断腸亭料理日記2015
3月8日(日)夜
先日、行けなかった課題のところ。
松が谷のふぐや[牧野]。
松が谷といってもあまり一般にはご存知でなかろう。
拙亭のある元浅草の浅草通りをはさんで北隣の町。
ここにはなん年か前に一度行ったことがある。
この近所、上野浅草界隈、ふぐやというのは
そこそこの数がある。
本来、ふぐは関西の方が本場で東京などでは
あまり馴染みがなかったのだと思うのだが、
やはり大正時代以降、関西の割烹料理が
進出してきた頃に、一緒に入ってきたのでは
なかろうか。
私もそうだが、親も含めて東京の人間なので
ふぐを食べる習慣はなかった。
(子供の食べるものでもなかろうが。)
ここ数年、近所にそれも、有名なところがいくつかあるので
冬には食べに行くようになっている。
松が谷の[牧野]というのはそうとうなご近所。
むろん歩いて行ける。
ここがなぜ課題なのかというと、
もともとふぐやとしても名が知られていと思うのだが、
今の話題はふぐではなく、毛蟹の鍋で有名になっている
というのである。
各種メディアにもよく登場しているようである。
もうそろそろ、ふぐも、鍋の季節も終わってしまうので
食べておかねば、というところである。
6時に予約し、内儀(かみ)さんとぶらぶら出かける。
拙亭の前を通る、左衛門橋通り。
これを真っ直ぐに北上して、浅草通りを渡ると、松が谷。
さらに北上して、合羽橋本通りを右に入ったところ。
赤い提灯が下がっている。
(手前に見えるのは、台東区のヘソという摩訶不思議な像。
カッパなのだが。台東区が建てている。標識には
ここが台東区の中心という。なんのことやら?。)
入って名前をいう。
当初、カウンターといわれたが、空いたとのことで
入って右側の掘りごたつ式のお膳のところ。
さすがに話題で、カウンターもふくめて座敷、さらに二階と、
満席のよう。ただ今大ブレイク中、といったところか。
毛蟹の鍋とふぐ刺し一人前は予約時に頼んであった。
ビールをもらって、お通し。
松前漬け。
ふぐ刺しもくる。
今シーズン私はふぐは二回目。
ふぐがを食べなければ、冬がきた気がしないとまでは
思わないが、やはりうまいもんである。
サイドオーダーで、煮凝り。
白子焼き。
ここはむろんふぐの鍋もあるが、ぽん酢しょうゆに漬けた
ふぐをお膳の上のコンロで焼く、焼きふぐが名物である。
といった、ところで、ブレイク中の毛蟹の鍋の登場。
つゆが、ちょっと甘めの白味噌にバターが入ったもの。
白味噌はいわゆる西京味噌であろうか。
そして、大根が入っているのである。
ふぐやなので、やっぱり熱いひれ酒。
これはもう、とまらなくなるので、注意、注意。
この白味噌の毛蟹鍋、確かにうまい。
蟹の足を食べながら、蟹みそも溶けだしたつゆの染みた
大根を食べる。
なにしろ、この白味噌にバターを溶かしたつゆが
まさに専売特許という感じである。
当初は、この店のまかないであったという。
なるほど、そんな感じか。
西京味噌のつゆというのは、東日本の人間には
ほとんど馴染みがないが、京都などでは、いわゆる味噌汁は
これなのであろう。
そこにバターを落とす。
例えば京料理の板前さんの間では、知られている味、
なのかもしれない。
ただ、この鍋、4〜5人前で量が多い。
蟹の足は二人で全部食べたのだが、大根が
とても食べきらぬ。
また、このつゆは、うまいのであるが、やはりくどいというのか、
やっぱり多少のミスマッチ感、もう少しいうと、
スナック菓子の味を思い出したのであるが、ちょっと強引な味?。
うまく表現できないのだが、ちょっと盛りすぎ?、
そんな感じなのである。
(あるいは創作が好きなラーメン店にありそう、かも。)
だがまあ、ご近所の有名店が繁盛するのは、
諸手をあげて喜ぶべきことである。
焼きふぐもそうだと思うが、
こちらは、新しい味を考えるのが好きな板さん、
なのかもしれぬ。
普通のふぐちり、ふぐ刺しの店としても
比較的リーズナブルではある。
また来年の冬、ふぐを食べにこよう。
台東区松が谷3−8−1
03−3844−6659
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