断腸亭料理日記2018
+たけのこ初物
3月18日(日)第一食
引き続き、助六寿し。
かんぴょう巻きとお稲荷さん。
先に米を研いで、浸水しておく。
買い出し。
ハナマサへ出掛け、かんぴょう、油揚げ。
それから、お稲荷さんには酢蓮(すばす)も入れよう。
お稲荷さんには酢蓮は必須であろう。
蓮根は、少し前のNHK「ガッテン!」でやっていた。
部位によって、味が異なるということ。
プロの間では、既にあたり前のことであったよう。
蓮根というのは、蓮の地下茎であるが、一番先端に
我々が食べるふくらんだ部分ができる。
これは地下茎から先端に向かって三つ程度の
ふくらんだ節ができるわけである。
このふくらんだ部分の位置が最も地下茎に近いところが
でんぷん質が多く、先端に行けば行くほど、少なくなる。
つまり、手前はほくほく甘く、例えば厚く切って、
天ぷら向き。
逆に先端はでんぷんが少なく、シャキシャキした食感で
こちらが酢蓮向きになる。
先がすぼまって、先端部分らしいものが入ったパックを購入。
ん!。
助六寿しとは関係ないが、たけのこが出ている。
見るからに小さな初物(はつもの)。新たけのこ。
これも買ってみるか。
帰宅。
作る。
まずは油揚げの油抜き。
鍋に湯を沸かし、二枚分を投入。
都合、お稲荷さん四つ分。
たくさんできてもしょうがない。
かんぴょうの戻し方はパッケージを見る。
適当な長さに切って、軽く水洗い。
ボールに入れ、
塩もみ。
馴染んだ感じになったら、水洗い。
このまま水に漬ける。10分程度。
油抜きの油揚げは、ざるに取っておく。
鍋にかんぴょうを入れ、水、点火。
これは下茹で。
蓮根。
左側部分がシャキシャキの先端かと思われる。
が、酢蓮、家にあった。
内儀(かみ)さんが好きで、ある程度いつも
作り置きをしていたのであった。
と、いうことで、この蓮根は買い置きに。
かんぴょう。
やわらかくなるまで、10分、15分程度。
一度湯を捨てて、味付け。
水、酒、しょうゆ、砂糖。
煮立てて、アルミホイルで落としぶた。
まだかな?。
かんぴょうを煮るのは意外に時間がかかる。
ん?。
よく見ると、厚みにばらつきがあって、
厚い部分に味が染みるのが時間がかかっている。
大方は、味が染みているので、火を止めて置いておく。
たけのこ。
またまた余談だが、初物のこと。
初物を食べると、七十五日であったか、寿命が延びるなどと
いわれていた。江戸人の初物好きというのはかなり
顕著であったようである。
温室などがなかった頃、今とは考えられないくらい
時期の最初に出てくるものを、皆待っていた。
初物の販売開始時期はお上から定められてもいた。
こんなこともあって、最初のものにはかなりの高値が
ついて、これ自体もお上から規制がかけられるほどで
あったようである。
今でも、産地の初出荷のものにはご祝儀値などといって
高値を付けることが慣例にもなっている。
希少なものに、法外な高値が付くというのは、
今もそうだが、我々日本人の妙な性癖であろう。
落語「千両みかん」というのをご存知であろうか。
ある大店(おおだな)の若旦那が病になり、
夏のさなかに、みかんが食べたいといった。
金にあかして、番頭は探し回り、とある問屋の蔵の奥に、
ほとんど腐っていたが、一つだけ無事なものを見つけた。
問屋はこれを千両で売った。
若旦那はほんの数房だけ食べて、満足。
番頭、千両のみかんを手に考えた。
一房だって、百両以上になる。
このままこの店で勤めても、高々知れている。
えい!、と残ったみかんを持って、逐電した。
小さなものでも、480円の新たけのこを買ってしまうのも
私にも、悲しい日本人の性がある。
今回のたけのこは、温室栽培ができぬので、
初物の高値が今でもしっかり生きている例であろう。
柔らかそうなので、茹でただけで食べよう。
根本と、先を少し切る。
米ぬかがないので、米粒パラパラ。
煮立った。
アルミホイルで落としぶた。
弱火で1時間。
つづく
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