断腸亭料理日記2016
6月29日(水)昼
今週は、ビッグサイト。
火曜日が準備で、水、木、金の三日間。
初日昼、ビッグサイトに入っている
日比谷[松本楼]へ。
ビッグサイトの昼飯というと、有明第一ホテルに
入っていたイタリアンの[アルポルト]にも
よくいっていたのだがこちらは最近閉店。
[アルポルト]はビッグサイトの中にも入っている
のだが、ここはかなりの高価格設定。
と、いうことで日比谷[松本楼]。
[松本楼]はご存知の日比谷公園内に
本店がある老舗レストラン、洋食や。
創業は明治36年(1903年)。
今年で113年。
日比谷公園というのは今は東京都営。
その前は東京市営。
公営施設に有名レストランが入っている
というのはなんとなく違和感もある。
いや、開園当時は有名ではなかったのかもしれぬ。
ただ、その後、夏目漱石、高村光太郎などの
文化人も訪れ、当時最先端の場所となった歴史がある。
同じような例として上野公園の[精養軒]を
思い出す。
こちらの方は時代はさかのぼり、
明治5年創業。
上野[精養軒]は文明開化の象徴ともいえる
鹿鳴館以前、外国公使達を招待して舞踏会などを
行なう施設として、民間のものではあるが、
三条実美、岩倉具視などいわば明治政府肝入り、
国策で作られている。
もう一つ、明治初期の東京の公園といえば、
上野に並んで芝、芝公園を忘れてはいけない。
上野は将軍家の菩提寺でもあり、幕府と密接な関係にあった
東叡山寛永寺であり、もう一つの菩提寺であったのが芝増上寺。
この2寺は新政府によってたくさんあった塔頭、支院を
含めた寺域は大幅に縮小されて公園にされたわけである。
(もう一か所、浅草浅草寺も同時期に公園指定されたが
こちらは間もなく解除されている。)
芝公園にも今は忘れられているが、明治14年に
[紅葉館]という高級料亭が作られた。
尾崎紅葉の紅葉はここから取ったともいわれ、
やはり政治家、文化人のサロンであったという。
創業者の一人は読売新聞の初代社長。
[紅葉館]はその後東京大空襲で焼失し、
その跡地がなんと東京タワー。
日比谷[松本楼]の創業者小坂梅吉氏も、
新橋演舞場専務なども務めた実業家で、
その後政界に進出、衆議院議員、貴族院議員に
なっている。
明治初期の上野、芝はいわば国営で、
日比谷公園は東京市営と小粒にはなっているが
公営の公園と高級料理店、その経営者の名士。
これらが、ワンセットであったのがわかる。
また、そこが政界、文化人のサロンというのも
共通している。
いかにも明治らしいことだったのであろう。
さて。
ビッグサイトの日比谷[松本楼]。
セットのランチメニューもなかなか
ちゃんとした洋食でうまいのだが、
今日は、そうやっぱり、カツカレー。
創業の頃から[松本楼]はカレーが看板で
毎年9月に10円チャリティーカレーという
イベントも行っている。
このカレーはやっぱり濃いめの味。
カレーもさることながら、ここは
フライものがうまい。
かなりしっかりした衣で、サックリ、
軽い揚げ上がり。
ロースだが脂身は少ない。
これはこれで、うまいカツカレー、で、ある。
うまかった。
ご馳走様でした。
さあ、午後もがんばろうか。
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