断腸亭料理日記2017
6月9日(金)夜
大阪出張。
意外に早く、18時頃には東京駅に帰ってきた。
昨日直したiPhoneの調子が今一つなので
再度秋葉原のショップへ向かう。
純正の修理ではないので、不安はある。
30分というので預けて、、、
その間、、、、ん!。
そばを食おうか。
目と鼻の先、神田の[藪]蕎麦だ。
[まつや]も考えたが[藪]の気分。
万世橋を渡って須田町、JRの万世橋ビル。
脇を抜けて右。一本目を左に入りあんこう鍋の[いせ源]の通り。
ちょっとこのあたり通りが斜めになっているのでわかりにくい。
[藪]はもう一本向こう側。
路地を曲がって[藪]そば到着。
門から入って、中の自動ドアも入る。
いらっしゃぃ〜〜〜、とお馴染みのお姐さんの合唱。
比較的すいている。
一人、というと、カウンターかテーブルか、
お好きな方で、と。
カウンターがあったのか。
入って正面奥の窓際がそのカウンターのよう。
30分で戻らねばならいので、カウンターでよろしかろう。
席にかける。
ガラス窓の向こうは目隠しの植え込みがあって、
向こう側の通り。
品書きが置かれている。
お姐さんが水を持ってくる。
時間もないので、
お酒冷(ひや)で一合と、せいろ一枚。
すると、お姐さん、
冷(ひや)というのは常温で、冷やしているものでは
ないんです。
はい。
知ってますよ。
そう思われている方が多くて、、、
違いますよね、まったく。
と、私。
すべてのお客にこういう対応をしている
のであろう。
お酒お燗、というと、熱燗ですか、と判で押したように
聞き返されるのと同じである。
さらに。
あ、、。
お酒と、一緒でいいですよ。
あ、いや、いや。
なりゆきでいいです。
普通、酒とそばを同時に頼むと、
呑み終るのを待って、そばを出す、あるいは
その都度聞く、ということもあるが、
呑む客への配慮をするのが東京の蕎麦やの
伝統ではある。
酒を呑み終るのを、待たなくていいです、という意味で、
一緒でいいです、といったのだが、さらに逆に、
そばの出来上がりと合わせるという指示に思われるかと
考えて、成り行き(酒は準備でき次第)でいい、
と言い直したのであった。
酒はすぐにきた。
猪口に三つ、四つ呑んでいるうちにせいろもきた。
ちょっと緑がかった[かんだやぶ]のそば。
わさびを箸先につけて、呑みながら、そばをたぐる。
一合呑み終ったが、
せいろはもう一枚もらおうか。
普段、お替りはしないが、珍しく、お替り。
うまかった。
立って、帳場で勘定。
ありがとうぞんじまぁ〜す。
さて、さて、冷の件。
冷はヒヤ、で、ある。
知らない方がわるいではないか。
[かんだやぶ]、そんな奴に気を使わなくともよいではないか、
とも思うが、、、
そう。
それこそ、昔、火事になる前には、そこそこここは敷居が
高かったようにも思う。
こういう物言いをすることに変えたのかもしれぬ。
それにしても、なんであろうか、
『常温』なんという風情もなにもない言葉は。
誰が考えて、使い出したのか。
やめようではないか。
昔から、冷はヒヤといってきたのである。
(「男の作法」を持ち出すまでもなく、さらに東京だけのはなし
でもない。日本中、冷はヒヤではなかったか。
確かめていないが。)
燗酒といえば、熱燗ではなく、適温の上燗。
燗をつけていない酒を冷(ひや)。
これは常識である。
アナクロであろうか。
しかぁし!!、もはや一刻の猶予も許されない。
アナクロといわれようが、やはりこれは、断腸亭として、
声を大にして「熱燗、常温、撲滅運動」を開始しなければいけない。
特に(東京の老舗)蕎麦やでは。
〒101-0063
千代田区神田淡路町2-10
03-3251-0287
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