断腸亭料理日記2015

路麺・神田和泉町二葉、

小島町アヅマ

11月4日(水)昼、5日(木)朝

岩本町から、秋葉原あたりで昼飯。

時間もさほどないので、、、どこがよかろうか。

思い出したのが、久しぶりに路麺[二葉]

以前には随分とこの“路麺”に凝ったものである。

“路麺”というのはブランド物の店舗で使う、路面店
(百貨店などのテナントで入っているものではなく、
独立して道路に面してある、という意味であろうか。)

をもじって、道路に面してある麺。
主として、富士そばなどのチェーンではなく、個人営業の
立ち食いそば店のことを指している。

チェーンの立ち喰そばも最近はうまいところも出ているが
個人営業の店は、むろんのこと営業努力をしており、
それぞれ様々な工夫をし、普通の蕎麦や顔負けのところも
少なくない。

意外に皆さんご存知でないかもしれぬが、
東京の特に下町、千代田区、中央区、品川区、
台東区などには、まだまだ数多く存在している。

起源はよくわからぬが、今ある店は古くても戦後。

特にこの[二葉]はその草分けという。

場所はJRの秋葉原駅東口から昭和通りを渡り、
そのまま北上、凸版印刷と三井記念病院に入る通りに
曲がる。入って、凸版印刷の手前、左側。

路麺にしては、小ぎれいな外観。

ドアを開けて入る。
昼時で、ほぼ一杯。

あいている隙間を見つけて、カウンターに立つ。

立ち喰そば、特に“路麺”はどこも基本、かなりの種類の
天ぷらを用意している。
なぜだかこれが決まりになっている。

チェーンだと天ぷらといえば玉ねぎなどの野菜に
チョボチョボと桜海老が見えるものだが、
かき揚げだけでも様々なものがある。

ここは、珍しいものがあり、浅蜊のかき揚げ。
これを頼む。
ここでは人気であろう。
昔からある。

人が頼んでいるのが聞こえて気が付いたが、青菜。
前からあったろうか。
青菜の天ぷらではなく、茹でた青菜である。

丸い型に入れて揚げた感じのちょっと堅めののかき揚げ。

つゆでふやけるように、一度ひっくり返しておく。

浅蜊は、ボイルしたものであろう。

浅蜊以外に、ねぎも入っている。

このねぎがまた、うまい。

つゆは、ノーマルな濃さであろう
と、いうことは、濃い下町のつゆからすると、
薄い方。私などにはそう感じられてしまう。

店主、店長らしき男性一人に、アジア系と思われる
外国人の女性3〜4人、客の注文を受けて、蕎麦を湯がき、
天ぷらをのせて、大忙しで出している。

つゆもあらかた飲み干し、ご馳走様でした〜〜。


[二葉]
千代田区神田和泉町1-4-6 西川ビル1F


さて。

せっかくなので、もう一軒、これは今朝。
元浅草の拙亭至近の“路麺”。

清洲橋通りと春日通りの交差点の南東角である。
[アヅ(ズ)マ]という。

ごく近所なので、一週間に一回というの大袈裟だが、
かなりの頻度で今も朝、寄っている。

ここも天ぷらの数は多い。

私は食べないが、ご飯もあって、カレー、
天丼なども作ってくれる。

ただ、天ぷらが揚げたてであるとか[二葉]のように
珍しいものがあるとか、麺が手打ちだとか、とがった特徴は、
ない。

多くの路麺と同様で、ゆで麺で、天ぷらは揚げ冷まし。

私はほかなりの確率で、ここでは春菊天。

特徴はこのつゆ、であろう。

かなりしょうゆが強い。

例えば雷門の[並木藪]であれば同じ濃くても
出汁感も強いと、いえるかもしれぬが、
ここのは、しょうゆが、強い。

だが、私には、これがよい。
ご近所の慣れ親しんだ味。

さて。

どうなのであろう。
いずれ、こういう[路麺]というのはなくなって
しまうのであろうか。

[アヅマ]でいえば、対角に牛丼チェーンがあるし。

多くは早朝から昼、あるいは夕方まで。

薄利ではあろうし、、。

ただ、やっぱり特に男であろうが、こういう
立ち喰そばは必要だと思うのである。

なにしろ楽しいし、愉しい。
チェーンにはないそれぞれ個性があって、
バリエーションもある。

早い、安い、うまい。
そして愉しい路麺、なくなってほしくないと、
心から思う。

 

 

[アヅマ]
台東区小島2-20-6

 




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