断腸亭料理日記2016
断腸亭の連休ラーメン、三回目。
5/5はこれ。
豚骨発祥久留米ラーメン[くるめや]浅草店
03-5828-0055
台東区浅草2-11-7 森口ビル1F
昨日書いたように、今回まわった店は、
基本、界隈ランキングの上位に入っている店なのであるが、
ここは例外。
東京で久留米ラーメンを謳っているところはそう多くはないのでは
なかろうか。
九州のとんこつラーメンといえば、博多の長浜が最も有名である。
東京であれば築地にある[ふくちゃん]
あるいは秋葉原の[じゃんがら]などが老舗として思い浮かぶ。
その他[一蘭]などチェーン、自営取り混ぜて新手も多数ある。
あるいは、新宿にある熊本ラーメンの[桂花]も
私には高校時代、30年以上前から馴染んだ味である。
[桂花]が熊本を代表しているかどうかはわからぬが、
博多よりもかなり濃いとんこつである。
久留米というのは、その中間?。
博多とは同じ福岡県であるが、より濃く、長浜とは
“違う”と、ところの人は力説する。
やはり一度は食べておかねば、という私の課題でもあった。
[くるめや]は浅草で、国際通り沿い。
ROXから少し北。
開店は2014年で、むろん私は知っていた。
気になっていたのだが、前を通ってもお客の入りが
今一つのようなのが見えて、入らずにいたのである。
11時開店。11時少しすぎていたが、一番乗りであった。
誘惑に負けて、半焼飯(やきめし)セット。
ラーメンはノーマルなもの。(並)
事前情報では、ゆで玉子サービスとのことで
あったがやめている様子。
久留米ではこのサービスが普通とのこと。
麺は、細めのストレートで博多同様だが、多少太め。
スープは、なるほど、博多よりは濃い。
ギトギト、濃厚まではいかないが、ちょうどよい感じではなかろうか。
うまいラーメンである。
のっているチェーシューはやっぱり九州式で焦げ目入り。
焼飯はノーマル。
福神漬けがのっているのは、久留米式か。
[くるめや]どうなのであろうか。
昨日の喜多方も同様だが、東京カスタマイズではなく、
ご当地を全面に出している店である。
これがあたるのか、あたらないのか。
九州久留米ご当地全面のみでは、東京ではやはりインパクトに欠ける、
ということになってしまう。
昨日の喜多方式に、じわじわ、地道に(?)がよいのか。
さて、次。
5/6。
志奈そば[田なか Second]
千代田区外神田3-4-1
03-3258-5282
またまたニューウェーブ系といったらよいのか。
外神田というのは、秋葉原。
もっというと明神下、さらに去年私が書いてその後閉店していた
「福の神食堂」の跡。
けっこううまかった「福の神食堂」が閉店していたのにも
驚いているのだが、そこにまた話題の店が入っていた。
大塚にある[志奈そば
田なか]。
今度はイタリアン出身の店主。
鯵の煮干しを使ったものが看板とのこと。
その二軒目で「アンチョビ塩混ぜそば」というのが話題。
全部のせ的な、チャーシューアンチョビ塩まぜそば、1050円也。
味玉、チャーシュー、メンマ、海苔、ベビーリーフなど、コテ盛。
いかにもニューウェーブなイタリアン系といった感じであろう。
レモンを絞って混ぜる。
麺は平打ちで「タリアテッレ程度の太さ」と書かれている。
かなりのモチモチ。北海道産の地粉とイタリア産セモリナをブレンド
したもの、とも。
味は。
和え種というのか、ソースはアンチョビらしさは抑えていると書いてあるが、
なるほどそんな感じで、おとなしめな印象。
こなれているといってもよいのかもしれない。
まとまっており、混ぜそば、あるいは汁なし麺として、
十分にうまい。
ただ、これだけ取り出して評価してしまうと、ラーメンである必要があるのか、
という気がしてくる。
ラーメンやにあるのでラーメンだが
イタリアンにあればラーメンに近いパスタである。
むろん、この店は先に書いたように、鯵煮干しを使った
しょうゆ味の汁ラーメンなどもあり、あくまで、バリエーションの一つ
ということではある。
そういう意味で、これだけではなく、その煮干しだしラーメンも
食べてみなければなるまい。
この店は、ダシにしても素材を厳選し、とがらず、自然体で
うまいものを作ろうとしているよう。
ラーメンやでこういうことを標榜しているところは
皆無ではないが、まあ、そう多くはなかろう。
イタリアン出身らしい姿勢なのかもしれない。
今までも、和食、フレンチなど他分野の料理人が
ラーメンやを開いたという例はある。
和食でいえば、天神下[大喜]、フレンチの[ちゃぶ屋]など
新しい風を東京のラーメンシーンに吹き込んできている。
([ちゃぶ屋]は12年、倒産、その後今は[もりずみキッチン](後楽園)
などに復活しているよう。)
初日の[稲荷屋]がフレンチ、ここがイタリアン。
むろん、その料理人の才能次第であろうが、たのしみである。
つづく
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