断腸亭料理日記2016

五反田・立ち喰い鮨・都々井

11月15日(火)夜

さて、叔母の葬儀やらでバタバタ。
後始末はまだまだこれから、で、ある。

ともあれ、オフィスの帰り、
今日はなにを食べよう。

鮨にしようか。

久しぶりに、五反田駅前の立ち喰い[都々井]に
ちょいと、寄っていこうか。

今、立ち喰い鮨というと、チェーンのものがあるが、
あれは駄目である。
種はほぼ回っている鮨と同レベルであろう。

鮨も、立ち喰いそば同様、個人営業のところがよい。

それこそ、東京で鮨といえば発祥は立ち喰いであり、
昔はもっともっと、あったのであろう。
今はチェーンを除けば数えるほどだと思われる。

(個人経営の)立ち喰い鮨のなにがいいのか。

むろん、安いというのが真っ先に挙げられよう。
しかし、ただ安いのであれば、別段回転寿司でも
よいわけである。

私は地方以外は回転寿司には行かないことにしている。
(北陸だの、北海道、三陸、、地魚を使っている
地方の回転寿司は、うまい。もちろんこれらは除いて、
で、ある。)

先にも書いたが、回転寿司もチェーンだが、
種が違う。

どう違うのか。

むろん、そこそこ食べられる種もなくはない。
例えば、マグロ。
近海の生でなければ、どこで食べても冷凍もので
味に大きな差は生まれようがない。
また、光物。
これも本来安い種なので、冷凍ものなどなかろうし
回転寿司でも一定以上の味にはなるのであろう。

問題は、それ以外。
チェーンというのはどうしたって大量に仕入れて
セントラルキッチンのようなところで一気に下拵えして
いると思われる。
あるいは、そういうものを買ってくる。
例えば、回転寿司(に限らないが)によくある種で
えんがわというのがある。
普通鮨やで、えんがわといえば、むろん平目のえんがわである。
当然、高級ネタ。
しかし、回転寿司ではそんな高価なものが出てくるわけがない。
妙に脂だけ強くて、とても食べられたものではない。
北海道や、北洋で獲れる巨大な鰈、オヒョウやアブラガレイ
というもののエンガワが冷凍されて入ってきているという。

もはや日本の回転寿司は世界の水産産業が支えている
といってよいのであろう。

と、まあ、いかに安くとも、回転寿司チェーンは
私は行かない。

では、普通の鮨やに行けばよいのだが、
値段の問題ではなく、普通の鮨やではそこそこ面倒
ではないか。

予約もしなければいけないし、
ちょいと寄って、つまんで、というわけにはいかない。

気合を入れずに、軽く鮨が食いたいという気分のことがある
ではないか。
また、本来そういうものでもあったわけである。

と、いうことで、五反田駅前の[都々井]。

7時前、店に入る。

ここは鋭角の頂点を持った不思議なカウンター。
(まあ、店が三角形だからなのだが。)

瓶ビールをもらって、

まぐろ、鰯、鯵。


浅草橋の[美家古鮨]も同様だが、カウンターに
手を洗うための水道の蛇口がある。
ここはさほど古くは見えないが、そういう意味では
東京の古い立ち喰い鮨やの形をきちんと踏襲している
といってよろしかろう。

やはり、鰯や鯵などは問題なくうまい。

鰹。

季節的には脂のある戻り鰹のはずだが、脂はない。
初鰹とも違うのであろうが、さっぱりとして、うまい。

もう一回、光物。

小肌に秋刀魚。

秋刀魚はばかうま。

小肌は、好みもあろうが、私はもう一つ。
自家製であろうか、〆方が浅い。

シマアジ。

養殖ものではあろう。
シマアジというのは、養殖と天然を見分けるのがかなり
難しい。まあ、逆にいえば、養殖でも十分食える、
のである。

いか。

スルメイカ、というのも品書きにはあったのだが、
ただ、いか、と、いって出てきたもの。

これは、そのスルメイカにしておけばよかったかもしれぬ。

冷凍もの?、なにか薬品のような匂いが微かにした。

刺身用のいかも冷凍で出回っている。
モロッコあたりのコウイカの仲間を先のエンガワ同様、
産業として大量に加工しているもの、なのであろう。
ここにも、こういう種があるということは、
覚えておかねばならない。
やはり、よほど、注意が必要ということである。

ともあれ。

腹一杯。

勘定は2000円ちょい。

充分である。

御馳走様でした。




03-3440-1743
品川区東五反田1-26-2





断腸亭料理日記トップ | 2004リスト1 | 2004リスト2 | 2004リスト3 | 2004リスト4 |2004 リスト5 |

2004 リスト6 |2004 リスト7 | 2004 リスト8 | 2004 リスト9 |2004 リスト10 |

2004 リスト11 | 2004 リスト12 |2005 リスト13 |2005 リスト14 | 2005 リスト15

2005 リスト16 | 2005 リスト17 |2005 リスト18 | 2005 リスト19 | 2005 リスト20 |

2005 リスト21 | 2006 1月 | 2006 2月| 2006 3月 | 2006 4月| 2006 5月| 2006 6月

2006 7月 | 2006 8月 | 2006 9月 | 2006 10月 | 2006 11月 | 2006 12月

2007 1月 | 2007 2月 | 2007 3月 | 2007 4月 | 2007 5月 | 2007 6月 | 2007 7月 |

2007 8月 | 2007 9月 | 2007 10月 | 2007 11月 | 2007 12月 | 2008 1月 | 2008 2月

2008 3月 | 2008 4月 | 2008 5月 | 2008 6月 | 2008 7月 | 2008 8月 | 2008 9月

2008 10月 | 2008 11月 | 2008 12月 | 2009 1月 | 2009 2月 | 2009 3月 | 2009 4月 |

2009 5月 | 2009 6月 | 2009 7月 | 2009 8月 | 2009 9月 | 2009 10月 | 2009 11月 | 2009 12月 |

2010 1月 | 2010 2月 | 2010 3月 | 2010 4月 | 2010 5月 | 2010 6月 | 2010 7月 |

2010 8月 | 2010 9月 | 2010 10月 | 2010 11月 | 2011 12月 | 2011 1月 | 2011 2月 |

2011 3月 | 2011 4月 | 2011 5月 | 2011 6月 | 2011 7月 | 2011 8月 | 2011 9月 |

2011 10月 | 2011 11月 | 2011 12月 | 2012 1月 | 2012 2月 | 2012 3月 | 2012 4月 |

2012 5月 | 2012 6月 | 2012 7月 | 2012 8月 | 2012 9月 | 2012 10月 | 2012 11月 |

2012 12月 | 2013 1月 | 2013 2月 | 2013 3月 | 2013 4月 | 2013 5月 | 2013 6月 |

2013 7月 | 2013 8月 | 2013 9月 | 2013 10月 | 2013 11月 | 2013 12月 | 2014 1月

2014 2月 | 2014 3月| 2014 4月| 2014 5月| 2014 6月| 2014 7月 | 2014 8月 | 2014 9月 |

2014 10月 | 2014 11月 | 2014 12月 | 2015 1月 |2015 2月 | 2015 3月 | 2015 4月 |

2015 5月 | 2015 6月 | 2015 7月 | 2015 8月 | 2015 9月 | 2015 10月 | 2015 11月 |

2015 12月 | 2016 1月 | 2016 2月 | 2016 3月 | 2016 4月 | 2016 5月 | 2016 6月 |

2016 7月 | 2016 8月 | 2016 9月 | 2016 10月 | 2016 11月 |


BACK | NEXT |

(C)DANCHOUTEI 2016