断腸亭料理日記2015
3月21日(土)
さて。
出張などあり慌ただしい一週間であったが、
今日は、北海道から出てきている内儀(かみ)さんのお母さんに
付き合って歌舞伎見物。
歌舞伎座の今月は昼夜で「菅原伝授手習鑑
(すがわらでんじゅてならいかがみ)」の通し。
通しと聞けば、やはり、昼夜通しで観なければ
いけなかろうと、内儀さんとお母さんは昼だけだが、
私は通しで観ることにした。
「菅原伝授」は車引き、寺子屋が有名で、この二幕は
なん回か観ているが、やはり作品の全体像がわかる
通しはトウシロウの私などは観ておかなければいけなかろう。
着物を着て10時すぎに出る。
稲荷町から銀座線に乗って銀座まで。
やっと着物もコートも襟巻もなしでよくなった。
いつものお召の着流しに羽織。
天気もよくちょうどよい。
歌舞伎座前、晴海通りをはさんだ正面のビルにある
木挽町[辨松]で弁当を買い、歌舞伎座地下でお義母さんと
落ち合い、劇場に入る。
昼の席はなかなか混んでいて、取れたのは
一階でも花道の下手(向かって左)側で、桟敷前の端っこ。
演目と配役を写しておく。
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昼の部
通し狂言 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
序 幕 加茂堤(かもづつみ)
桜丸 菊之助
八重 梅 枝
斎世親王 萬太郎
苅屋姫 壱太郎
三善清行 亀 寿
二幕目 筆法伝授(ひっぽうでんじゅ)
菅丞相 仁左衛門
武部源蔵 染五郎
梅王丸 愛之助
戸浪 梅 枝
左中弁希世 橘太郎
腰元勝野 宗之助
三善清行 亀 寿
荒島主税 亀三郎
局水無瀬 家 橘
園生の前 魁 春
三幕目 道明寺(どうみょうじ)
菅丞相 仁左衛門
立田の前 芝 雀
判官代輝国 菊之助
奴宅内 愛之助
苅屋姫 壱太郎
贋迎い弥藤次 松之助
宿禰太郎 彌十郎
土師兵衛 歌 六
覚寿 秀太郎
夜の部
通し狂言 菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
四幕目 車引(くるまびき)
梅王丸 愛之助
松王丸 染五郎
桜丸 菊之助
杉王丸 萬太郎
藤原時平公 彌十郎
五幕目 賀の祝(がのいわい)
桜丸 菊之助
松王丸 染五郎
梅王丸 愛之助
春 新 悟
八重 梅 枝
千代 孝太郎
白太夫 左團次
六幕目 寺子屋(てらこや)
寺入りよりいろは送りまで
松王丸 染五郎
武部源蔵 松 緑
戸浪 壱太郎
涎くり与太郎 廣太郎
菅秀才 左 近
下男三助 錦 吾
春藤玄蕃 亀 鶴
園生の前 高麗蔵
千代 孝太郎
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なん回か観ている人気の幕の「車引き」と「寺子屋」は夜の部。
11時から夜の9時近くまでの長丁場である。
座長格は、二幕目と三幕目で菅丞相(菅原道真)を
演じる片岡仁左衛門ということになるのであろうが、
どちらかといえば若手中心の花形歌舞伎に近い顔ぶれであろう。
菊之助、染五郎、それに、かの愛之助が出演(で)ている。
私は愛之助の歌舞伎を観るのは初めてである。
どんなものであろうか。
「菅原伝授手習鑑」は人形浄瑠璃が元で、歌舞伎でいうところの
丸本物(まるほんもの)。
かの「仮名手本忠臣蔵」「義経千本桜」と並んで人気の演目で、
上方(かみがた)で作られ、三作とも時代も作者も同じ。
不思議といえば不思議な芝居。時代は江戸中期の吉宗の晩期。
江戸が文字通り我が国の文化的にも中心になる
江戸後期文化文政時代の70〜80年前。
(作品のデータは以前に詳しく書いている。)
通しで観ると作品の全体像がわかる、のか。
柝(き)が入り、序幕の、加茂堤(かもづつみ)の幕があく。
鴨川の堤、向こうに川。
本舞台(ほんぶたい)中央に牛車が一台。
つづく。
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