断腸亭料理日記2016
5月28日(土)第一食
金曜日、オフィスからの帰り道、
例によって、御徒町の吉池に寄って、魚をみてみた。
特段の目当てがなくとも、魚やというのは
のぞいてみたくなるもの、で、ある。
まあ、おそらく同じような人は
そう多くはあるまい。
よい魚やであれば、毎日あるものが違う。
その日入ったよくて安いものをみたくなる。
それだけ私は魚介類が好きであるし、また、
吉池はおそらく、東京でも有数の魚やといって
よいと思う。(必ずしも、安いわけではないが。)
思い出してみても、成人してから今まで住んだ町でも
いつもよい魚やを捜して、店を決めていた。
就職して最初に住んだのは京王線の明大前で
あのあたりには目ぼしい商店街もなく、新宿伊勢丹の
魚売り場であった。
その後、東京東部、下町、葛飾の四ツ木に引越した。
ここでは、立石に小さいがよい魚やがあったし、また、
錦糸町の[魚虎]、あるいは小岩の駅ビルに入っていた
ところも土日毎に車で出掛けたものである。
以前は商店街には一つは魚やがあったものだが
多くは商店街そのものがなくなり、町の魚やがなくなった。
それでも山手はともかく、下町の大きな駅には、
ちゃんとした魚やがあって魚好きの下町人の
ニーズに応えてくれている。
よい魚やというのは、スーパーの魚売り場に対して
いっているわけである。
季節に関係なく、決まって売れる魚だけを
決まって並べているのがスーパーの魚売り場。
これに対して、その時獲れている安くてよい魚を
並べているのがよい魚や、で、ある。
ともあれ。
この日買ったのは、銀鱈の切り落とし。
半額。
鯛の切り落とし。これも半額。
銀鱈の方は北米からの冷凍輸入品であろうが、ご存知のように
ちゃんとした切り身であると、一切れ600円程度はしている。
その切り身にした切り落としで、さらにその半額で200円ほど。
鯛の切り落としは、アラではなく、刺身のサクにした残りで
細長い棒状のもの。養殖ものの加熱用だが冷凍ではない。
これも半額の200円。
実はこの時、塩焼の焼魚が食べたかった。
(この二品はどちらも養殖もので、よい魚やの品揃えには入らないもの
かもしれぬが。)
腹が減っていたのか、もう一つ。
これは、半額のものではなく、芝海老、有明海産。
もう少し安いこともあるのだが、1パック300円ほどで
2パック購入。
結局、昨夜は鯛の切り落としだけ塩焼にして食べた。
内儀(かみ)さんも食べたがそれでも、随分と量があった。
(写真は撮り忘れた。まあ写真に撮るほどでもないが。)
そんなことで、銀鱈と芝海老は土曜の朝になったわけである。
いつもやっていることなので、料理という程の事もない。
銀鱈から。薬缶に熱湯をわかし、湯引き。
冷水で崩さぬように、洗う。
冷凍輸入ものなので、きれいに処理されているが、
まあ、やらぬよりはやった方がよいか。
煮るのはフライパン。
切れ端で量が多く、全部に煮汁がかぶるためには
広いものがよいだろう。
つゆはほんの少しの水に、酒、しょうゆ、砂糖。
かなり濃いめ。
煮立ったら、アルミホイルで落としぶた。
煮る時間は8分を限度とする。
芝海老は水洗い。
油を熱して、高温で揚げるだけ。
タイマーで時間を正確に計って火を止める。
煮魚は、濃い煮汁で短時間。
以前は、長く煮て味を染み込ませるというやり方であったが、
これだと魚の身からコラーゲンが煮汁にでてしまい、
パサパサ。それで味は染みないが短時間。ただし、その分煮汁を濃くする。
芝海老は、塩をふって、白い紙を敷いて、のせる。
銀鱈も盛り付け。
ビールを開けて、食べる。
今日は、ちょっと高価であったが、
芝海老の旬はいつであろうか。
調べたら、11月から3月ということで、冬。
もう時期外れであったか。
だが、味は別段変わったところはなかった。
うまい。
銀鱈。
銀鱈も今さら説明の必要はなかろう。
北米で産業といってもよいほど組織的に養殖されているもので、
そもそも味はほぼ一定なのであろう。
銀鱈といえば、ベトベトに脂があるが、切り落としで
尻尾に近いところなので、ベトベト、というほどではないが
まあ、御の字。
こんなものでも二品、朝からご機嫌である。
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