断腸亭料理日記2018

食べたものいろいろ。その2

夕方、ちょっと早い時刻。

浅草並木[藪蕎麦]。

真夏というのはあまり蕎麦やに入ろうという気には
ならないのだが、今日は呑みたくなって入ってしまった。

テーブル席がそこそこ埋まっており座敷は一組。
たまにこういうことがある。
座敷をすすめられて、窓側奥に窓を背に胡坐をかく。

冷(ヒヤ)で一合。

肴は、ここではいつも天ぷらのヌキをもらうのだが、
さすがにこの暑さに熱いつゆものもない。
板わさを頼む。

お盆にのせて一合のお銚子と蕎麦味噌が先に出る。

グラスに注いで、一杯。

ここは菊正の樽。

ほんのり香る樽の香りがさわやか。

板わさもきた。

namiki_itawasa.jpg(43639 byte)

毎度思うがこの小さなしょうゆ差しがよいではないか。

清酒お銚子一合というのは、アルコールの量とすれば
ビール500ml一本と同じくらいであったか。
値段はここでは同じ750円。どこも大体そんなものか。
アルコールの回り方も同じような感じである。

不思議とここではお酒お替わり、とはあまり思わない。
まあ、つまむものもあまりないというのもあるし、
本来そばやでだらだら呑むのは野暮というものであろう。

ざるを一枚。

namiki_zaru.jpg(54556 byte)

わさびがさわやか。
さっと、手繰る。
もう一枚お替わり。

蕎麦湯も飲んで、腹も気分も、よい感じ

勘定をして、出る。

ご馳走様でした。

03-3841-1340
台東区雷門2丁目11−9

次はこれ。

hinoya.jpg(29024 byte)

昼、お茶の水付近にいて、カレーの[日乃家]。
入られたことがある方もあるかもしれぬ。

たまに例外はあるが、基本、
ここにはチェーン店は書かないことにしている。
理由はまあ、あまり好きではないから。
個人営業の店の方が、味があって、うまいから。

[日乃屋]というのは本郷が発祥で東京を中心に
FCを含めて50店舗以上ある。立派なチェーンといって
よいだろう。
お茶の水に昼いて店の前を通りかかり「神田カレーグランプリ
殿堂入り」の看板に惹かれてつい入ってしまった。

食券制。「名物カツカレー」840円というのがある。
名物といわれ、好物なので迷わずカツカレー。
といったわけである。

結論的にはまずくない。十分にうまいだろう。
カレーはちょっとこってりめで、個性もある。
(欧風系に近いか。)
また、カツもボリューム感がある。
店のキャッチ通り、辛さはさほどでもない。
中盛というのがあったが、ノーマル盛だと少し多めか。
このボリュームでこの味で840円は決して高くはない。

神田カレーグランプリ殿堂入りがどんな経緯なのかは
ちょっとわからない。万人受けということなのか。

日乃屋

千代田区神田駿河台2-10-3
03-6273-7539

次。
秋刀魚、で、ある。
今年、既に食べられた方もあるかもしれぬ。

またまた、アメ横の魚や。
ニュースでも流れている。今年は豊漁の上に脂も
のっているとのこと。根室では小型のものが、
無料で市民に配られた、と。

アメ横のいつもの魚やで見かけたので、迷わず買った。
7〜8本あって、毎度お馴染み500円。

こんな感じ。

sanma_maru.jpg(11684 byte)

そう大きなものでもなく、また、傷もあったり、
ひょっとするとすると、根室でタダで配られたランクのもの
かもしれぬ。
ただ鮮度はそう馬鹿にしてものではなさそう。
試しに三枚におろしてみる。

うん、刺身でも行けそう。
そして、おろすとある程度わかるが、脂もある。

しょうがをおろして、刺身に切る。

sanma_sash.jpg(39363 byte)

ビールを開けて、食べる。 ふむふむ、十分に刺身で食える。
脂もベトベトというほどではないが、十分。

なるほど、噂通り。
すぐに焼くつもりではなかったので、大根を買ってこなかったが
我慢できず焼いて食べることにした。

半分に切って、ガスのグリルで焼く。
確かに、焼くと脂が多いのがよくわかる。
ただ、ボウボウ火が出るくらいの、過去経験のある
最も脂のある状態からは、多少劣るようではあるが。

sanma_yaki.jpg(56264 byte)

ただ、この数年のスカスカのものよりは
そうとうに秋刀魚らしい。
むしろ、このくらいの脂ののりがちょうどよろしい。

秋刀魚よ、よくがんばった、よしよし。
汚名返上。苦節なん年、だかわからぬが、やっと君たち
らしい姿を私達に見せてくれた。
これでこそ、我が国の大衆魚、落語のネタ。
秋の味覚の四番バッター。

そんな感じではないか。



つづく

 

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