断腸亭料理日記2017
11月4日(土)夜
引き続き、連休、中日。
よし。
煮込みを作ろう。
煮込みの季節、で、ある。
煮込みといえば、他のものではない。
もちろん、もつの煮込みのこと。
居酒屋、焼きとんや、大衆酒場といったところのもの。
酎ハイと同様、戦後のものかと思ったら、ウィキペディア
によれば、明治中頃には既にあったらしい。
どちらにしても、既に肉体労働者の安いタンパク源、
酒の肴であったようである。
串に刺して味噌で煮込んだ、というような記述も
出てくるが、焼きとんを煮込むというようなイメージ
であろうか。
今の焼きとんやなどのもつ煮は、もつ自体の処理方法だったり、
調理方法にしてもだいぶ進歩し、かなりうまいものになっているが、
その昔のものは、においやら強く、食べつけない者には
ハードルの高いものであったようである。
人力車の車夫相手の屋台、などとも書かれており、
店舗を構えた居酒屋よりもさらに安直な地位だったのかも
しれない。
材料はハナマサで調達。
煮込み用のモツの大きなパック。
それから、生のマルチョウ。
脂がよく出るので、最近は欠かさず入れている。
それから、木綿豆腐。
いつもは量を増やす意味もあって、こんにゃくを
入れていたが、今日はやめてみる。
毎度書いているが、私のレシピは、森下の有名居酒屋
[山利喜]が元。
もつを軽く洗って、圧力鍋に。
にんにく一かけら、しょうがのスライス4〜5枚。
ここに赤ワインたっぷりに水。
量はヒタヒタ程度。
味噌は、そう、今回は例の江戸伝統の味噌、江戸甘を
使ってみよう。
いつもは、信州味噌を主に八丁味噌を入れていた。
あとで味をみるとして、一先ず、江戸甘のみ。
ローリエ数枚。
これで点火、煮立ててしばらく置き、ワインのアルコールを
飛ばす。
ふたをして、圧が上がって弱火で5分。
火を止めて放置調理。
平行して小鍋で玉子をゆでる。
3個。
沸騰したところに玉子3個。
ふたをして弱火で10分の固ゆで。
水で冷やし、よく冷えてから皮をむく。
ゆで玉子の皮むきは、よく冷えてからが、鉄則。
圧力鍋の方は、30分。
ふたを取る。
豆腐も切って、ゆで玉子も入れる。
ここで味見。
味噌が、江戸甘100%。
やはりこれは?、クエスションマーク、である。
煮込みの場合、甘辛まではいかぬが、実は砂糖も入れる。
砂糖が入らないと、なぜか煮込みらしい味にならないのである。
江戸甘は甘いので、砂糖なしで、なにも足さずにすむかとも思ったが、
今度は、塩味が足らない。
それから、江戸甘は、米麹の量が多いので米麹の味、
ちょっと酒粕のような味がする。これが少し気になる。
信州味噌、塩、しょうゆ、砂糖も追加。
結局、元のレシピに戻っているよう。
OK、こんなもの。
玉子と豆腐はもう少し置くとして、もつだけは
食べられるので、ちょいとつまむ。
深夜。
豆腐も玉子も味が染みてきたところ。
[山利喜]を真似て、ガーリックトーストも用意。
煮込みは、まあまあのでき。
だがやはり、江戸甘は向かなかったか。
煮込みのようなものには、濃くてはっきりした味が
合っているのであろう。
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