断腸亭料理日記2018
4月4日(木)昼
大阪出張。
昼を、京阪の守口市駅。
以前に一度入ったことがあった、お好み焼きや
鶴橋[風月]に行ってみることにした。
駅の中のテナントである。
東京ものにとっては、大阪のお好み焼きというのは、
私自身、なん回か食べているが、まだまだ未知のもの
ではある。
だが、うまい。
もっともっと食べて明らかにしたい、と、思っている。
この京阪守口市駅の店には、一度入ってみたことがある。
鶴橋[風月]というのは、チェーンだと思うのだが、
大阪でどんな評価なのかも、実際のところは
よくわからない。
ただ、前に食べたところ、びっくりすることは
たくさんあったが、わるくはなかった。
いや、うまかった。
この他では、大阪の人に勧めてもらった、
千日前の[千房]本店に二回。
これも、大阪の方の評価はわからぬが、チェーンで
[ぼてぢゅう]の地元御徒町の吉池ビルに入っている店。
それぞれ、焼き具合、ソースの味、見せ方などなど、
同じようだがそれぞれ多少違っている。
こういうチェーン以外にももちろん個人経営のところも
たくさんあって、それぞれ特色があるのであろう。
東京にはまったくない食文化なので、なかなか
おもしろい。
12時少し前、店に入ってみる。
例によって、お昼だが随分とにぎわっている。
サラリーマンらしい二人組などもあるが、
どちらかといえば、地元の人が多そうである。
年齢は比較的高め。
70は越えているか、というお婆さん一人、なんという
のもある。
ビールなんぞを呑んでいるのも一組ある。
鉄板のあるテーブルに一人で座る。
お姐さんがすぐにきて、注文。
看板らしい「風月焼き」、1000円ちょい、
というのを頼んでみる。
豚やら、海老やら入っているよう。
しかし、不思議である。
東京のお好み焼き店というのは、
今は大分少なくなっていると思うが、
基本は自分で焼く。
大阪は、店で焼いてくれる。
焼いたのを持ってきてくれるところもあるが、
ここ守口の[風月]はお客のテーブルの
鉄板でお姐さんが焼いてくれる。
広島もそうだが、技術がいるので、店側が焼くというのが
定着しているのであろう。
注文からしばらくして、お姐さんがカップに入った種を持ってくる。
さほど大きな店ではないが、若いお姐さん二人で
切り盛りしているようなので、たいへんである。
鉄板の脇で、カップの種をスプーンでよくかき混ぜて、
鉄板へ。鉄板上でスプーンできれいに整形。
お姐さんはそのまま去っていく。
大阪のお好み焼きというのは、割合とすればほぼ、キャベツ。
しばらくして、お姐さんが再登場。
鰹節大丈夫ですか?と聞いて、鰹削り節をたっぷりと
のせていく。
焼きっぱなしで焦げはしないかと心配であるが、
時間はちゃんと計っているのであろう。
いい頃合いでか、三度お姐さん登場。
ひっくり返す。
ちょっと黒っぽくなったが焼けている。
マヨネーズ大丈夫ですか?と聞いて、ソースと
マヨネーズを塗ってくれる。
[風月]の場合、これで出来上がり。
青海苔(アオサと缶に書いてある。)を振って
コテで切って、食べる。
うまい。
この厚みであるが、大量に入ったキャベツには
火が通っている。
ただ、小麦粉は完全には火が通っていない。
“トロッ”状態。
つまり半生。
これが東京人の私には、今一つ理解ができない。
東京のお好み焼きはもう少し薄く仕上げて、
小麦粉にも完全に火を通す。
火が通ってプニプニした状態の小麦粉がうまいのか
といえば、むろんそんなことはない。
ただ、半生のトロトロの小麦粉は普通食べない。
大阪はたこ焼きもそうだが、トロトロでちゃんと
食べられるようにしてある。
不思議である。
また、先に書いたように、この厚みで生地は
トロトロなのだがキャベツにはちゃんと火が通っている
というのもまた、不思議。
結局、このトロトロの半生の小麦粉生地と
キャベツなどの具材とソースが混然一体となった
摩訶不思議なものが、大阪のお好み焼き、ということで
よいのか。(ここ[風月]のものが、特にトロトロ、なのか?。
いや、程度の差は多少はあると思うが、どこも多少はトロトロ
部分が残っているか。)
おそらく、戦後なのであろう、当初は大阪も東京も
お好み焼きといえば、同じようなものであったのではなかろうか。
それが、大阪だけこのように進化した。
見た目は似たようなものだが、中身はまったく似て非なるもの。
おもしろい。
守口市本町1-5-8 クォーネ1F
06-4250-0101
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