断腸亭料理日記2018

いわし その2

引き続き、いわし。

昨日は飯台の炊き立ての飯にすし酢を合わせたところまで。
団扇は使わないが換気扇を回しておく。

にぎる前の準備は半身に切ったものをさらに
斜めに半分に切っておく。
また、おろし生姜も用意。

それからにぎったものをのせる皿。
こんなところか。

酢飯が落ち着くまで、タイマーで計って10分。

よいかな。

手を湿らせる。
これからにぎる種を用意。
この種の大きさににぎりの大きさを合わせなければいけない。
そのくらいと思われる量の酢飯を左の手のひらに取る。

掌(たなごころ)と指で握り、さらに右手の人差し指、
中指で押さえながら形を整える。

形ができたら、種を取り、整形した酢飯にのせる。

またまた、右手の二本の指で押さえる。
この時、にぎりの両端も、上は左手の親指、下は右手の
親指で押し、形を整える。

にぎりの鮨をにぎりはじめた頃と比べれば、
格段に進歩はしたとは思うのだが、まだまだ不格好。
また、プロは、口に入れたときに、パラっと崩れるように
にぎるというが、まだまだ、ちゃんと崩れないように
しっかりにぎるだけで精一杯。

一つにぎったら、上におろした生姜をちょいとのせる。
これで一つ完成。

種の魚の大きさがそもそも違うので、酢飯の大きさも
それぞれ違ってくる。プロは逆ににぎりの大きさを決めて
そこに種の大きさを合わせる。

ともあれ、続けてどんどんにぎる。
三匹おろしたので、種は12カン分できているわけである。

今、12カンと書いてしまった。
12個。

余談だが、いつの間にか、にぎりずしの数え方の、カン、が
それこそ女性、子供まで含めて、日本国民全体に
広まってしまった感がある。
ひとえにメディアの影響であろう。

これは鮨やの符丁(ふちょう)である。
毎度書いている通り、私自身は、符丁は使わないのが
お客としてのマナーであると思っている。

アガリ、ではなく、お茶でいいし、
シャリではなく、酢飯。
ガリではなく生姜でよい。
オアイソではなく、お勘定。
お愛想はお店の人がするもので、お客がするものでは
ない。お客が使うことがそもそも滑稽である。

符丁というのは、お客にわからないよう話すのも
目的の一つで、訳知り顔でお客が使うのはあまりスマートなことではない
と思うのである。

余談ついでに、数字の符丁というのもある。
Aさんのお勘定を店の人間同士で、伝え合う。
どこの鮨やでもよくやっている。
一はピン、二はリャン、三はゲタ、四はタリ・・・。
ピン、リャンくらいは誰でもわかる。ゲタは下駄の鼻緒を
通す穴が三つあるので、三は下駄。
四人をヨッタリと江戸弁でいうが、ここからきている。
(落語「居残り佐平次」のお客はヨッタリ。この噺で
かなりの頻度でヨッタリは登場する。)
こんなものは、お客にわからないようにと使うことの
典型であろう。

一個二個も、イマイチないので、鮨やでは普通私は一つ、
二つといっている。
(今回これは、12カンなので12個、になってしまうが。)

ともあれ、お皿にのるだけ、8つにぎってみた。

ビールを開けて、食べる。

ピカピカしている。

よい色である。

やはり、これ、うまい。
そうとうに。

さばいていても、にぎっていても、脂がのっているのが
よくわかった。
手がベタベタになるほど。

酢飯とにぎられて、ちょうどよい。
不思議と生ぐさいとは感じない。
アメ横である。べら棒に鮮度がよいとも思われないのだが。

いわしでもこのようなのは珍しいのではなかろうか。
まさににぎり向き。

刺身では、くどすぎる。
生ぐさいと感じるか。

これはとにかく、いくらでも食べられる。
要注意である。

さて、翌朝。

三匹分、叩いて、ねぎ、生姜、信州味噌。

なめろう、で、ある。

白い飯と食べたが、やはり多少生ぐさい。

夜、ホイルにのせてオーブントースターで焼いた。

さんが焼き。

わるくはないが、ちょっと、水分が出てしまった。

まだあったいわしの残りは内儀(かみ)さんが煮ものにしたのだが、
やはり、にぎりの鮨が最上であった。
さんが焼きもそうなのだが、煮ものも随分と柔らかい。

魚にもそのコンディションによって、
刺身、にぎり、酢〆、焼き、フライ、煮、最適な食べ方がおそらくある。
特に光物はそうなのではなかろうか。
脂ののりかた、鮮度、、、?。
素人にはとてもわからぬ。










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