断腸亭料理日記2020
6月16日(火)第二食
塩らっきょ、で、ある。
塩らっきょが食べたくなった。
季節、である。
前にも書いたことがあるように思うが、
好物である。
らっきょといえば、甘酢漬けである。
甘酢も好きで、カレーには欠かせない。
もちろん、つまみにもなるし、
拙亭の冷蔵庫には常備してある。
だが、塩らっきょ、らっきょの塩漬けというのは、
また、別もの、である。
らっきょが採れるこの時期、食べるというのもあるが、
なぜだか焼きとん・もつ焼きやに、かなりの確率で
置いているので、こういうところでは、必ずつまむ。
さっぱりとしており、独特の風味がよい。
以前、葛飾の四つ木に住んでいた頃には、
立石仲見世の佃煮や漬物を商っている店に必ず
置いていたので、決まって買って食べていた。
元浅草に引っ越してきてからは、どこ、と
決められるところが見つからず、見かければ
買うという状況であった。
どこへ行けば買えるであろうか。
漬物は、塩らっきょに限らず、私はスーパーで買うことは
ほとんどない。それこそ甘酢らっきょだけは、どこで買っても
大差ないと思うのだが、しば漬けでも、福神漬けでも
やっぱり、専門店のものにはかなわない。
もちろん値段も違うが。
最近漬物類をよく買う上野広小路の[酒悦]。
福神漬け以外も置いているのだが、
あそこに塩らっきょはあったか?。
うーん、、、今一つ、定かではない。
こんな時期なので、探しまわりたくはない。
そこで、思い出したのが、浅草松屋の地下。
あそこの漬物売り場はたまに覗くが、塩らっきょを
置いていた記憶がある。
行ってみよう。
自転車で真っ直ぐ、浅草松屋まで。
春日通りから、蔵前通り(江戸通り)。
タクシーだとこのルートなのだが、これが最短である。
松屋も考えてみたら、コロナ禍以降初めて
で、ある。
入ると、やはりまだそうお客は多くないよう。
(いや、いつもこんなものであったかもしれぬ、、。
浅草[松屋]、最近どんどんさびしくなるようである。)
漬物売り場にきてみると、あった。
塩らっきょ。
これだけではさびしいので、もう一つ、季節のもの
水なすもあるが、まくわ瓜の鉄砲漬け。
瓜もこの時期のものだが、少し前から
食べたかったのである。
鉄砲漬けは、青唐辛子を中に入れたもの。
しょうゆ漬けが成田あたりの名物であったと思うが、
これは塩漬け。
買って、戻る。
夜。
今日は、残り物。
昨日の残りの鰺は軽く酢で〆て、サーモンは
ペーパータオルにはさんで冷蔵庫に入れておいた。
まだ、随分ある。
残り少ないわさびもおろす。
塩らっきょといろいろ。
ん!。
この塩らっきょは、マイルド。
塩味も、らっきょの辛味も抑えられている。
なかなか上品。
買って、食べたことがあったと思うが、
こんな感じであったか。
瓜もうまい。
この漬物や、買い物はしても
今まで存在を認識していなかった。
[喜多福]というよう。
HPを見ると、もともとは明治15年創業の名古屋発祥の
漬物やで守口漬けの元祖とのこと。
今はあまり見かけないようだが、以前は、この[松屋]の
売り場でも目立つところに、例の守口大根のとぐろを
巻いたものを置いていたような記憶がある。
今は、八丁堀を本拠に、守口漬けも作っているが
東京の漬物店になっているよう。
ともあれ。
塩らっきょ、うまい。
初夏の味覚、で、ある。
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