断腸亭料理日記2017
8月2日(水)夜
さて。
いよいよ、江戸味噌、で、ある。
今まで、江戸味噌、江戸味噌と書いてきたが、
正確には「江戸甘味噌」。
つまり、江戸味噌にもいくつか種類があって、
そのうちの「甘味噌」が最も一般的で「江戸甘味噌」。
通称「江戸甘」というらしい。
浅草に「万久」という老舗味噌やがあって、そこに売っていることは、
以前から知っていたのだが、日曜休みというのもあって、
ついつい忘れがちで買えていなかった。
それで、もうこうなったらと、通販で送料をかけて、
取り寄せしてしまった。
買ったのは[坂本商店]というところ。
(さらにこの店、本店は五反田であった。
歩いて買に行けた。)
ここから、昨日届いていた。
これ。
「江戸甘」。
冷蔵庫に入れておいたのを急に出したので、若干袋が結露しているが
色は真っ黒。
見た目はほぼ、八丁味噌と変らない。
今日は、これでぬたを作るつもりにしていたので、
帰り道、吉池でぬたの種を調達してきた。
ぜいたくに(?)、色々。
もんごういかの大きな下足、ボイルの青柳、
まぐろ中トロ、同じく赤身。
さらに、いつもは普通の長ねぎを使っているが、
わけぎを買ってきた。
切って、いつものように器にポットのお湯を入れ、
青い部分、白い部分と太さによって3種、3回に分け、
レンジで10秒、20秒それぞれに合わせて加熱。
氷水で急冷させて、ざるに取る。
水を切って、ペーパータオルで水気をふき取る。
さて。
味噌の方。
これは、辛子はなしで酢を合わせるだけにしてみた。
「江戸甘」というのは思っていたよりも堅い。
なにと比較してかといえば、白味噌(西京味噌)。
西京味噌は粘度とすればゆるめ。
今回買った「江戸甘」は、信州味噌(ハナマルキ)程度。
ちなみに、八丁味噌は堅めであるがそれよりは柔らかい。
そのまま舐めると、ちょっと甘い八丁味噌といった感じ。
内儀(かみ)さんになめさせると、
?!。
これ、そば味噌、じゃない、という。
私は気が付かなかったが、家にも冷蔵庫に常備してあるが、
なるほど、藪蕎麦などで出される、そば味噌の味噌の味、
かもしれぬ。
酢は、江戸甘が堅めなので、西京味噌で酢味噌を作るよりも
もう少し多くし、ゆるめる。
盛り付け。
見た目では、私がいつも作っている、西京味噌に
八丁味噌を合わせたものと、大きな違いがない。
食べてみる。
う〜〜〜ん。
味もあまり変らない、、ような。
まあ、うまいのだが。
びっくりするような味ではない。
まあ、こういうものなのか。
食べているうちに、内儀さんが、この前私が作った
赤白合わせのぬた用の味噌が冷蔵庫にあるというので、
出してきて、味を比べてみた。
結論。
比べて食べても、ほぼ違いわからない。
あ〜〜〜〜。
やっぱり、そうであったか。
赤味噌(八丁味噌)と白味噌(西京味噌)の合わせたものを
桜味噌などという。
江戸からの料亭[八百善]料理のレシピ本が拙亭にあるが、
これには江戸の味噌はこの赤白合わせの「桜味噌」を
使うと書いてあった。
(田楽やら、ふろふき大根、茄子の油味噌などなめ味噌系に
使っている。)
やっぱり、以前に江戸・東京で一般的であった、
江戸甘味噌は、八丁味噌と西京味噌の合わせで、
代用てきる。いやできてしまう。
むろん、合わせる手間はかかるが、江戸甘、西京、八丁と
三種類を揃えるよりは、合わせればよければ、
江戸甘は省かれる。料理やではそうであろう。
駒形[どぜう」ではどぜうの下煮をこの江戸甘でしている
というが、大量に使うのであれば、まあこれを使うということか。
(むろん、昔から同じ蔵の同じ味の味噌を使っているから、
という理由もあるだろう。)
信州味噌、仙台味噌などに比べて、米麹が多いので、
価格が高くなる。西京味噌なども同様だが
塩分が少ないので、味が変わりやすいといった、
保存上の問題もある。
この江戸甘で味噌汁を作ったらどんな味になるのか。
やってみようかしら。
江戸甘は江戸・東京でも比較的贅沢品であったという。
しかし、味噌がこれしかなかったのであれば、
庶民であっても、これでおみおつけを作っていたのでは
なかろうか。
私の、父、祖父母、そのまた祖父母、、、。
(私の先祖は大井町あたりの百姓であったので、
味はどんなものかわからぬが、自家製であったのかもしれぬ。)
どんな味噌汁を飲んでいたのか。
ここにも書いたが生き残っていた父の妹も昨年88歳で亡くなった。
もはや聞く人もいない、か。
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