断腸亭料理日記2022
4230号
12月18日(日)夜
さて、ちょっと久しぶりである。
今回は、煮穴子のにぎり。
実は、これ、先週買ったもの。
吉池で珍しく、大きなものがあったので
買ってしまったのだが、他の予定があって、
冷凍していたのである。
穴子を冷凍したのは初めてだが、どんなもの
で、あろうか。
昨日、冷凍から冷蔵に移して解凍しておいた。
赤酢の酢飯で煮穴子のにぎり、はいつも通り
なので、今回は、ちょいプラス。
なにかというと、ゆず。
にぎり鮨におろしたゆず、をちょっとまぶす。
どこでも、ではないが、やるところがある。
乙なものである。
まぐろだったり、生ものではあまり
やらないと思うが、煮たねた、小肌など〆た
ねたなどで見るような気がする。
ゆずは季節で、よく見る。
一つ、90円弱。
ゆずなんぞ初めて買うが、意外に安いものである。
解凍した穴子。
これ、珍しい。
銚子産。
銚子でも獲れるのは驚き。
吉池に限らないと思うが、今、日本で出回っている
穴子のほとんどは、対馬産であろう。
前にも書いていると思うが、穴子の産地は
今、どこも獲れていない。
江戸前・東京湾しかり、三陸、大阪湾、和歌山、
広島など瀬戸内、その他。
穴子というのは、どこといわず、日本中の近海にいた。
しかし軒並み漁獲量が減って、ほぼ流通しないところも
多いと聞く。
対馬でなければ、たまに見かけるのは、
三河湾あたりか。
獲りすぎなのか、生育環境の変化なのか。
両方か。
うなぎは、絶滅危惧種で注目されているが、穴子だって、
実際は、同程度なのでは、なかろうか。
東京湾では、小さなものを獲らないように、
海に沈める罠に小さなものが逃げられるほどの
穴を開けているとも聞く。
ただ、多く流通するほどに回復している様子は
まだないよう。
ノレソレといって、半透明の稚魚をぽん酢しょうゆで食べる
習慣がある。春、今も高い値段で売られているのを見る。
これ、どう考えてもやめるべきであろう。
獲る人、扱う人、売る人、料理する人がいる。
どうも日本人は、持続可能性ということに無神経すぎる。
対馬に頼りすぎる今、対馬だって心配であろう。
江戸前鮨に煮穴子は欠かせない。
東京に限らす、全国各地にあった名物穴子料理を
持続可能なものにしなくてはいけない。
ともあれ。
銚子というのは、初めて見た。
たまたま獲れてしまったのか。
それで、イレギュラーで大きなものが
店頭に並んだのかもしれぬ。
これ。
頭付き。
生き締めであったのであろう。
身も厚く、長さ50cmはある。
これが600円とは、かなり安かろう。
穴子は天ぷらの場合は一本で揚げるので
小さなものがよいのだが、鮨の煮穴子は身が厚く
大きなものがよい。脂もある。
最初に、飯台の箍(たが)が緩んでいるので、
全体を濡らし、糸底に水を張っておく。
穴子は、ぬめりがある。
このまま煮ると、生ぐさいものになってしまう。
取らなくてはいけない。
以前は塩もみをして水洗いを繰り返し、
取っていたのだが、前回から、下ゆでにしてみた。
軽く下ゆで、水洗い。
これでも取れることがわかった。
プロは、どちらもありのよう。
にぎりの大きさと思われる長さに、切る。
が、冷凍したせいか、ぬめりはなくなっている。
これがよいことなのか、わからぬが。
軽くゆでる。
ゆでたら、よく洗う。
ぬめりはなくなっていたがゆでると、不純物というのか、
ごみは出てくる。
ぬめっていないだけで、ぬめりの成分は残っていた、
のであろう。
特に皮側。皮側をこすり、なん回も水を換えて、
きれいにする。
煮るのは圧力鍋。
ただ、柔らかくなるので、取り出しやすいように、
圧力鍋に入る大きさのざる(裏漉し器を利用)に
のせ、入れる。
ひたひた程度に水を入れ、砂糖と気持ちしょうゆ。
味はかなり薄め。色が付かないくらい。
濃くすると、圧を掛けるので味が染み込みすぎ、
食べられなくなる。
ふたをして、点火。
加熱、加圧。
圧が上がったら、5分。
消火、放置調理。
30分。
この間に、米を洗い、カタメモードで炊飯開始。
つづく
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