断腸亭料理日記2016
引き続き、日曜日。
桜鍋の[みの家]。
ビールをもらい、鍋二人前と、肉刺しなどを頼んだ。
お客の入りは、日曜日の夕方、半分くらいといったところ。
少なすぎもせず、多すぎもせず、よい感じであろう。
刺身から。
桜肉といえば、熊本が有名である。
今回の震災で、桜肉工場も被災してストップしていると
ニュースで聞いた。
ここのものは、熊本ではなく、なんでも青森とカナダで
問題はないようである。
(熊本の皆さんの復興を心から祈ります。)
上の写真、色が今一つである。
実際にはもっと鮮やかな赤。
これがまた、食欲をそそる。
しょうがじょうゆ。
馬肉というのは牛などとくらべても
淡泊といってよいのだと思うが、うまいもんである。
いくらでも食べられてしまう。
だが、牛刺し、ユッケの類はそれまでの黙認が厳格化され、
あまり見かけなくなってしまった。
牛は、生食用の管理がされていない。
馬だけは、こうして生食ができるような管理がされている。
この違いは、なんであろうか。
馬ができるのであれば、牛だってできそうなものであるが。
鍋がきた。
肉と、脂、そして黒い味噌だれ。
店名と、桜に“なべ”のこの家の印(しるし)入りの
銅製で厚みのある鍋。使い込まれてよい風格、である。
こういうところもこの店の重みというのであろうか、
そんなものを感じさせる。
こちらが、ザク。
もどした麩、白滝、長ねぎ。
こういう鍋の副菜を、ザクという。
板前用語、符丁といってもよいか。
由来は、ザクザク切ってあるから?。
ここのザクにはこの他に、えのきだけ、豆腐もある。
お姐さんが点火をしてくれる。
味噌を溶いて煮てくださぁ〜〜い。
はい、はぁ〜い。
全国的に桜鍋は、味噌なのかはわからぬが、
東京は伝統的にこれである。
この家は八丁味噌と、江戸味噌をあわせている、とのこと。
八丁味噌はいわずと知れた、三河岡崎の豆味噌であるが
江戸味噌というのはあまり知られてはいない。
見た目は八丁味噌のように真っ黒だが、甘い味噌。
ちょうど八丁味噌と西京味噌を合わせたような味という。
他では駒形[どぜう]のどぜうの下拵えに使っている。
(余談だが、あそこの丸鍋を食べたことがある方は
お分かりになるのではなかろうか。
しょうゆの濃い、割り下にねぎを大量にのせて煮るが
煮る前のどぜうの味である。
強くはないが、ちょっと西京味噌のような味と香りがしている。
江戸味噌で下煮してあると思われる。)
江戸味噌というくらいで、江戸では定番であったようだが
関東大震災後、仙台や信州味噌が台頭し、
戦後には大幅に減少して今や風前の灯。
だが、今でもこうしてわずかではあるが作られ、老舗などで
使われている。(私自身、入手して使ってみるのが
課題になっているのだが、なかなか実現していない。
浅草花川戸の[万九]という味噌店で買えるようである。)
ともあれ。
馬はすぐに煮えてくる。
硬くなる前に、食べねば。
溶き玉子にくぐらせて、食べる。
ふむふむ、この味噌の塩梅が絶妙。
ばかうま、で、ある。
毎度書いているが、白滝。
この前、人形町[玉ひで]の軍鶏鍋に入っていたもの。
細くてうまいのだが、拙亭近所の[大原本店]のものでは
と思っているのだが。
下町の老舗で比較的よく見るように思うのである。
これはどうであろうか。
ちょっと太い。まあ、普通の太さ。
違うのかもしれぬ。
ねぎは、千住ねぎ。
おそらく、千寿ねぎと名乗っている北千住のねぎ問屋のもの
で、あろう。
やっぱりこの、味噌のたれがうまいので、麩もうまい。
あらかた食べ終わり、内儀(かみ)さんはご飯をもらいたい
と言い出した。
残った味噌のたれを、飯にかけて、残った溶き玉子もかけて、、、
これはもう、まずいはずがない。
だがだが、この年になって、炭水化物ばかり食べるのは
やめた方がよい。
引き留めて、勘定。
ここは、座敷で。
代済の木札。
下足札とこれを持って、立つ。
うまかった、うまかった。
ご馳走様でした。
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