断腸亭料理日記2020
4月17日(金)第二食
さて。
今日は、あるもので。
冷凍庫に豚バラのブロック。
久しぶりにラフテー
を作ろうか。
ラフテーは、漢字で羅火腿と書くよう。
この字で、中国語でなんと読むのか、またなにを指すのか
わからぬが、中国語由来という説明がされる。
余談であるが、沖縄の言葉は、沖縄語などという人も
いるようで内地の日本語とはまるで違った言葉と
私も思っていたが、言語としては立派な日本語であるという。
専門的には2〜3世紀から5〜6世紀の古い日本語から
分かれた言葉と考えられているようである。
(「沖縄の歴史と文化」外間守)
確かに沖縄の言葉をよく聞き、文字になっているのを
よくみると、単語はかなり違うようだが、音に似通った
ものはあり、また、文法はほぼ内地の言葉と同じように
みえる。
もっとも、文化的には内地以上に中国の影響が強く、
内地の日本語にはない中国語起源の言葉があっても
なんら不思議はないのであろう。
閑話休題。
バラブロックを解凍する。
レンジで半解凍し、伏せた大きな鍋に置いておく。
金属の表面積の大きなものに置くだけで、自然解凍でも
かなり早く溶ける。
前にも書いているが、これは便利である。
溶けた。
適当な大きさに切り、圧力鍋へ。
むろん正しいレシピは普通の鍋で数時間ゆでる。
圧力鍋を使うのは初めてかもしれぬ。
まあ、問題はなかろう。
ポイントは泡盛で茹でるということ。
もちろん、泡盛を常備してあるわけではない。
焼酎である。
拙亭常備のキンミヤ焼酎を浸す。
水は0%。
焼酎100%である。
これで圧が上がって、破裂しないか、多少心配ではあるが、
やってみよう。
アルコールで煮ると、どういうことが起きるのか、
科学的なことはわからないが、驚くほど脂っぽくなくなる。
点火、加圧。
圧が上がって、弱火で10分にしてみた。
消火し、30分。
破裂することもなく、終わった。
ふたを開けてみる。
肉を触ってみると、まだ若干硬い。
焼酎を足し、今度はふたを密封しないで、加熱してみた。
と、数分後、ちょいと場を外した間に、
ふたの隙間から、火が出てしまった。
いわゆる、フランベ状態である。
すぐに気が付き、もちろん、慌てて火を消す。
どういうことかというと、うちの圧力鍋は、ふたをして
圧着状態からふたを回して密封する。
このまわして密封をしていないが、ふたをした状態であった。
密封していないので、煮立てて気化したアルコールが、
ふたの隙間からそこそこの高圧になって、外へ勢いよく出て
これにガスの火が引火したのである。
危なかった。
再度密封加熱、加圧。今度は弱火で5分。
消火。
やはり、30分放置。
今度はいいかな。
串も刺してみる。
もちろん、火は通っているが、柔らかさもよいだろう。
味付け。
しょうゆ、砂糖と、鰹削り節。
鰹削り節を入れるのは、沖縄ならではであろう。
鰹節、昆布をよく使うのは、内地の料理以上かもしれぬ。
10分ほど軽く煮込んで、出来上がり。
皿に盛って、和辛子も添える。
ビールを抜いて、食べる。
豚角煮、東坡肉(トンポーロー)、と違って、
ほぼ脂っ気が抜けている。
煮汁にべっとり脂が出ているということもなく、
いったいどこへ行ってしまったのか、という感じ。
豚角煮は、あのギトギトした脂が持ち味、ではある。
あれが、うまい、ということもできよう。
だが、この年齢になったらさすがにギトギトは
たくさんは食べられぬ。
これは、かなりさっぱり。
まったく別の料理といってもよい、かもしれぬ。
うまい。
いくらでも食べられる。
ラフテー、沖縄豚角煮。
流石ののうまさ、で、ある。
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