断腸亭料理日記2015

2015年鳥越祭 その1

6月5日(金)〜7日(日)

さて。

お祭り、で、ある。

鳥越祭。

鳥越は、トリコエと濁らない。

白状をすると、私も長いことトリゴエと読んでいて
ネイティブの皆様は濁っていないことに最近気が付いた
体たらく。

神社は私の住む台東区元浅草一丁目から南へ歩いて
10分ほど。蔵前橋通り沿いの鳥越二丁目にある。

東京下町の初夏のお祭りは、稲荷町の下谷神社が初っ端であろうか、
毎年ゴールデンウイーク前後から始まり、6月第一週の
ウイークエンドの私達の鳥越祭が最後になる。

年に一度のお祭り。
やはりたのしみなものである。

葛飾の四ツ木からこの町に引越してきてまだ15年ほどであるが、
やはりわが町にお祭りがあるのは、むろんたのしいし、また、
誇りでもあり、祭のない私鉄沿線の新興住宅地で育って、
その後もお祭りのない地域に住んできた身には、よろこびである。
(根っから、私はお祭り好きなのかもしれぬ。)

先日、隣のお祭りである、三社祭の時にも
書いたような気がするが、このあたり、
浅草、下谷には、住んでいる場所によって
どこかの神社の氏子になり、その神社にはほぼ隈なく、
お神輿の出るお祭りがある。

そして、三社などもほぼそのようだが、お祭りの運営主体は
各町の町内会である。

私の住む元浅草一丁目は、元浅草七軒町という町内会になる。

七軒町というのは、江戸から続く町名である。

この界隈、江戸の頃にはお寺と武家屋敷がほとんどで
七軒町という町は当時はお寺の門前のほんの狭い区域。
下谷七軒町と呼ばれていたようである。

前にも書いているが、蒲鉾やら椎茸やらを並べて、
おかめの顔に見立てたおかめそばというのがあるが、
あれを初めて出したのは、七軒町にあった、
大田庵という蕎麦やだそうな。

七軒町という名前は戦後なくなるが、
このあたりは、基本、この旧町が町内会の
単位になっている。

そして、お祭りの基本単位でもある。

そして同時に、町内会にとっての最大の行事は、
鳥越祭である。

町会には、それぞれ自前のお神輿があり、
揃いの半纏がある。
これが取りも直さず、町のアイデンティティーということに
なろう。

町内会が祭の単位と書いてきたが
鳥越の場合はちょっとした二重組織になっている。

お祭りというのは、あたり前のことだが
神社のもので、鳥越の場合は、鳥越神社例大祭
ということなる。

そして、どこの神社にも氏子組織というものがある。
氏子総代という人がいて、諸役員さんがいて
というもの。

鳥越神社の氏子組織は、各町の「睦(むつみ)」
という名前の組織で構成されている。

ただ実際にはこの睦は町内会とほぼ一体。

つまりこの町に住んで、町会員になる(町会費を払う)と
自動的に、お祭りに参加できるというとこになる
のである。

お祭りは、6日と7日の土日。

これ以前にお祭りに向けて、細かい行事はあるのであろうが、
我々の目に触れるのは、金曜日から。

朝から神輿を組み立て、神酒所(みきしょ)を開く。
毎年、朝、仕事に行くときに、この作業を睦の方々や
鳶頭(かしら)がしているのが見られる。

今年は、早く仕事に出たので見たのは、帰ってきた19時頃に
見ることになった。

生憎の雨。

これが神酒所。


ここが町の祭り本部ということになる。

ご祝儀などを出した人の名前を貼り出してある。


そしてこれが、神酒所そばの路上に設えられた、お神輿のテントと
お神輿本体。


子供神輿と、太鼓もある。一町内会の持ち物のお神輿であるが
どうしてどうして、大きさも立派なものではないか。

この日は宵宮、19時から神酒所開き。20時から神輿の御霊(みたま)入れ。

この雨は予報では今夜まで。
明日は降らぬことを願って寝る。

さて。

一夜明けて、土曜日。

雨はやんで、天気は曇り。

毎年のことだが、土曜日は町の神輿の連合渡御といって、
なん町かまとまって神輿を担ぐ。

鳥越神社の氏子町会は北は浅草通りの北、松が谷の一部。
南は、浅草橋、秋葉原付近までと南北に長い。

我々は春日通り北側の、北部八ヶ町、に入っている。

ということなのだが、鳥越の夜祭などといって、なぜだか
神輿を担ぐのは、昼間ではなく夕方から夜と決まっている。
(昼間は、今年は子供神輿の神社までの連合渡御があった。)

私はというと、午前中から一杯やって、昼寝をして
夕方まで昼寝。

夕方、起きてシャワーを浴びて、格好だけはそれらしく、
鯉口のシャツに半纏を着て帯も締め、出掛ける。

 

つづく

 

 



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