断腸亭料理日記2022

稲荷町・中国意境菜・白燕 その2

4032号

引き続き、
稲荷町の中国意境菜[白燕(ばいえん)]。

前号は、りんごあめ、前菜、点心ときて、
薬膳のスープまで。

次は、魚料理。
メニューには「煎」と書いてある。

辞書を引いてみた。
日本語では、いくつか意味がある。
薬を煎じる、の煎で、煮詰めるだそうな。
あるいは煎茶。これは焙煎の煎で、煎(い)る。
また、煎餅(せんべい)の煎で、あぶる、焼く、など
かなり広い意味を持っている。

中国語ではどうか。
日本語同様に、薬を煎じるという意味にも使うようだが、
料理用語で「(少量の油で両面がキツネ色になるまで)
焼く,煎る」という意味だそうな。

煎り煮、煎り焼き、という感じであろうか。
フレンチのソテーになるか。

太刀魚とのこと。

あんかけ。

上にのっている葉っぱは、香菜(チャンツァイ、パクチー)で
あんにも火の通ったものが入っている。
ソテーであればフレンチ風だが、あんかけで、
中華になるのか。

中国語で「煎」という調理法の名前があるくらいで
中華では魚でこういう料理があるのであろう。
ただ、私はあまり食べた記憶がない。
だいたいにおいて、中華ではあまり魚は
見ないではないか。

ただもちろん、知らないだけで、香港だったり、
海辺であれば、海鮮、魚を使った料理はたくさんある
のであろう。

魚好きな日本人には、こういう中華はありがたい
と思うのである。
もっともっと、魚を使った中華を食べてみたい。

さて、次。

肉料理。

上にのっているのは豚バラスライス。
下は青みの野菜。

メニューには「扣」「豚バラ 甜梅菜」と書かれている。

「扣」は中国の簡略化された漢字、簡体字、というのか。
で、読みはコウで、ひかえる、たたく、など
色々な意味があるよう。

ただ料理に使う場合「扣肉」コウロウという料理名に
なるよう。
「扣肉」というのは豚バラを蒸した料理で
大陸ではポピュラーなものとのこと。
そして甜梅菜は、梅とは無関係で菜っ葉のよう。

これがそうなのかはわからぬが、乾物や漬物を料理に
使うことが多いもののようである。また、扣肉に
使うのも定番といってよさそう。

豚バラ肉は、皮付きでぷりぷり。
なかなかうまい。
手間がかかっているのではなかろうか。

なんということもないようなものだが、
我々が知らない中華の定番料理というのは、
まだまだある、ということであろう。
おもしろい。

終盤が近くなった。
ご飯系。

汁ビーフン。

メニューには「台湾 ビーフン」とある。
なんだかそのまま。
見た目もなんということもなさそうだが、
これが、ばかうま。

干海老、ねぎと、説明してくれたが
もっとなにか入っていそうな、うまいスープ。

干し海老も中華でよく見る小海老ではなく、
もっと小さい。アミ?なのか。

そう、このご主人は麺類もうまい、のである。
ランチの麺はかなりのもの。

そこらへんの有名ラーメンやと互角以上であることは
間違いない。

流石!。

ジャスミンティーとデザート。

これがなんと、おしるこ。

温かい。
ココナッツミルクに、小豆。
もちろん、甘い。

タピオカなのか、なにか色の付いたゼリー状の
小さな粒も入っている。

かなりうまい。
そして、温まる。
冬にはありがたい。

私には新鮮だが、中華点心ではこういう
甘い温かいおしるこのようなものは、やはり
一般的なもののよう。

ここまで。
堪能、で、ある。

ご馳走様でした。

お会計は、ビールを入れて二人で18150円。

ちょっとビールを呑みすぎたか。

ともあれ、うまかった。
十二分に愉しませてもらった。

こんなご近所でこれだけの料理を食べられるのは
まったくもって、めっけものである。

このご主人、おいくつなのだろうか。
今日は、少し長く話をしたが、思っていたよりも
若そうな印象であった。

技術も高く、アイデア、ひきだしも多い。
こんな時期で試行錯誤も多かろうが、きっと
きっと、もっともっとパワーアップしていく
のであろう。

今日も、ご馳走様でした。

 


白燕


台東区元浅草2−7−10
オルタンシアIV 2F

 

 

 

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