断腸亭料理日記2021

吾妻橋やぶそば

3812号

3月11日(木)第一食

さて、今日は、吾妻橋[やぶそば]

今は駒形橋を渡った角にあるが、以前は
吾妻橋を渡ったアサヒビールというのか墨田区役所の
ビル群の先、浅草通りに出る手前にあった。

創業は昭和59年(1984年)。
ご主人は神田の[やぶそば]出身という。

以前の店にも行ったことがあった。

以前から、胡麻のつゆで手繰る胡麻汁そばが名物であった。

この界隈のこと、私、正直のところ、そう詳しくないことに
改めて気が付いた。もちろん歴史であるが、あまりきちんと
調べたことがなかった。

江戸の地図を出してみよう。

吾妻橋(東橋)を渡ったところが肥後熊本藩細川家
下屋敷、その北隣が越前福井藩松平家同じく下屋敷。

現代も。

このあたりが今のアサヒと墨田区役所、リバーピア吾妻橋に
あたるといってよいだろう。
ただ、今の区画とはちょっと違っている。
今は吾妻橋から真っ直ぐの通りになっているが、
これは明治以降なのだろう。

この区画が以前、今の前、はなんであったか、
ご存知であろうか。今、アサヒビールHDの本社であるが、
このビルができたのは平成元年(1989年)。
むろん私も記憶はある。

その前は、ここはアサヒビールの吾妻橋工場。
ここでビールを作っていたのである。
まあ、ご近所の、私と同年配以上の方々はあたり前
のことであろう。

このビール工場の操業開始は明治36年(1903年)。
当初は、なんとアサヒではなく、サッポロ(札幌)
であった。これはご存知であろうか。
詳細は未調査だが、ビール業界は、この頃明治の
終わりから大合同が始まっており、朝日(恵比寿)と
札幌は大日本麦酒という同じ会社になっていた。

これが戦後、再度分割されるときに、吾妻橋工場は
朝日になったということでよいのか。(これも経緯等未調査)

サッポロビールのHPによれば、吾妻橋工場は
「旧秋田藩主佐竹邸跡地を買収」して建設された
と書かれている。

江戸の地図では先に書いたように、ここは細川家の屋敷で
あったわけだが、明治に入り拙亭ご近所の佐竹商店街
から、佐竹屋敷がこちらに移っていたのであろう。

一方、この界隈、落語にもよく出てくる。
有名な「文七元結」の久兵衛の住居は本所達磨横丁の
長屋ということになっている。噺の中で、九兵衛は
細川の屋敷で取られてきた(博打で負けた)と
言ってもいる。これはここの細川家下屋敷で
よいのであろう。だが、本所達磨横丁がどのへんに
あった(設定?)のか、などやっぱり、詳細は
私は知らない。(本所馬場町、現本所一丁目、
東駒形一丁目あたりという情報もあるがこれも未詳。)
けっこう大事なところである。

よし。この界隈のこと宿題!。

ともあれ。
吾妻橋[やぶそば]であった。
10年前に駒形橋の東詰に移転、きれいでお洒落な
そばやになった。

天気もよく、温かい。13時すぎ自転車で到着。

入ると、こんなウイークデーのこの時刻だが、
ほぼ満席。押しも押されもせぬ人気店。

たまたまあいていた四人席に掛ける。
(これはすぐに相席に。)

お酒、お燗。菊正宗。
熱くされたら困るので、あ、熱くしないでください、
といってしまう。
女将さん(?)、ぬる燗ですか?、
いや。
上燗?。
はい、はい、上燗で。

お!、上燗という言葉を知っている。
ちょっと、驚き。
料飲店その他、どのくらいの店の人が知っている
のであろうか。知っているのであれば、私の、
#熱燗はやめてくれ!、問題は少し解決するのだが。

それから、天ぬき。
藪系では、冬は、燗酒とやっぱりこれ。

酒がきた。

上燗、上燗。

あ、酒の肴は、鶏わさがここの看板であった。
お姐さんを呼び止めて、追加で頼む。

そして天ぬき。

ちょっと小さめの器、芝海老かき揚げ。
柚子と三つ葉。どちらもよい香り。

衣、芝海老をくずしながら、つゆを飲み、酒を呑む。
これが幸せ。

鶏わさもきた。

もみ海苔、小さめの一口、しょうゆ、ピリッとわさび。
乙、で、ある。

そして、ざるを頼む。
大きさはノーマル、中、大とある。
これに普通のしょうゆのつゆと胡麻汁。
中だとしょうゆと、胡麻汁両方が付く、
という情報があって、中を頼む。

きた。

あれ?しょうゆのみ。胡麻汁は?。
後でわかったのだが、胡麻汁の中を頼むと
両方であったよう。(未確認)

手繰る。
ちょっとショックな上に、中盛、かなりの量。ノーマルでよかった。
打ちのめされてしまった。

ご馳走様でした。
今度は間違えないぞ。

 

03-3625-1550
墨田区吾妻橋1-11-2

 

 

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