮市の順。
下位を見てみると、最下位が和歌山市、次が大阪市、
神戸市、高松市、京都市と続く。
西日本というよりは、近畿であまり食べられていない、
とも見える。試みに九州はどうかとみると20位の東京都
区部に続いて21位に佐賀市、23位に鹿児島市。
必ずしも、下位ではない。
ただ、東日本、特に北関東、東北でよく食べられている
ということはいえそうである。
では、納豆の歴史を見てみよう。これも出典はウィキ。
納豆がいつから食べられてきたのか、明解なエビデンス
はないようだが、弥生ではないか、とも。
藁なので、稲作が始まっている弥生時代ということか。
大豆自体は、縄文から栽培されていたよう。
中国などからの渡来ではなく、偶然に生まれ、
自然発生的に作られ食べられるようになったの、か。
室町あたりから一般化し江戸期に盛んに食べられるようになったという。
東北日本で盛んに食べられているのはどうしてであろうか。
これも定説はないようである。
私見である。気候的なもの、食文化的なものであろうか。
どうしても、東北日本は寒冷な気候で歴史的にも飢饉は多い。
大豆は保存もきくし、ゆでればいつでも納豆を作れる。
むろん、うまい。食物の選択肢の一つとして、重宝された
のではなかろうか。
ただ、これだけ日常的で身近な食物なのに、わかっていない
ことが多いというのは、むしろ意外である。
これ自体、不思議である。調べた研究者も少ないのか、
記録に残らないほどの存在であったのか。
さて、さて、閑話休題。
そんなことで納豆がどうしても食べたくなり、
ここの納豆ラーメンにたどり着いたというわけである。
昼は14時半までなので、14時到着。
特製納豆ラーメン。
納豆と生の玉子をかき混ぜたもの、であろう、
泡立つ表面。
私も納豆を食べる時には、卵白入りの全卵を合わせ
このくらいに泡立てる。これがうまい。
入っているのは、煮玉子、チャーシュー、白い蒲鉾、
メンマ、きざみ海苔、白髪ねぎ。納豆はひきわり。
そして、わんたんも三つ。
麺は細麺と太麺から選べるが、太麺にした。
気持ちウェーブの入った平打ち太麺。
スープは、ここの煮干系ではなかろうか。
微かに煮干の香り。
また、例によって、ここの一杯はかなりバランスが
取れている。
スープと中華麺とひきわり納豆、全卵、その他の具材。
これらが、混然一体となって、調和をしている。
そもそもラーメンと納豆を合わせようというのは、
どういう発想であろうか。
日本そばでは、ある程度定番になっているが
ラーメンというのは、私は見たことがないと思う。
ただ日本そばの場合も冷たいぶっけかのことが多かろう。
温かいつゆやスープに納豆を入れると、納豆の味は、
落ちる。納豆は熱に弱い。
どのように調整しているのか。
やはり、この一杯の味の設計は達人の技。
トウシロウにはまったく想像もつかない。
流石の納豆ラーメンである。
ご馳走様でした。
おかげで、私の納豆欲も満たされた。
台東区台東2-4-4
TEL 03-3834-0348
※お願い
メッセージ、コメントはFacebook へ節度を持ってお願いいたします。
匿名でのメールはお断りいたします。
また、プロフィール非公開の場合、バックグラウンドなど簡単な自己紹介を
お願いいたしております。なき場合のコメントはできません。
断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5|
2004 リスト6
|2004
リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10
|
2004
リスト11 | 2004 リスト12
|2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005
リスト15
2005
リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20
|
2005
リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006
6月
2006 7月 |
2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006
12月
2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |
2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月
2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月
2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |
2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |
2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |
2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |
2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |
2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |
2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |
2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |
2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月
2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |
2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |
2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |
2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |
2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017
1月 |
2017 2月 |
2017 3月
| 2017 4月 | 2017
5月 | 2017 6月 | 2017
7月 | 2017 8月 | 2017
9月 |
2017 10月 | 2017 11月 | 2017 12月 | 2018 1月|2018 2月| 2018 3月|2018 4月 |
2018 5月 |
2018 6月|
2018 7月|
2018 8月|
2018 9月|
2018 10月|
2018 11月|
2018 12月|
2019 9月 | 2019 10月
| 2019 11月 | 2019 12月
| 2020 1月 | 2020 2月 |
2020 3月 |
2020 4月 | 2020 5月
| 2020 6月 | 2020 7月
| 2020 8月 | 2020 9月
| 2020 10月 | 2020 11月
| 2020 12月 | 2021 1月
| 2021 2月 | 2021 3月
| 2021 4月 | 2021 5月
| 2021 6月 | 2021 7月
2021 8月 | 2021 9月 |
2021 10月 | 2021 11月 |
2021 12月 | 2022 1月 |
2022 2月 | 2022 3月 |
2022 4月 | 2022 5月 |
2022 6月 | 2022 7月 |
2022 8月 | 2022 9月 |
2022 10月 |
2022 11月 |
(C)DANCHOUTEI 2022