断腸亭料理日記2017

親子丼

12月22日(土)第一食

丼ものが続くが、土曜日、第一食、
親子丼、で、ある

無性に食べたくなった。

親子丼も、定期的に食べたくなる食い物である。

だが、これもなぜだか、外で、ということには
あまりならないのが、不思議ではある。

親子丼というと、今はどこで食べられるであろうか。
専門店もなくはない。

東京駅のキッチンストリートに新橋の[鶏繁]
という焼鳥やの親子丼の店があってなかなかうまい。

この他にも、人形町の[玉ひで]も、もちろん名代ではある。

専門店は少なからずあって、それなりに
玉子だったり、鶏肉だったり、工夫をしたものを
出している。

ただ、そういう専門店がどこにでもあるかといえば、
やはりそれはそうでもない。

どこにでもある親子丼が食えるところといえば、
東京では町のそばやであろう。

私自身は、そばやでご飯ものを食べるのであれば、
親子ではなくかつ丼であるが、
町のそばやには、かつ丼と並んで、親子も必ずある。

なぜかつ丼と親子丼が町のそばやにあるのか。
考えると不思議なこと、で、ある。

以前に丼物の歴史を明治から新聞記事をたどって
調べてみたことがあった。

歴史的にはかつ丼よりも親子丼の方が古い。

そもそも親子丼というのは、人形町[玉ひで]が
明治21年頃始めたという。
本当に元祖かどうかはわからないが、明治も中期以降、
玉子というものがある程度安く出回るようになって
当時、江戸から市中にたくさんあった、軍鶏鍋やで
出すようになったと考えてよいだろう。

かつ丼はそもそも、洋食やのポークカツレツが
とんかつとして独立した後でなければ、生まれないと
思われる。
従って、とんかつの独立が大正期、であり、
それよりも後。
一説には、早稲田のそばやが元祖という。
おそらく、このあたりが、そばやにかつ丼がある
嚆矢なのであろう。

それ以前、そばやに親子丼があったのか。
ここが大きな問題。
つまり、親子の鶏肉をとんかつに代えたものがかつ丼であるが
親子を出していた店でかつ丼を出すようになったと考えるのが
妥当ではあろう。

まだ私自身、明確な回答は持ち合わせてはいない。

一方で今はほとんど東京から消滅してしまったが、
いわゆる食堂、頭に「大衆」なんという冠がつくことも
多いが、こういうところにも親子もかつ丼もあった。
(オムライス、などもあったが、とんかつも
あったのであろう。)

そばやではなく、こういうところに親子丼が先にあって、
かつ丼が生まれたということも想像はできる。

先に書いたように、そばやで生まれたのであれば、
親子を先にそばやで出していないとおかしい。
ご飯ものの親子をそばやで出す必然性が乏しいのでは、
とは思うのだが、、。

軍鶏鍋やの親子丼が、いかにして広まったのか。
依然として、私の課題ではある。

例によって、与太話が長くなってしまった。
ともかくも、親子丼を作る。

鶏肉は細切れと称してハナマサで売っていたパックを
昨日買っておいた。
大きさも適当に小さく切られていたのでそのまま使える。

三つ葉は必須であろう。
これだけで、一つ上の親子になる。
よし、そうなれば、味噌汁も作ろう。
これは、なめこだ。

なめこと三つ葉だけ買い足しに出る。

味噌汁は鰹削り節でだしを取って、
味噌は八丁味噌と信州みその半々程度の合わせ。
やはりなめこには赤味噌が入った方が、それらしい。

親子の方は、つゆはいつもの桃屋のつゆ。
少し水で割る。
丼鍋で玉ねぎと鶏肉を煮て火が通ったら、軽く割りほぐした
玉子二個を回し入れる。

ふたをして軽く固まればOK。

飯は、冷蔵庫にあった冷や飯をレンジ加熱。
丼に移しておく。

丼鍋のふちに全周菜箸を入れて鍋から離し、
丼飯の上に、滑らせる。

崩さずに丼飯にのせる。
ここがなかなか難しい。
上の方が多少崩れたが、そこそこうまくいった。
三つ葉を散らす。

なめこ汁にも、三つ葉。

出来上がり。

なめこ汁がなかなかうまくいった。
やはり、赤味噌が入った方がうまい。
いや、合っているように感じるだけ、なのかもしれぬが。

親子の方。
これも、上々。

つゆが気持ち多めではあったが、
丼物には、多少多めでもなんら問題はない。
多すぎてもいけないが、むしろ、つゆだくで、
よかったかもしれぬ。

満足、満足。





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