断腸亭料理日記2016
7月6日(火)夜
七月に入ったところであるが、
もう既に発表前に、関東地方は梅雨明けさながら、
暑い日が続いている。
(そうはいっても、今日は妙に涼しいのだが。)
なんとなく、数日前から、うなぎモード。
やっぱり夏はうなぎだよね。
土用の丑の日が近づく前に先に食べてしまおう。
今日は一日つくば、でTXで新御徒町まで
戻ってきた。
もちろんご近所、小島町の[やしま]。
ここのご主人とはご近所ということもあって、旧知。
以前には、東京の蒲焼商組合の、浅草浅草寺で
行われている、放生会を見せていただいたりも
している。
今年の土用の丑の日は、7月30日の土曜のようである。
土用の丑の日というのはなにか。
丑の日はお分かりになろう。
すべての日には十二支が年と同じように
割り当てられている。
その丑の日。
では、土用とはなにか。
今、土用というのは夏の土用をいうことが多い。
土用干しなんという言葉もある。
梅干しなどで真夏の暑い頃に天日に干すが、
これが土用干し。
もともとは、陰陽五行思想からというが、
暦の世界で、節分を入れてそれ以前の18日間を土用という。
つまり立秋前の18日間が土用。
今、節分と書いたが、これは四つの季節、春、夏、秋、冬の
立春、立夏、立秋、立冬の前の日をすべて節分というわけだが
土用というのは、夏だけでなく、立春、立夏、立冬の前の
18日間も土用ということになる。
暦の考え方とすれば、四季の中で変り目である
立春、立夏、立秋、立冬の前はちょっと特別な期間なので、
気を付けましょう的なこと、といってよいのだろう。
(ざっくりいえば。)
ともあれ。
土用の丑の日。
これもご存知の方は多かろう。
土用の丑の日に鰻を食べるというのは、
バレンタインデーのように、マーケティングとして
仕組まれたこと。
仕組んだのはもちろん、うなぎやさんだが、考えたのは
かの平賀源内といわれている。
江戸の頃、真夏は料理やは、休むところも多く、
あまりお客も入らない。
それで、お客を呼ぶために、夏で身体が弱っているので
うなぎを食べて元気をつけよう →
土用の丑の日にはうなぎを食べよう、という
キャッチコピーを考えた、というのである。
(これには諸説あるよう。)
実際のところ、うなぎに脂がのるのは冬を前にした
晩秋で、この頃が本当のうなぎの旬である。
毎度の与太話が長くなってしまったが、
やっぱり、夏にはうなぎが食べたくなるのは
人情、というものである。
今年も高騰が続いているというが、どんなものか。
今日はちょっと早い6時前、暖簾を分けて店に入る。
さすがに季節、にぎわっている。
お姐さんがご予約ですか、と聞く。
予約ではないがよいか、と聞くと、よさそう。
板場の暖簾に首を突っ込んで、ご主人に挨拶。
テーブル席に座る。
ビールにうな重の上。
店内にやはり、貼り紙がしてあるが、多少上がっているよう。
つまみに、奴を頼む。
ビールとお馴染みの、味噌豆。
毎度書いているが、うなぎもなることながら、
もうこの店の看板といってようだろう。
江戸落語(小噺・こばなし)にもなっている。
大豆を茹でただけの昔からの惣菜である。
からしじょうゆで食べる。
これが箸がとまらなくなるほど、うまい、のである。
奴。
木綿のよう。
なかなかうまい豆腐である。
ビールを呑みながら、ゆっくり待つ。
うなぎやはこの待つ時間も値打ちで、ある。
さて、きた。
お重のふたを取って、山椒をふる。
この時がたまらない。
生きていて、東京で生まれ育ってよかった、と、
まったく大袈裟でなく、思う瞬間である。
箸を入れる。
さっぱりと辛口、江戸前の味付け。
幸せ、で、ある。
食べ終わり、濃くて熱いお茶が出る。
これがまた、うまい。
ご馳走様でした。
おいしかったです。
ご主人と一言二言、話をして、出る。
やっぱりたまには[やしま]にこなければ。
03-3851-2108
台東区小島2-18-19
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