断腸亭料理日記2017
引き続き、浅草田原町のスペイン料理アメッツ。
ここ、シェフとおねえさんと、バイト君の3人で
やっているよう。
バイト君は外。
おねえさん(マダム?)はカウンターの中と、
シェフのサポート(?)。
狭い店だが、カウンターに1組男女、
店の入り口側のテーブルに、女性2人組、
後から一番奥のテーブルにおじさん3人と
マダム1人の多国籍な4人組。
奥の4人は、おまかせでコースのようなものを
頼んでいたらしく、どうもこのメンバーが揃ったら、
てん手古舞、ほぼ、一杯一杯の感じ。
もう一人、助手がいればよさそう。
海老のアヒージョがきた。
ふつふつと煮えたぎっている。
ここなん年かはまって自作して食べているが、
外でプロのものを食べるのは久しぶりである。
海老の数は選べたのだが、メニュー通りの3匹入り。
この海老は、ブラックタイガーあたりであろうか。
そこそこの大きさ。
殻まで食べられますといっておねえさんがサーブしてくれた。
あ、パンがない。
アヒージョとともに出てくるかと待っていたのだが。
ここは頼まないと、パンは出てこないようである。
(と、いうことは別料金であったか。)
アヒージョにパンは必要不可欠。
パンのないアヒージョなど考えられないではないか。
パンを、半分、頼む。
(なにが半分なのか、よくわからぬが。)
さて、味。
海老から食べ始めたが、かなり塩辛い。
完全に酒の肴の味付けである。
酒がすすむこと夥(おびただ)しい。
ただ、ここで書いているように自作をよくするが
ここまで塩辛くはしていなかった。
ちょっと参考になる。
また、きのこが入っていない。
これも、なるほど。
きのこが入らなくとも、アヒージョは成立する
ということである。(知ってはいたが。)
油はオリーブオイルのはずだが、この味も
自作するものと少し感じが違う。
なんであろうか。
ちょっともったりしているような。
こういうものであろうか。
さて、次。
白いかのソテーバスク風。
これは、これは、うまい。
うまいが、これも塩辛い。
塩辛いのが、うまい、というのもあろう。
しょうゆはまさか入っていないと思うのだが、
まさに、しょうゆをたらした、イカ焼きの味。
ソースに少し、トマトが入っているか。
いかは、かなり柔らかい。
やりいかかと思えるような柔らかさである。
白いかというのは、魚やにはまず並ばない。
私も鮨や以外では食べたことがないかもしれぬ。
これは火を通しても、驚くほど柔らかい。
種としての名前はケンサキイカ。
主に西日本で獲れる。(山口、萩あたりがよく聞くか。)
やりいかに種としても近く、それで柔らかいのかもしれぬ。
ここで、もう一品と思い立った。
最初におねえさんがおすすめといっていた、鹿。
最初に頼んでおくべきだった。
きっと段取りがくるったのであろう、多少時間がかることに。
パンを追加で半分ではなく1つ(?)頼んで、
いかのソースやアヒージョでつまんで待った。
お待たせして、申し訳ないと運ばれた、
鹿のソテー。
これは、すごい。
付け合わせもソースもなにもなく、肉のみ。
そして味付けは完全に塩胡椒のみ。
実に潔(いさぎよ)いではないか。
これ以上でも以下でもありません、といっている
のか。
特に聞かれなかったが、
これはレアなのか、ミディアムなのか。※
ナイフを入れてみると、かなり、柔らかい。
くさみなどもまったくない。
鹿の肉をじっくり味わった記憶はほとんどないので
適切なコメントなのかどうかわからぬ。
赤身であるが牛とも違うもっときめの細かいというのか
なめらかな口あたりで、筋っぽさもまったくない。
滋味のある味という表現が合っていようか。
たっぷりふられた黒胡椒とちょうどよい加減の塩味。
材料の鹿肉の質、下処理の優劣もあるのであろう、
そして、味付け、火の入れ方、シェフ渾身の一品。
なにか、最後にドカンと一発食らったような
衝撃の一皿といってよい。
最近、ステーキだったり、ローストビーフだったり
自分でどうしたら肉がうまく焼けるか、試行錯誤中だが、
こういう焼き方が100点満点、プロの技なのであろう。
(どうしたらこうなるのか、まるでわからぬが。)
ともあれ。
待った甲斐があったというものである。
ご馳走様でした。
会計は二人で飲み物込みで11,000円ほど。
この内、鹿が3,000円程度で最もお高く、それ以外は
リーズナブルといってよい。
全体でコースではないので、割安になる、ということ
なのであろう。
(ただ、パンを随分食べたので、かなりの腹一杯。)
よし、またこよう。
ここ、愉しみ、で、ある。
台東区西浅草1-1-12 藤田ビル1F
03-3841-3022
※最近、自分で肉の焼き方を研究しているが、
段々これもよくわからなくなっている。血がしたたっていると
レアのように思っていたが、見た目、このくらいでも焼いたすぐ後は
血というのかドリップが出てくる。また、この赤いところの色味も
薄ピンクから生の赤まで段階がある。どのへんがよいのか、うまいのか、
勘が働かないのである。
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