断腸亭料理日記2017

日本橋・蕎麦・やぶ久

7月18日(火)夜

またまた、大阪出張。

今日の帰京は、20時ちょい前。

暑い上に、雨も降ってたいへんな大阪であったが、
新幹線は遅れることもなく、無事到着。

聞けば、留守の東京はもっとたいへんで
雹(ひょう)まで降っていたよう。

道々、なにを食べようか、考えてきたのだが、
久しぶりに、日本橋のそばや[やぶ久]。

暑いが、天ぬきで一杯やって、ざるそばでも
たぐる、か。

あそこは、季節の種のかき揚げを出しているので
それで、天ぬきにしてもらうのが、愉しみ、で、ある。

[やぶ久]は創業明治35年の老舗。

老舗というのは閉める時刻が早いが、ここは、呑む客にも
顔を向けており、22:30がラストオーダー。

従って、この時刻でもOK。ありがたい。

八重洲中央口から出て、ノースタワー前の信号で
外濠通りを渡る。

ここから真っ直ぐ。

中央通りに出る一本手前を左に曲がる。
この通りは外濠通りと日本橋の中央通りの真ん中の通りで
八重洲仲通りという。

この八重洲仲通りが永代通りに出る手前の右側。

このあたり、ちょっとおもしろいかもしれぬ。

八重洲仲通りというのは、今は東京駅八重洲口前の盛り場だが、
毎度書いているように元の日本橋花柳界からの盛り場といってよい
のであろう。

日本橋の中央通りは文字通り江戸からの目抜き通りで
高島屋、丸善その他、今も構えの立派なビルが並んでいて
どちらかといえば、いや、そうとうかたいイメージ。

それに対し、この八重洲仲通り界隈は急にゆるい。
ただまあ、新宿だったり渋谷だったり、いわゆる東京の
他の盛り場と比べれば、規模も小さいが、まだ品位のようなものが
あるように感じられるのは、おもしろい。

8時すぎ、店に入る。

6時前後に入ると、ほぼ座れないが、この時刻であれば
なん回転か終わった後なのであろう、一階で一人ぐらいは、
らくに座れる。

入口前の二人掛けのお膳に掛ける。

お姐さんに、エビスの中瓶。

ここは急な階段であがる、二、三階もあって
グループで呑んでいるサラリーマンが多数。
まあ、一階も似たようなもの。

さて、なんにしよう。

ここまで思い描いてきた筋書は、季節のかき揚げの
天ぬき、なのであるが、、、、

品書きを見ると、季節のかき揚げが、見当たらない。
季節の天ぷらは、夏野菜、穴子、あたりで、
かき揚げではない。

はて、ないのかしら。

ん!?。

今日、気が付いたのだが、品書きにズバリ「天ぬき」がある。

今までは「天ぬき」は書かれていないものであったはずである。

注文を取りにきたお姐さんに聞いてみる。

すると、季節のかき揚げは、今は芝海老という。

小柱だったり、白海老、桜海老、というのが、
季節のものだが、そういう意味では、どれでもない季節、
ということかもしれぬ。
ノーマルな芝海老かき揚げ。

で、天ぬきのこと。
お姐さんに聞くと、これは、どうもかき揚げではない。
一本揚げの海老天と、しし唐天が入ったものという。
以前はなかったので、作ったのであろう。

東京のそばやで天ぬきをかき揚げで出すところは、
実際は多くない。多くは車海老などの一本揚げの大きな海老二本。
かき揚げは私の好きな、浅草並木[藪]他数えるほど、
かもしれぬ。しかし、私の好みとしては、かき揚げの方がよい。

それで、芝海老のかき揚げで天ぬきにしてもらうように頼む。

きた。

こんな感じ。

芝海老だが、玉ねぎも入っている。
(これが季節、かな。)
ついでにしし唐天も入っている。

やっぱり、天ぬきはふやけた衣を肴にして呑むわけで
衣の多いかき揚げの方が、よいと思うのである。

天ぬきは熱いもので夏らしくはないのだが、
私は酒の肴としては、暑くてもいっこうに構わない。
うまいもの、で、ある。

呑み終り、食べ終わり、ざるを一枚。

手繰って、お勘定。

うまかった。

ご馳走様でした。

 

 

日本橋やぶ久



  

断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 | 2016 12月 | 2017 1月 |

2017 2月 | 2017 3月 | 2017 4月 | 2017 5月 | 2017 6月 | 2017 7月 |

BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2017