断腸亭料理日記2018

食べたものいろいろ。その3

引き続き、食べたものいろいろの、秋刀魚。

アメ横で買った格安の秋刀魚、刺身、塩焼きで
食べてみたら、噂通りの脂ののりを確認できた

翌、第一食。

やはり、秋刀魚の塩焼きには大根おろしは
必須であろう。

買いに出る。

大根も今、意外に安くない。
一本だと200円弱。
まあ、高くもないか。

半分を購入。
おろし用なので、辛み強めの先端部分。

飯も炊く。

味噌汁もあれば、とも思ったが、
暑いのでやめておくか。

やはり半分に切ってガスのグリルで焼く。

最近のガスのグリルは両面から火が出て焼けるものが
あるようだが、拙亭のものはもう15年以上前のもので
片面のもの。

もちろん、マンションのシステムキッチンに造り付けのもの。
特段故障などしておらず使用には問題ないが、
このグリルだけ新型に替えるようなことはできるので
あろうか。

脂が強いせいであろうか、なにか早く焼けるように
感じられる。これは事実そうなのではなかろうか。
脂というのは熱伝導がよさそうであるし。

大根はたっぷりとおろす。

漬物は奈良漬。以前京都から取り寄せたものの最後。

やっぱり脂ののった焼き秋刀魚には、
おろしは欠かせない。

私は秋刀魚の場合ははらわたも食べる。
特に少ないとはいえ苦みがあって、また、脂も多い
はらわたにはおろしが必要である。

大根おろしを添えて、しょうゆをかけて
脂ののった秋刀魚を、白い飯で食べる。
まったく、超定番かつ、この上なくうまい、
秋の食事ではある。
しかし、このうまい秋刀魚にここ数年来お目にかかれなかった
というのは、まったくもって寂しいことであった。

さて、もう一つ。
脂ののった秋刀魚といえば、秋刀魚飯。
これもやっておこう。

まず最初に米を研ぐ。
水加減時に、酒、しょうゆを入れ、残りを水にする。
秋刀魚飯にはちょっと濃いめの味付けがよろしかろう。
酒もしょうゆも多め。

酒の量が多くなると浸水に時間がかかるので、
夕飯用に午後一から浸水を始めておく。
少なくとも3時間は見ておく必要がある。

夕方。
魚の炊き込みご飯は大方皆同じ。
白焼きにし、浸水の終わった米にのせて
一緒に炊く。
この時、先日の鮎飯の時にも書いたが、
はらわたは抜いておかないと、まったく食べられないものに
なってしまう。

秋刀魚二匹、半分に切ってはらわたを抜き、
塩をせずにそのまま焼く。

焼けたら、炊飯器の釜へ。

あとは普通に炊けばよい。

電気が切れて、炊きあがり、蒸らし時間も取って
ふたを開ける。

一度秋刀魚だけを取り出し、頭を取り中骨を抜く。
小骨などはよろしい。そのまま、身をほぐす。

これを混ぜ込む。

飯茶碗に盛り、もみ海苔も散らす。

生姜などを入れる向きもあるが、私は酒としょうゆのみが
好みである。漬物は柴漬け。
秋刀魚のうまみと脂が飯に染みて、実に堪えられない。

秋刀魚飯は、それこそもっと脂の多い、ベトベトで
塩焼きではちょっとヘビーというような秋刀魚の食べ方
として、最適である。

これで今年最初の帰ってきた秋刀魚らしい秋刀魚食べ尽くし、
終了である。

さて、今年の秋刀魚、なぜ急に脂がのったものが
たくさん獲れるようになったのか。
いろいろ報道されてはいるが、コレという理由は
実のところよくわかっていないようである。

NHKで報道していたのは、このところの台風などで
北海道、道東沖の秋刀魚漁場の海域の水が台風でかき混ぜられ、
水温が下がり、秋刀魚の好む温度になってきたから、という
専門家の見解を示していた。
だが今年はなぜ久しぶりに脂がのっているのか、というのは
今一つ納得のいく説明はできないようであった。

実のところ、秋刀魚の生態というのはよくわかっていない
というのも本当のところのようである。中国や台湾などを交えて、
関係する国々で漁業交渉が7月に行われ、秋刀魚の漁獲枠を設けるように
我国は提案したようである。しかし、中国などは必ずしも秋刀魚は
減っていないと主張し、受け入れられなかったという。

秋刀魚は減っていないというのは正しいという専門家もある。
道東沖の海水温の上昇で秋刀魚が漁場に来なくなっているだけという。

海水温が上がっているということの方が趨勢だとすると、
今年は特別で、また来年は不漁かつ脂ののらないものしか獲れない
状況に戻ってしまうのではなかろうか。

脂がのった秋刀魚が多く獲れなければ無理して(高い金を出して)
食べることはないというのが原則的には持論ではある。
ただやはり、こうして久しぶりに彼ららしい元気な姿を見ると、
うなぎかば焼きなどと同様、我々の立派な食文化であることを
改めて思い出させられる。
あまり無理をせず(お金もかけず。)うまい秋刀魚が
毎年食えるのが理想ではあるのだが、専門家の皆様、
なんとならぬものであろうか。


 

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