断腸亭料理日記2021
3860号
引き続き、浅草橋のこと。
江戸の地図からみている。
奥州街道沿いの町屋。
その西隣、西の裏側は福井町。
これは享保以前、福井藩屋敷であったから。
さらに西側は前にも書いた松浦壱岐守上屋敷。
今の都立忍岡高校と公園。
松浦藩邸以外にも、庄内藩酒井左衛門尉家下屋敷。
江戸期にはないが、ここの神田川に明治になって橋ができ
これが左衛門橋になり通りの名前になっている。
これ以外も多くの武家屋敷、それも大名屋敷であった。
神社仏閣をみてみよう。
街道から西へ入った福井町に銀杏八幡。
今もおそらく同じ場所にあって、地域の産土神。
江戸名所図会などにもあるが、八幡太郎義家が
差したという、銀杏の神木が有名であった。
そして、北、街道沿いに華徳院閻魔堂。
江戸から明治あたりまで、閻魔信仰というものが
盛んであった。お閻魔様である。
落語にもよく出てくる。
江戸三閻魔といって、新宿大宗寺、下谷坂本善養寺、
そしてここの華徳寺。
閻魔様なので、お盆、そして、正月十五日(藪入)には
御開帳、閻魔様像が公開され、にぎわったわけである。
新宿大宗寺以外は明治以降、郊外へ移転している。
北、街道西に天王町というのがみえると思う。
このあたりから、幕府御米蔵に関わる、いわゆる
札差などが軒を連ねる街になっていく。
江戸創業の老舗はまず人形店[吉徳]。
ここは古く、正徳元年(1711年)、吉宗の享保の前で
新井白石の正徳の治の頃。
そして[久月]。こちらは下って幕末近い天保6年(1835年)。
どちらも、創業もここ。
人形店以外だと、昨日も書いた佃煮の[鮒佐]、
ここが幕末、文久二年(1862年)。
場所はあまり今の場所と変わっていないのでは
なかろうか。
それから、そばの[あさだ]。
ここが安政元年(1855年)とのこと。
これ、東京の蕎麦やでもかなり古い方であろう。
江戸期の浅草橋はこんな感じでよろしかろうか。
人形店があった程度で、街道沿い、浅草へ向かう
大通りで往来の激しい場所であった、くらいか。
さて、明治。
これは明治も40年。
大名屋敷はなくなっているが、町割りは大きくは
変わっていないのではなかろうか。
蓬莱園のある松浦家は伯爵家になって
多少削られたが同じところに残っている。
また、左衛門橋ができている。
閻魔堂もまだある。
これが移転するのは、震災後、杉並へ。
(路面)電車が書き込まれている。
ここの開設は、東京市電以前、民間鉄道であった頃
明治37年(1904年)のよう。
総武線浅草橋駅ができたのは、昭和7年(1932年)と
ずっと後。それまで総武線は両国が始発であったのである。
明治、地図だけでは今一つ、どんな街であったのか、
よくわからない、のである。
明治の地図であれば、有名な商店、飲食店、その他
ランドマーク的なものは書き込んでいた。
そういったものが見当たらない。
つまり、これ、というものがなかった、という
ことになるのではなかろうか。
先日の拙亭近所元浅草一丁目付近の商店が書き込まれた
史料のようなものでも見つからなければはっきりしたことは
いえないのかもしれない。
現代
とすると、検証史料はさらに私の宿題として、
この街がどうしてこうなったのか。
ちょっとだけ推測を書いてみる。
紙を主体とする、雑貨、文具、玩具の街。
おそらく、人形問屋がやはり元になっているのでは
なかろうか。まあ、それ以外にヒントがない。
人形は紙だけではできていないが、もっと安価な紙で作られる
人形周辺のもの、、、催事の飾り物、江戸からあったが子供用の
絵柄が印刷された紙製の組み立て式ペーパークラフトの
ようなもの。あるいは、夜店で売られるお面であるとか、、、
決して大規模ではない、限りなく手作業に近い、文字通り、
雑貨としか言いようがないもの。
わからぬが、そういったものを作って売る製造問屋のような
業態が増えていったのではなかろうか。
今でも一口にコレ!、といえないものを扱っている。
ともあれ。
食い物も書かなければ。
5月21日(金)第一食
路麺・文殊・浅草橋店
いつも行っているのは、東武浅草駅の地下だが
浅草橋のガード下にもある。
負けず劣らず、きれいではない。
こんな時期だからか、温泉玉子がサービス。
あれば、やっぱり春菊天。
細いそばがやっぱり特徴。
これが、うまい。
03-3863-3332
台東区浅草橋1-17-12
もう一軒、浅草橋といえば、焼きカレー。
ガードのすぐ南。[ストーン]。
昔から有名である。いつからあるのか、わからぬが
古いのではなかろうか。店内は喫茶店か洋風居酒屋のよう。
私は、今回初めてきた。
焼きカレー普通盛。
オーブンで焼かれているのであろう。
中は?
上にチーズ、これが溶けて焦げ目。
中はカレーとご飯。ブロッコリーとウインナー、玉子。
カレーはちょっとスパイシーではあるが、
コクのある深い味。
なるほど。
これは、うまいわ。
03-5821-3800
台東区浅草橋1-10-12
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