断腸亭料理日記2019

若竹煮

3月14日(木)

さて。
たけのこ。

吉池の地下で見つけた。

福岡産。

今年、この時、初めて見つけたが小さいもの。
二本で500円。
あく抜きの米ぬか付き。

これは便利である。

初物のたけのこは柔らかくて、うまい。
好きである。

若竹煮にしよう。

福岡というのは知らなかったが、日本一のたけのこ生産量だそうな。
北九州あたりらしい。

帰宅。

洗って穂先を切り、

さらに一本縦に切れ目を入れておく。

ゆでるのは、圧力鍋。
普通の鍋でゆでると2時間程度はかかる。
調べると圧力鍋でも大丈夫のよう。

圧力鍋に水、付いていたぬか、たけのこを入れる。

ふたをして、点火。

加熱、加圧。
弱火で15分。

火を止め、放置調理。

冷めるまで放っておく。

2時間ほど。

串を指して確認。

よいようである。

きれいに洗う。

根本を少し切って、皮をむく。

薄く切る。

さすがに小さいもの、根本の方も柔らかい。
よさそうである。

出汁を取る。

たけのこには、鰹である。

鍋に湯を沸かし、煮立ったらたっぷりと
鰹削り節。濃いめを目指す。

弱火で3分。
火を止めて、置く。

濾して、再び鍋へ。

酒少々と、濃口しょうゆ。

味付けは私としては、薄め。
出汁を濃いめにしたし、初物は薄味が気分である。

軽く煮立てて、切ったたけのを入れる。

再び煮立てて、追い鰹。
これは、鰹削り節ではなく、鰹節削り節。

鰹節削り節は、にんべんのもの。
この違い、ご存知であろうか。

カビを付けて熟成させた、いわゆる本枯節を削った削り節を
鰹“節”削り節。これは東日本のもの。
西日本のものがカビを付けていない、荒節の削り節が“鰹”削り節。
鰹節の産地である土佐から江戸に運ばれる間にカビが付いたのが
始まりといわれているよう。
もちろん、今は全国で両方買えると思うが。歴史的には
こういう違いがある。

荒節の鰹削り節の方が濃いうまみのある出汁が取れる。
本枯節の鰹節削り節は、うまみもあるが香りがよい。
ただ、難点は煮立てると香りはすぐに飛んでしまう。

プロは本枯節で出汁を取るが素人は扱いにくいので、出汁は荒節。
本枯節はおひたしなどにかけて食べる、生食用と私は使い分けている。

ということで、追い鰹は鰹節削り節。

すぐに火を止め、冷ます。

味は冷めるときに染み込むので、しばらく置く。

OK。

一緒に買ってきた栃尾の油揚げもオーブントースターで
焼いて出す。

栃尾の油揚げはご存知の方も多かろう。
最近は東京のスーパーでも売っている。

新潟県長岡市の名物で、こんな感じの厚さ。
厚揚げではなく、あくまで油揚げ。
焼いてしょうゆをかけるだけ。
普通の油揚げでも酒の肴にするが、うまいものである。

若竹煮。
このように走りの若いたけのこというのは、
まったく柔らかい。
ぬかを使っているのもあろうが、あくはまったくない。

食べ始めると、とまらない。
いくらでも食べられてしまう。

出汁も丁寧に取ったし追い鰹もしたので、
うまくできた。

七十五日生き延びられようか。

 

 

 

 

 

 

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